エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

スマートグリッド「プランB」~節電と創電の両軸推進で「エネルギー地産地消型社会」の実現を目指す

2012-09-10 00:31:40 | Weblog
 8月29日NTTグループのシンクタンクである情報通信総合研究所において、「ICTを活用した新たなエネルギーマネジメントの未来形」についてワークショップが開催され、その中で「エネルギー・環境選択とスマートグリッド「プランB」~節電と創電の両軸推進で「エネルギー地産地消型社会」の実現を目指す~」と題して講演しましたが、講演要旨とプレゼン資料が本日ウェブにアップされました。
 私の講演の後は、NTTファシリティーズのプレゼンとなっています。ご関心のある方は、ご覧ください。

http://www.ngs-forum.jp/event/seminar/report/detail.php?cno=w2012082901

 【講演要旨】
 一般社団法人スマートプロジェクトは、スマートエネルギー社会を作るために産学官民が結集したプロジェクトである。政府が2030年をめどに打ち出しているエネルギー政策は、家庭への電気料金の大幅な負担増を強いるものになっている。そこでスマートプロジェクトは、エネルギーを「地産地消」する自律分散協調型スマート社会の実現を目指して、政府案とは異なる視点のスマートグリッド「プランB」を提案する。
 インターネットによるIT革命は、ダイヤルアップ、ADSL、光ファイバ、無線など、その時点ごとに最適な技術で需要を喚起するイノベーションの波が、何回も繰り返されることによって世界中に広がった。スマートグリッドもまた、技術偏重ではなく、その時点ごとに最適な技術を用いてのアプリケーション拡大、ビジネスモデル発展、ユーザー参加による市場拡大の連鎖が、何回も繰り返し起こるような「持続的なイノベーションの構造」を作ることで、スマート革命へと発展させることができる。
 スマート革命の第1の波として、スマートプロジェクトは自治体などと連携しながら、「家庭の節電行動2012」を推進中だ。合計約1,000万世帯の参加家庭に対して、電気の使用状況を「見える化」すると同時に、「節電エコポイント」を付与するなどのインセンティブを提供することによって節電に大きく貢献した。
 「足利市民総発電所構想」の事業も進めている。栃木県足利市では、家庭、学校、公共施設などにHEMS※1やBEMS※2を導入して節電(ネガワット)を進めると同時に、太陽光発電や蓄電池を導入して創電(ポジワット)も行う、エネルギーの地産地消型スマートコミュニティを目指す取り組みを始めたところだ。
 スマート革命の第2の波では、供給側の抑制要求に対応して需要側が使用電力を削減する「需要応答」の普及がカギとなるだろう。また、太陽光発電・燃料電池・リチウム電池などによる家庭でのピークカット、ネットワーク化による家電のピークカット、スマートフォンによる遠隔制御なども、今後の波として期待される。
 さらに、エネルギーを地産地消するスマートコミュニティが増えていけば、国民(個人&法人)のすべてが発電所となる「スマート国民総発電所」をベースにした、エネルギーの自律分散協調を行う国家像も見えてくる。ここまで至って初めて、「原子力からグリーンへ」というグリーン成長構想が実現可能になる。