エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

「スマートグリッド革命」(シリーズ;求められる総合エネルギー企業への脱皮)

2010-12-25 00:05:10 | Weblog
スマートグリッドの進展による「電気経済」の出現に関しては、「電力会社の一人勝ち」の構図のように見えますが、決してそのように単純な話ではありません。20年の中期あるいは50年の長期に向けて電力会社の存立基盤を含めた見直しが必要になるからです。
というのは、エネルギー源が化石燃料から再生可能エネルギー(および原子力)に変わると、エネルギーの供給体制が変わることになります。メガソーラーを除けば、太陽光発電、風力発電等の普及とは、自家発電の拡大にほかなりません。これは、従来電力会社が行っていた発電用エネルギー源の調達が需要家サイドに移行することを意味します。
これまでのエネルギー業界は、電力会社、ガス会社、石油会社という縦割り構造の中で「仕切られた競争」(compartmentalized competition)を行ってきました。そこでは、電力会社は送配電網を使って電気を、ガス会社はガス配管を使ってガスを、石油会社はガソリンスタンド等を通じて需要家にエネルギーを供給し、境界を越えて競争することはありませんでした。しかし、再生可能エネルギーの広範な導入や1995年以来の電力自由化の進展により、こうした「仕切られた競争」に基づいた業界秩序が崩れつつあります。
燃料や供給プロセスの転換といった根本的な変化が起こる中で、従来の業界ごとの垣根に基づいたサプライサイド指向の体制では、市場のニーズに柔軟に応えることは難しくなります。例えば、自家発電設備を持っている需要家に対するサービスは、系統電力と自家発電が連携したほうが顧客のニーズに対応しやすいはずです。しかも、20年あるいは50年に向けて、人口の減少に加えて、産業部門の省エネ、家庭やオフィスにおける省エネ・創エネ機器の導入が急速に進むことなどを考えると、エネルギーに対する需要量は大きく減少していくことが予想されます。
 こうした中で新しいエネルギー体制として求められているのは、低炭素、低コストなどの顧客のニーズを起点として、顧客にソリューションを提供するようなビジネスモデルへの転換です。海外での発電事業やガス供給事情に進出するというグローバル戦略の本格的展開も必要となります。電力会社、ガス会社、石油会社は、エネルギー分野の垣根を越えた総合エネルギー企業へと脱皮し、顧客ニーズに的確に対応するという今までにない構造転換が求められています。

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