エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

米議会に提出されているキャップ・アンド・ディビデンド方式の排出量取引

2010-04-06 06:22:49 | Weblog
 現在、米議会で議論されている温室効果ガス削減法案には、キャップ・アンド・トレード方式による排出権取引制度が含まれていますが、これに代わる方式として注目を集めているのが、一部の上院議員が提案しているキャップ・アンド・ディビデンド方式です。
 化石燃料の生産者や輸入事業者だけに排出権取引を認め、排出権のすべてをオークション(競売)によって配賦し、それから得られた収入を国内居住者に還元するというものです。
 法案 <こちらをご覧ください> による温室効果ガスの削減目標は05年比で、20年に20%減、25年に30%減、30年に42%減、50年に83%減となっています。
 規制対象は化石燃料の生産者や輸入事業者など上流部門(2,000~3,000社)、排出権の配賦は全量オークションを通じて行い、その収入の75%を国内居住者に還元し、残りの25%をクリーンエネルギー再投資信託基金に充てるといった内容です。
 キャップ・アンド・トレードでは、①.排出権の大部分を公益事業者に無料配賦するため、公益事業者は排出権取引で偶発利益を得る可能性がある、②b.カーボンオフセット制度による世界規模のオフセット取引は管理が困難で、投機家などに悪用される可能性も高い、②.金融機関などによる排出権やオフセットの取引や証券化で、排出権価格の不安定性(ボラティリティー)が高まる恐れがある、などの問題が指摘されてきています。
 これに対して、キャップ・アンド・ディビデンドは、キャップ・アンド・トレードの欠点を一部克服する内容となっています。
 第1に、カーボンオフセット制度や排出権の無料配賦などがなく、100%の排出権がオークションを通じて配賦されます。このため、排出権が、それを本当に必要とする事業者に効率的に配分されます。
 第2に、排出権オークションへの参加は、国内の化石燃料生産者や輸入事業者などの上流部門に限られているため、金融機関などによる投機目的の取引が発生しません。また、排出権価格の上限・下限が設けられるため、結果的に価格変動が最小限に抑えられます。
 第3に、排出権オークションに伴う収入の大部分が居住者に還元されるため、化石燃料価格の上昇に伴う消費者への影響がほとんどありません。
 今後の動向を注視したいと思います。

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