エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

ベンチャー企業による排熱回収スターリングエンジン開発

2009-11-24 00:04:07 | Weblog
石油や天然ガスなどの1次エネルギーは、その約10%が排熱として捨てられています。そこで、工場排熱に多い摂氏300〜500度の熱で発電するスターリングエンジンを開発するベンチャー企業が登場しました。
 パナソニックの社内ベンチャー、eスター(こちらをご覧ください)がそれで、2009年6月からパナソニックのホームアプライアンス社・奈良工場で、開発した新しいエンジンの実証実験を行っています。
 スターリングエンジンは、1816年に英国の牧師スターリングが考えだしたもので、シリンダーの外部から熱を加え、中の気体を膨張させ、加熱と冷却を繰り返してピストンを動かすエンジンです。理論上、熱効率が高く、多様な熱源が使えるため、理想的な外燃機関とされています。
 しかし、スターリングエンジンは熱源の温度差によって発電するので、摂氏1000度以上の非常に高い温度の燃焼ガスを使うエンジンは可能でも、工場排熱に多い摂氏300〜500度の熱で発電するエンジンは実用化されていません。
 eスターの「排熱回収スターリングエンジン」は、工業炉、ボイラー、原動機などから出る排熱を利用して発電ができます。発電効率は摂氏450度の排熱を使った場合で15%です。従来のスターリングエンジンに比べ、部品点数を3割ほど減らし、コスト面でも実用レベルに到達しました。
 実証実験では、排気ガスの煙道に開発したエンジンを装着し、500ワットの発電が可能となっています。2009度中には約5〜10キロワットの発電ができるエンジンを開発する計画で、2011年度の商品化を目指しています。