エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

「もうひとつのグローバル化」アルテルモンディアリズムと地球温暖化問題の本質

2009-11-16 00:02:41 | Weblog
 今回は、ヨーロッパにおける「もうひとつのグローバル化altermondialism(アルテルモンディアリズム)」についてご紹介し、地球温暖化問題の本質について考えてみたいと思います。
 altermondialism(アルテルモンディアリズム)、日本ではまだ聞きなれない言葉ですが、地球上のすべての人々が人間として尊厳ある生活を営むために、現在の市場原理主義のグローバリゼーションに対抗する「もう ひとつの世界」を構想すべきという主張を意味しています。
 もともと、こうした活動は「反グローバリゼーション」運動と呼ばれていて、1999年にシアトルで開催されたWTOにデモ隊を送り込み、世界的にその存在をアッピールしました。しかし、2001年のアルカイダによる9.11テロの勃発は、反グローバリゼーション運動に対して大きな逆風となりました。
 米国ブッシュ大統領が掲げた「テロとの戦い」というスローガンの下で合衆国全体に巻き起こされた愛国主義を前にしては、いかなる「アメリカ批判」も許されないという雰囲気が生まれ、イスラム原理主義者たちが「グローバル化=米国の属国化」であるという認識から「反グローバリズム」を唱えたことから、こうした勢力と同一視されるという問題も生じました。
 そもそも、グローバル化そのものは、ひとつのプロセス、現象に過ぎず、それ自体が悪とは言えません。問題は、グローバル化のありかただというアルテルモンディアリスト(altermondialiste/もうひとつの世界を望む人々)の思潮が生まれてきたのには、こうした背景があります。
 もうひとつのグローバル化を進めるために、何をすべきなのか?具体的な行動目標としては、以下の5点を集約化されます。
① 途上国の対外債務帳消し
② タックス・ヘイブン(租税回避地)の撤廃
③安全な飲料水の確保                           ④世界的付加価値税、トービン税の導入
⑤ 輸出農産物に対する補助金廃止
 このうちトービン税に関しては、国際金融の実態を知る専門家からみると実行可能なスキームを構築できるのか疑問が呈されているところですが、運動としては徐々に賛同する動きも出てきています。
 2004年ベルギー議会は、トービン税型の為替取引税の導入法案を可決しました。EUも独自財源の「欧州税」の導入にあたってその財源の一つとして通貨取引税を検討しています。また、為替取引に対する課税ではないが、フランスのシラク大統領が2005年に開催されたパリ国際会議において、航空券に課税し、徴収された税をエイズ対策に使うという「国際連帯税」を提唱。フランスでは今年の7月から実際に施行されています。
 巨大化したグローバルマネーは、今や実体経済の100倍を超える規模となり、新たな投資先を貪欲に求めています。2008年9月のリーマンショックから1年経て、一時はおとなしくしていたグローバルマネーは、09年春以降再び貪欲に原油、土地などに投機マネーを供給を開始してそのうごめきを強めています。ヘッジファンドが投資家に対して約束している利回りが、平均で15%を超えており、こうした利回りは実体経済に投資していたのでは、とても実現できるものではありません。
 結果、マネーがマネーを呼ぶ構造が温存され、その構造の中に世界は閉じ込められ、そこから一歩も外に出ることができません。その結果起こるのは地球温暖化の加速です。地球温暖化問題の本質は、こうした「グローバルマネー資本主義」の在り方にあります。
 「モンスターと化したグローバルマネーに誰が首輪をかけられるのか?」、「グローバルマネー資本主義を脱したグリーンキャピタリズムはどうしたら構築できるのか?」、我々はこの問題に真剣に向き合わなければなりません。この点に関する私の考察に関しては、私のウェブ(をご覧くださいこちら)をご覧ください。