エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

「スマートグリッド革命」(シリーズ;EUのアグレッシブな再生可能エネルギー政策)

2010-12-12 05:40:23 | Weblog
経産省の審議会では、再生可能エネルギーの全量買い取り制度の具体化のための検討が行われていますが、るEUの「3つの20%」のうち再生可能エネルギーの積極的な導入を図るEUの政策に関しては、08年12月欧州議会で再生可能エネルギー指令が合意されました。
この再生可能エネルギー指令は、次のような画期的な内容を含んでいます。

第1に、20年までに最終エネルギー消費に占める再生可能エネルギーの割合を20%にするという目標を達成するため、加盟国の国別目標が設定され、さらにその達成が義務とされました。また、運輸部門については個別に総エネルギー消費の10%が再生可能エネルギーによるものであることが義務化されました。この10%という目標は、各国ごとに実現しなければならない目標です。

第2に、20年目標に向けて中間的な位置づけを持つ「指示的軌道」が設定されました。これは、20年目標値と05年値との差の一定割合を、11・12年(20%)、13・14年(30%)、15・16年(45%)、17・18年(65%)の4期で満たさなければならないというものです。この軌道は義務的なものではなくあくまでも指示的なものにとどまっていますが、「指示的軌道」が達成できない場合は、加盟国は再生可能エネルギー行動計画を修正してEU委員会に提出しなければならず、義務化に近い効果を有しています。

第3に、義務履行の手段として、加盟国は10年6月までに国別再生可能エネルギー行動計画をEU委員会に提出するとともに、11年末以降、隔年ごとに加盟国に対してEU委員会に報告書を提出するように義務付けられ、EU委員会によってモニタリングが実施されることになりました。

第4に、加盟国間で再生可能エネルギーの一定割合を移転できる「統計的移転」というスキームが導入されることになりました。これは、再生可能エネルギー導入目標あるいは指示的軌道を上回っている国から、それらを下回っている国に再生可能エネルギーの一定割合を移転できることになりました。また、加盟国間での協力事業や加盟国と第3国との共同事業により再生可能エネルギー開発事業を行った場合には、国別導入目標あるいは指示的軌道の達成にカウントできることとなりました。

第5に、「発電源照明」(GO(Guarantee of Origin):電力の取引に伴って発電源の情報をやりとりするもの)については、最終消費者に対する情報提供を目標として発行され、移転も行うことができますが、国別導入目標あるいは指示的軌道の達成としてはカウントできないこととなりました。この点に関しては、当初EU委員会としてはそのような案を提示しEU内で多くの議論がなされた点ですが、CO2の排出量取引のようなスキームの導入は見送られた形です。ただ、今後の制度の発展に期待したいと思います。

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