エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

「スマートコミュニティ革命」(シリーズ;中国BYDのエコカー戦略の動向)

2011-04-19 07:14:17 | Weblog
比亜迪汽車(BYD)は10年3月29日、これまで官公需向けに販売してきたプラグインハイブリッド車「F3DM」の改良型を一般向けに発売しました。BYDはリン酸鉄リチウム電池(鉄電池)を搭載したプラグインハイブリッド車「F3DM」を2008年に発売しましたが、公共機関向けに100台だけを販売したにすぎません。今回の「F3DM低タン版」はその後継車種で、屋根に太陽光発電パネルを装備したのが変更点ですが、「F3DM低タン版」の購入時には通常のガソリン車と同様、重量税、ナンバー取得料、保険料など諸費用が2万元以上かかります。保証期間も2年あるいは4万キロと通常のガソリン車と変わりません。このため、消費者にとって経済的なメリットは大きいとはいえず、BYDの販売目標も1,000台と控えめです。
BYDは95年、現総裁の王伝福氏が従業員20人でニッケル・カドミウム電池の生産を始めた民営企業。同社は充電式電池、携帯電話、自動車の製造販売を主な事業内容としており、リチウムイオン電池生産では世界第2位、中でも携帯電話機用の電池は世界最大の生産量を誇ります。03年に自動車業界に参入し、09年の販売台数は前年比2.6倍の48万8,000台と急成長しています。国内自動車メーカーの中では販売台数で奇瑞汽車、長安汽車に次ぐ第3位の大手となっています。
今回のBYDの「F3DM」は量産モデルではありません。また、現在試作段階のスポーツ用多目的車(SUV)型の純電気自動車「e6」も、10年に深セン市政府に100台納入予定があるだけで、今のところ市販は予定していません。このため、今後直ちにBYDがエコカー市場を席巻するとは考えにくい状況ですが、電気自動車開発のカギを握るバッテリー技術では世界トップレベルにあり、電気自動車の開発と量産では優位に立っています。今後、エコカー市場は拡大していくとみられ、BYDの動向が引き続き注目されます。

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