昨日はバレンタインデー。
生まれて50数年、私は昨夜、最もすばらしい、愛に満ちたバレンタインの夜を過ごした。
もうもう目がハート、心臓は鼓動を早め、大きなため息をもらす…という、うっとり状態。
久しぶりに恋する乙女の気分を思い出した。
ロマンチックな夜を演出してくれたのは、この方。
テノール歌手の望月哲也さん。
この方の王子ホールでのシリーズ「Wanderer」は3回目。
水車小屋の娘に始まって、二回目もシュトラウスのリート(たぶん)、そして今回はベートーベンとシューベルトのリート。
…だけではなく、二部はフランスオペラのアリア。
副題が「愛への憧れ」、すべての歌が愛をテーマに歌われた。
プログラムはこんな感じ。
望月哲也(テノール)
河原忠之(ピアノ)
ベートーヴェン: アデライーデ Op.46(素敵な歌!美しい表現!)
:連作歌曲集 「遥かなる恋人に」 Op.98
:遠くからの歌 WoO.137
:きみを愛する WoO.123(高校の時音楽の時間に歌ったこの歌、こんなに切なく端正に表現できるのね!)
シューベルト:「ゲーテ歌曲集」 より
野ばら D257/憧れやまぬ恋 D138/
恋しい人のそばに D162/秘密 D719/
最初の喪失 D226/月に寄せて D259/
ガニュメート D544
********** 休憩 **********
<フランスオペラにおける愛のかたち>
~恋の芽生えと愛への昇華~
グノー:「ファウスト」より この清らかな住まい
~恋焦がれる青年の愛~
グノー:「ロメオとジュリエット」より 太陽よ、のぼれ
~忘れがたき愛~
ビゼー:「真珠採り」より 耳に残るはきみの歌声(これ、よかった!今まで別の方のをCDで聞いてたけど、ぜんぜん違う!)
~拒絶されし愛~
ビゼー:「カルメン」より おまえが投げたこの花を(花の歌)(切ない!)
~喪われし愛(訣れ)~
グルック:「オルフェとエウリディース」より
エウリディースを失って(1774年パリ初演版)
~断ち切りがたき愛~
マスネ:「マノン」より ああ、消え失せろ! 優しい幻影よ!(最後はこう来るのね。完敗です!)
シューベルト:セレナーデ D957-4
マスネ:「ウェルテル」 より 春風よ、なぜ私を目覚めさせるのか(来年はこれらしい!期待がふくらみます)
昨日のコンサートは、私だけではなく、他の聴衆の方々にとってもすばらしいモノだったようで、曲が終わる度に、必ず声がかかった。
「ブラボ!」っというのはよく聞くけれど、1曲目の終わりは「Very good!」、そのほかにも、「うまい!」っていうのもあったような気がする。
ピアノの最後の一音が鳴ったかと思うや、「ブラボ!」の声。
悪くはないけれど、その声で、私は一瞬にして歌の世界から王子ホールの客席へと戻される。
残念で、無情な気もするかけ声。
歌い手さんにとってはありがたい声かもしれないけど、すべての曲にでなくてもいいじゃあない!
そのまま余韻を楽しませて~!って思ってしまった。
アンコールの時には、「バレンタインデーにコンサートして、スミマセンでした」って望月さん自身が頭を下げていらしたけれど、イエイエとんでもない!
おかげで本当にすばらしいバレンタインナイトでしたよ。
そして来年はホワイトデーに、このシリーズがあるらしい(ホントに?)。
「また来年も来て下さい」っておっしゃってましたね。
もちろん行きますとも!
しばらくはこの方の歌、聞き逃したくはありません。