エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

アメリカの需要応答最前線<その2;最大20%のピークカットへ>

2012-09-14 05:48:35 | Weblog
 毎週ウェブ連載している「見えてきたスマートグリッド 新しいスマートコミュニティ構築へ」に、「アメリカの需要応答(デマンドレスポンス)最前線<その2;最大20%のピークカットへ>」を掲載しました。その前半部分は、以下の通りです。

 今回は、需要応答(ディマンド・レスポンス)の先進国であるアメリカの最前線第2回目として、アメリカにおいて今後推進されようとしている需要応答の規模、効果等について解説し、原発再稼働が困難な状態が継続する日本においても、需要応答を国家プロジェクトとして推進する必要性が高くなっていることを論じてみようと思います。

<最大20%のピーク電力抑制効果と15%電気料金低減効果を実証>
 アメリカにおける需要応答によるピーク電力抑制効果と電気料金低減効果を実証したものとしては、米エネルギー省(DOE)の国立研究所であるPacific
Northwest National Laboratoryにより2008年に行われた“Gridwise Olympic Peninsula
Demonstration Project”があります。スマートメーターを用いて、5分間隔のリアルタイム・プライシングによる効果をブロードバンド環境で実証したものです。
 実証の結果、これによりピーク電力を15~17%減少させるとともに、平均的な家庭で15%電気料金を安くすることができるということが明らかになりました。また、メリーランド州で行われた実証実験では、28%~38%のピーク電力需要のカットがなされたという報告もあります。こうして、アメリカでは需要応答の有効性が実証され、それが広範に普及される素地ができました。

<2019年には最大188ギガワット(20%)のピークカット>
 これを受けて、2009年6月に発表された連邦エネルギー規制委員会(FERC)のスタッフ報告書では、19年に実現できる負荷平準として4つのケースを提示しています。それによると、①現状レベルの需要応答が継続された場合は38ギガワット(4%)、②現状レベルの需要応答がすべての州に拡大した場合は82ギガワット(9%)、③全世帯・オフィスにスマートメーターが導入され、ダイナミック・プライシングが初期設定された場合は138ギガワット(14%)、④全世帯・オフィスにスマートメーターが導入され、ダイナミック・プライシングを含めすべてのプログラムが実行された場合は188ギガワット(20%)の負荷平準が需要応答により実現することができると報告されています。

<注目されるカリフォルニア州の「20/20リベート」制度>
 アメリカの中でもカリフォルニア州は、需要応答への取組みが盛んな州です。カリフォルニア州では、2000年から01年にかけて停電が頻発した電力危機を受けて、需要応答に関する検討が始まりました。さらに、06年に起こったカリフィルニア大停電が後押しとなって、需要応答プログラムの導入が進んでいます。
  注目されるのは、2000年のカリフォルニア州の電力危機後の01年2月以降展開された「フレックス・ユア・パワー」(Flex Your
Power)というキャンペーンの中で実施された「20/20リベート」という制度が、家庭や企業の節電行動を大きく促進する効果を有したことです。これは、前年同月比で電力消費を20%節約すると、その月の電気料金の支払額(基本料金分を除く)の20%をリベートとして還元するという仕組みで、家庭では6~9月期の電力使用量、企業では夏期のピーク需要が対象になりました。
 7月18日の連載(http://www.kankyo-business.jp/column/002801.php)でご紹介したスマートプロジェクトが推進している「家庭の節電行動2012」(プレスリリースは、http://www.smartproject.jp/wp-content/uploads/pdf/120801_NewsRelease.pdf)における「節電エコポイント」は、その“日本版”と言うこともできます。

 <続く>。全文は次にアクセスいただくとご覧になれます。

→ http://www.kankyo-business.jp/column/003194.php