エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

生物多様性クレジット

2010-05-14 06:30:19 | Weblog
 生物多様性の宝庫といわれる熱帯雨林やサンゴ礁も、毎年、経済開発などにより失われています。こうした生物多様性保全の対策の第一は開発の制限です。しかし、途上国の人々が生活する上で開発が必要なこともあります。生物多様性を維持するための規制を導入すれば、収入が減ったり、予定していた経済開発を取り止めたりしなければならくなるなり、そこに住む住民には死活問題となります。そこで生活補償や、あるいは別の開発への切り替えが必要になります。そのためには資金が要ります。
 まずは途上国の政府や自治体がコストを負担することになりますが、途上国は一般に資金不足だから先進国からの援助や、先進国から拠出を得た国際機関の資金に頼ることになります。また民間企業や環境団体からの寄付もあります。しかし、まだまだ資金の絶対量は足りません。
 そこで注目されるのが「生物多様性クレジット」です。。基本的な仕組み自体は難しくありません。「生物多様性」の価値を数値化し、流通しやすいように一種の証券化をする、これが供給側です。例えば森林には多種多様な生物がいて、様々な価値を生み出しています。それを数量的に把握し、総合し、数値化するのです。他方、需要側としては、農業や資源、工業などのために自然を消費する企業を想定しています。開発をすれば自然が損なわれますが、それを埋め合わせるために別のところで生態系の保全に協力してもらおうというわけです。
大規模開発を例にとれば、開発による緑地の減少というマイナス影響を、開発で荒れてしまった別の土地を回復させることでプラスマイマスゼロ、すなわちオフセット(相殺)すると考えることになります。こうした仕組みは不動産開発での緑地保存などでも既に事例があります。また温暖化対策のように先進国に数値目標をという意見もあるようです。
 開発する企業は、マイナス影響を相殺するために自分で事業を見つけ、管理するのは大変だから、相殺した事業の効果を証券化したクレジットを購入することで、事業を間接的に相殺します。また、市場が出来れば、生物多様性の保全をする側にとって、収入が見込めるので、安心して保全事業に取り組むことができます。クレジットが需要と供給の橋渡しをすることで、それぞれが本業に集中できる環境を整えます。クレジットは効率的な投資を助ける道具と言えます。

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