エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

「スマートグリッド革命」(シリーズ;IT革命の負の側面)

2011-01-18 06:43:19 | Weblog
「スマートグリッド革命」の駆動力には、IT革命に対する反省も含まれています。現在、インターネットの利用が拡大したために、エネルギー消費量やCO2の排出量が増加したり、電力系統にかかる負荷が増大しています。サイバースペースへの移行が進むと、CO2排出量の増加や電力消費が増加するという現象が起こっているのです。
たとえば、データセンターから排出されるCO2は、全世界のCO2排出量の2%を占め、世界中の航空業界からの排出量に相当しています。よく引き合いに出される比喩に「Googleの検索エンジンを2回クリックすることにより、コーヒー一杯分のお湯を沸かすだけのエネルギーが消費される」というものがあります。データセンターにおける消費エネルギーの費用は、ハードウェア機器にかかる費用の8倍に上ります。また、インターネット利用に伴うエネルギー消費は、アメリカでは07年に7%と推計されていますが、20年には20%~25%に拡大すると試算されています。日本でも、経済産業省は50年には50%にもなると試算しています。
このように、今までのIT革命は人間の知的活動を発展させるものではあっても、地球環境に優しいものではありません。人間のすべての活動は知的活動のみならず一般の生活活動によっても構成されています。今のままでのインターネットの利用は、確かに革命的変化をもたらしたかもしれませんが、エネルギー消費やCO2排出量の増大という無視し得ない負の側面を有しています。
 現在「グリーンIT」の推進が政策的スローガンとして謳われていますが、ITを活用することで、プロセスのモニタリング(経過の観察)過程を改善し、より効率的な管理に役立てることのみならず(Green of ICT)、さらに大きな枠組みにおいて、全く新しい省エネルギービジネスモデルの構築とそのプロセスの設定にITを活用することを考える必要があります(Green by ICT)。 「グリーンIT」は、IT自体の省エネルギーを意味するだけでなく、ITを活用して経済社会の省エネルギー化を構造的に進めることだと捉えるべきです。

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