ラジオ番組で「虚無僧尺八」なるものを知って、こんな凄い音楽が日本にあるのだと驚いたことがあった。
正月に中村明一(あきかず)の演奏を聴いていた。
虚無僧は小さい頃の時代劇によく登場した。
天蓋という深い網笠を被り、僧侶の姿をして尺八を吹く。
顔は見えない。
仇討ちとか探索とか、何か秘密めいていてドキドキしながら観ていた。
虚無僧は13世紀に中国から伝わった「普化宗」の僧侶であり、竹管演奏は奥義という。
薦(こも)を携えて野宿したところから、薦僧 (こもそう)とも呼ばれた 。
その後、江戸幕府によって武者修業のための宗派となり、真面目なイメージだったが、顔が見えないので悪事を働くニセモノも横行したらしい。
映画に登場した虚無僧にもいたような記憶だ。
宗派の教えとしてはあまり堅苦しくはなく、「修行と托鉢のため、尺八を演奏する。」というのが唯一はっきりした決まり事だった。
竹一本で自然や人の魂と繋がってゆくような演奏だ。
お経の代わりということに納得する。