エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

インターネットの新世代とスマートグリッド

2011-08-09 06:11:21 | Weblog
インターネットは進化し続け、新世代を迎えています。慶応義塾大学の村井純教授は、『インターネットの新世代』において、今までのインターネットは、情報技術の専門家が、ある方向性や夢を実現するためにどういう技術を用意すればよいのか等を考えるという情報技術の専門家が主役であった時代と総括しています。しかし、スマートグリッドの登場が象徴するように、現在人類は未曽有の環境エネルギー問題に直面しており、これからは、分野を問わずプロ、アマすべての人たちが需要応答などに参加し、それをIPV6やクラウドコンピューティングがサポートするようようになって、インターネットの未来を構築する人になると予想しています。そして村井教授は、これからは、ネットワークを利用する人と作る人の共同作業になると指摘しています。その意味で、現在はインターネットの「折り返し地点」だと位置づけています。
 この本での村井教授の指摘の中で特に関心を引いたのは、これからの電波の利用においては、デジタル技術の活用によって1つの周波数に複数の電気信号をのせて、数多くの人々が参加していても必ず1対1でコミュニケーションができるとして(これは「イーサネット」が実現したパラダイムです)、電波という資源の利用効率が飛躍的に向上することです。
 10年3月16日米連邦通信委員会(FCC)は、オバマ政権の通信政策の基本方針となる「全米ブロードバンド計画」を発表しました。今後10年間のうちに1億世帯に100Mbps級の通信サービスを提供することを目標とする野心的な計画ですが、そのようなブロードバンド化を実現するために、10年以内に500MHz、5年以内に300MHzの周波数を移動体通信に開放するという数値目標を打ち出しました。周波数を500MHz増やすというのは、いまアメリカで移動体に使われている周波数をほぼ3倍にすることを意味します。
日本では現在、技術の進歩を勘案し、電波の混信を防ぐための緩衝帯として電波の割当ての対象になっていなかった「ホワイトスペース」と呼ばれる帯域を、近い将来MobileWiMAXやLTEを使用するような移動体側の無線端末機器に開放することを検討していますが、こうしたホワイトスペースの活用が1つの周波数に複数の電気信号をのせるという技術と相乗効果を有したとき、大きな変革をもたらすことは間違いありません。
インターネットに関しては、最近「モノのインターネット」(IoT: Internet of Things)への注目が高まってきています。従来の「ユビキタスネット」とも通じるところがありますが、ターゲットはより明確で、RFID技術などを使ってあらゆるものをインターネットに接続しようというものです。欧州が言い始めた「モノのインターネット」については、中国も注目しており、国際標準化を目指す動きも活発になってきました。
 「モノのインターネット」を実現するために必須の技術が「エネルギー・ハーベスティング」です。膨大な数のモノをインターネットに接続する場合に、その電源を、交換が必要な電池に頼るわけにはいきません。長期間、燃料補給や交換をせずに電力を供給し続ける技術として、周りの環境から集めたエネルギーを電力に変換するのがエネルギー・ハーベスティングですが、ここで「モノのインターネット」はエネルギーと結びつきます。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿