エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

スマートグリッドの新たな展開としての「モノのインターネット」

2010-03-15 06:07:18 | Weblog
 最近、「モノのインターネット」(IoT: Internet of Things)への注目が高まってきています。従来の「ユビキタスネット」とも通じるところがありますが、ターゲットはより明確で、RFID技術などを使ってあらゆるものをインターネットに接続しようというものです。
 欧州が言い始めた「モノのインターネット」については、中国も注目しており、国際標準化を目指す動きも活発になってきました。
 「モノのインターネット」を実現するために必須の技術がエネルギー・ハーベスティングです。膨大な数のモノをインターネットに接続する場合に、その電源を、交換が必要な電池に頼るわけにはいきません。長期間、燃料補給や交換をせずに電力を供給し続ける技術として、周りの環境から集めたエネルギーを電力に変換するのがエネルギー・ハーベスティングです。
 欧州委員会の報告書「Internet of Things in 2020 A ROADMAP FOR THE FUTURE」(2008年9月)でも、モノのインターネット実現に必要な技術の筆頭に、エネルギー・ハーベスティング技術が挙げられています。さらに、2009年6月に発表された報告書「Internet of Things An action plan for Europe」でも、R&Dテーマにエネルギー・ハーベスティング技術が挙げられています。
 中国も活発な動きを示しています。中国における「IOT」技術は、研究段階から実用化段階に向かっており、国家電力網や空港保安などの分野でIOT技術が登場しています。海爾(ハイアール)集団は、全ての自社家電製品にセンサーを装備する計画です。
 また、 無錫市(江蘇省)政府は地方政府の中で最も「モノのインターネット」に熱心で、12年までに関連企業500社、研究機構20を育成し、工業生産額を1,000億元にする、15年には工業生産額を2,500億元に上げることが計画されています。無錫市信息化弁公室の調査によると、9月時点で、同市の「モノのインターネット」関連の企業は約100社、工業生産額は150億元です。
 また、自主規格の作成を担当する「モノのインターネット標準グループ」は、国際基準を目指して10年3月までに、ISO/IEC(国際標準化機構/国際電気標準会議)に中国技術草案を提出しようとしています。11年に技術方案を完成し、国家基準になるための審査を受ける予定となっています。
 それにひきかえ、日本の対応はどうでしょうか。遅ればせながら、総務省の「IPv6によるインターネットの利用高度化に関する研究会」で、2009年9月3日から「IPv6によるモノのインターネット社会ワーキンググループ」が始まりました。
 しかし、エネルギー・ハーベスティングは対象外です。そもそも、総務省の「ユビキタスネット」の構想には、エネルギー源をどうするかという観点が欠落しています。このままでは、日本は完全に出遅れそうな状況です。今後のエネルギー・ハーベスティング市場拡大に向けて早急に戦略的な対応を行うことが必要です。

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