エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

「日本テクノ」電気保安からBEMSのサポートへ

2011-04-11 00:04:09 | Weblog
高圧受電設備の監視装置の販売や省エネコンサルティングを手がける日本テクノは、スマートメーターの概念をいち早く取り入れたサービスで急成長しています。日本テクノは、高圧電力を使用する事業者向けに高圧受変電設備(キュービクル)の保安管理を行っている会社です。
 2004年から高圧電気設備の保守点検に民間企業の参入が認められるようになりましたが、その背景には日本テクノの規制緩和への働きかけがあります。また、新しいシステムの下では、高圧電力使用者は法令により専門家(電気主任技術者)による電気設備保安管理点検を月次、年次で受けなければなりませんが、適確な絶縁状態であれば隔月で済むことから、日本テクノのサービスに対するニーズは高いものがあります。
 このため日本テクノは、工場やオフィスにあるはキュービクルのわきに24時間自動監視装置を設置し、顧客の設備の故障原因となる電気の異常を検知するサービスを提供していますが、それととともに、省エネ化にも貢献する電力使用量のデータを集めています。キュービクルの監視情報は常時、無線で日本テクノの監視センターに送られてきます。停電や漏電などの異常があれば警報を顧客の担当者の携帯電話に送り、監視センターから技術担当者へ連絡したり緊急対応を要請したりして知らせる仕組みです。
 監視装置はあわせて、電力会社の電力量計が発するパルス信号から電力使用量についての情報を取得しており、この情報をもとに省エネアドバイスが可能になります。あらかじめ目標となるデマンド値を設定しておき、電力使用がデマンド値を超えると予想された場合に、事業所内に設置した表示装置で知らせるなどして注意を喚起し、エアコンのスイッチを切るなど節電に取り組んでもらっています。また、半年に1度、過去の使用実績のグラフなどをパソコンに示しながら省エネ改善のアドバイスもしています。顧客は、いつでもインターネット経由で前日までの電力使用に関するデータを見ることができます。その意味で、この24時間自動監視装置はスマートメーターの機能も有していると言えます。
 また、2008年7月にはテナントビル用の自動検針システムによるサービスも開始しています。テナントビルはオーナーが電力会社と契約して一括して電気料金を支払い、オーナーはテナントに対し電気料金を請求するケースが多くあります。テナントが支払う料金はテナントに按分(あんぶん)されていますが、その際に明確なルールがあるわけではありません。面積、部屋割りなどオーナー任せになっています。共用スペースの按分をどのようにするかという問題もあります。
 このような状況下では、テナントには省エネのインセンティブが働きにくくなります。また、オーナーはいったん電気料金を一括払いをして、しかる後に定期的にテナントに料金を徴収していますが、その手間がばかになりません。
 そこで日本テクノは、オーナー、テナントと個々に契約を結び、テナントごとに子メーターを取り付けて料金請求・回収をオーナーに代わって行うサービスを提供しています。テナントに対しては、テナントごとに設置されるモニターにより省エネのアクションも誘導するサービスも提供しています。
 日本テクノは2007年に特定規模電気事業者(PPS)に登録し、JEPX(日本卸電力取引所)の取引会員にもなって電力の小売事業を手がけられるようになっています。それを基礎として2010年度末から、電力利用が増えたときに顧客の電気機器の運転を止める機能を設けた電力小売業を開始しています。