OT園通園日記

車椅子生活の母を老人ホームへ訪ねる日々。でもそればかりではいられない!日常のあれこれを書いています。

望月哲也 Wanderer vol.3@王子ホール

2012年02月15日 | 趣味(読書・洋裁・音楽・映画)

昨日はバレンタインデー。

生まれて50数年、私は昨夜、最もすばらしい、愛に満ちたバレンタインの夜を過ごした。

もうもう目がハート、心臓は鼓動を早め、大きなため息をもらす…という、うっとり状態。

久しぶりに恋する乙女の気分を思い出した。

 

ロマンチックな夜を演出してくれたのは、この方。

 

 

テノール歌手の望月哲也さん。

 

この方の王子ホールでのシリーズ「Wanderer」は3回目。

水車小屋の娘に始まって、二回目もシュトラウスのリート(たぶん)、そして今回はベートーベンとシューベルトのリート。

…だけではなく、二部はフランスオペラのアリア。

副題が「愛への憧れ」、すべての歌が愛をテーマに歌われた。

 

プログラムはこんな感じ。

望月哲也(テノール)
河原忠之(ピアノ)

ベートーヴェン: アデライーデ Op.46(素敵な歌!美しい表現!)
       :連作歌曲集 「遥かなる恋人に」 Op.98
       :遠くからの歌 WoO.137
       :きみを愛する WoO.123(高校の時音楽の時間に歌ったこの歌、こんなに切なく端正に表現できるのね!)

シューベルト:「ゲーテ歌曲集」 より
       野ばら D257/憧れやまぬ恋 D138/
       恋しい人のそばに D162/秘密 D719/
       最初の喪失 D226/月に寄せて D259/
       ガニュメート D544

********** 休憩 **********

<フランスオペラにおける愛のかたち>

~恋の芽生えと愛への昇華~
グノー:「ファウスト」より この清らかな住まい
~恋焦がれる青年の愛~
グノー:「ロメオとジュリエット」より 太陽よ、のぼれ
~忘れがたき愛~
ビゼー:「真珠採り」より 耳に残るはきみの歌声これ、よかった!今まで別の方のをCDで聞いてたけど、ぜんぜん違う!)
~拒絶されし愛~
ビゼー:「カルメン」より おまえが投げたこの花を(花の歌)(切ない!)
~喪われし愛(訣れ)~
グルック:「オルフェとエウリディース」より
     エウリディースを失って(1774年パリ初演版)
~断ち切りがたき愛~
マスネ:「マノン」より ああ、消え失せろ! 優しい幻影よ!(最後はこう来るのね。完敗です!)

 
アンコール
ベートーヴェン:口づけ Op.128(楽しげに!)
シューベルト:セレナーデ D957-4
マスネ:「ウェルテル」 より 春風よ、なぜ私を目覚めさせるのか(来年はこれらしい!期待がふくらみます)
 
 
良かった!良かった!良かった!
選曲も、歌唱も…。
専門家じゃあないから、テクニックなんかはわからない。
ただ聞いて感じることしかできないけれど、ツヤも伸びもある美しい声、多彩な表現、夢中になって聞き惚れてしまう。
 
こんな事を書くと笑われてしまいそうだけれど、歌手の方の容貌って、ステージの上で歌っている時にふと変化して見える時がある。
最初に袖から出てきてお辞儀をした時には、ちょっと太めの(失礼!)お兄さんが燕尾着てるわって感じだったのに、歌ってその世界に入り込んでいる時に、ふと、とんでもなくハンサムな男性に変わって見える。
実は昨日、一瞬、要潤に見えたの…。(私の好みもありますけどね!)
その他にも、歌によって、望月さんの容貌がいろいろに変化して見えた。
あくまでも私の解釈だけれど、彼の歌が私を別世界に連れて行き、その歌い手の姿を見せてくれたように思える。
(ま、どんな気分で歌を聴いてるんだって笑われそうな気もするけど)

 

昨日のコンサートは、私だけではなく、他の聴衆の方々にとってもすばらしいモノだったようで、曲が終わる度に、必ず声がかかった。

「ブラボ!」っというのはよく聞くけれど、1曲目の終わりは「Very good!」、そのほかにも、「うまい!」っていうのもあったような気がする。

ピアノの最後の一音が鳴ったかと思うや、「ブラボ!」の声。

悪くはないけれど、その声で、私は一瞬にして歌の世界から王子ホールの客席へと戻される。

残念で、無情な気もするかけ声。

歌い手さんにとってはありがたい声かもしれないけど、すべての曲にでなくてもいいじゃあない!

そのまま余韻を楽しませて~!って思ってしまった。

 

アンコールの時には、「バレンタインデーにコンサートして、スミマセンでした」って望月さん自身が頭を下げていらしたけれど、イエイエとんでもない!

おかげで本当にすばらしいバレンタインナイトでしたよ。

 

そして来年はホワイトデーに、このシリーズがあるらしい(ホントに?)。

「また来年も来て下さい」っておっしゃってましたね。

もちろん行きますとも!

しばらくはこの方の歌、聞き逃したくはありません。