エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

国民一人一人に響くメッセージ:「You Energy!」

2011-06-14 06:22:05 | Weblog
問題は、大規模に導入されようとしているスマートグリッドが、企業や産業のみならず、一般国民がスマートグリッド導入のメリットを実感できるようになるかということです。
現在、再生可能エネルギーの全量買い取り制度の導入を目指した法案が国会に提出されていますが、このことは、国民が売電収入を得る機会が増大することは確かですが、他方、買取りコストや系統安定化コストに対応して電気料金の引き上げなどが必要となります。トータルとしてのメリット提示や国民の意識喚起なしには、再生可能エネルギーの全量買い取りに伴う負担、ディメリットだけを感じてしまうことになりかねません。
15年前のIT革命勃興期には、電子商取引やテレワークなどの可能性が語られ、「自分自身の生活やライフスタイルが根本から変わるのではないか」という期待やわくわく感がありました。また、良し悪しは別として、渋谷のビットバレーに代表されるビジネスモデル百花繚乱状態によるベンチャー起業やそれへの投資というわくわく感も大きなものがありました。その結果、楽天に代表されるネットショップ、ネット証券、ネット書店、ネット広告会社などが次々と出現しました。
「スマートグリッド革命」を本格化させるためには、動画配信の「You Tube」に匹敵する「You Energy」という世界を創造し、おびただしい起業、イノベーションが起こる基盤を形成することが必要です。IT革命時の「誰もが情報発信できる」=「誰もが既存のしがらみをぶち破ってネット上で新しいビジネスができる」に相当する「You Energy!誰もがエネルギーを作れる」=「新しいビジネスを創造できる」というパラダイム変化が顕在化し、それが「経済成長&雇用創出」につながるというパラダイムを創造することが必要です。人々が新しいライフスタイルを自ら創り、その結果産業と雇用が生み出され、経済成長につながるという今までとは逆向きのイノベーション・プロセスです。
そのためには、一般国民に対するスマートグリッドのメリットを顕在化させ、わくわく感を与えなければなりません。スマートグリッド導入による一般国民のメリットとしては、まず、需要応答の徹底による電気料金の実質的な引き下げがあります。その上で、省エネによる発電(ネガワット)と太陽光発電等による創エネ(ポジワット)をトータルとして個人・法人による発電と捉えるエネルギーマネージメント・サービスにつなげ、発電収入やCO2削減分に対応したエコポイントを一般消費者に還元することが必要です。
家庭のエネルギーマネージメントであるHEMSやビルのエネルギーマネージメントであるBEMSはその発展形と言えますが、そうなれば、電力会社などは「賢い需要家」の省エネ・創エネに伴う各種のニーズに対応するために、サービスメニューを多様化せざるを得なくなります。HEMSやBEMSを基本にしたスマートグリッドを発展させ、「You Energy」のパラダイムをもたらすというのが「日本型スマートグリッド」のあるべき姿です。

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