団塊太郎の徒然草

つれづれなるままに日ぐらし

米中戦略と日本

2009-07-30 10:12:17 | 日記

情報BOX:米中戦略・経済対話の成果


 [ワシントン 28日 ロイター] 米国と中国は、2日間の日程で開催した米中戦略・経済対話で、両国が世界経済の景気後退(リセッション)からの脱却や環境および外交問題などについて、協力して取り組むことで合意した。


 以下は米中戦略・経済対話に関するQ+A。


 <具体的な成果はあったか>


 気候変動問題での協力に関する覚書が、今回の協議では唯一の主要な合意
経済分野では世界経済危機の克服で政策協調することで広範な合意に達した。具体的には開かれた、市場原理に基づいた金融システムの促進。両国間の貿易・投資の強化。国際金融構造の強化など。
米中は貿易不均衡是正の対策を講じることで合意。米国は民間部門の貯蓄増加、中国は内需拡大をそれぞれ目指す。


 <為替相場について両国は何を言ったか>


 米中の当局者は通貨について、ほとんど直接的な議論はしなかった。世界の準備通貨としてのドルの安定性や地位についても議論はなかった。米国側は、米議会で安過ぎるとして不満が募っている人民元という厄介な問題には踏み込まなかった。その代わり、米当局者は中国に対し、内需拡大を求め、輸出主導型の経済成長に過度に依存しない必要性を強調した。


 <外交・戦略協議はどうなったか>


 両国は、北東アジア、南アジア、中東、アフリカなどでの従来および非従来型の危機対応で密接に連携することを約束した。テロと闘い、国際的な核不拡散と軍縮を強化することでも合意


 北朝鮮については、停滞している6カ国協議を進展させるほか、北朝鮮に対する国連の制裁決議1874号の履行を確認した。クリントン米国務長官は、イランの核兵器開発疑惑について、中国は米国が抱いている懸念を共有していると述べた。


 両国はアフガニスタン、パキスタンの安定促進などで協力することで合意。スーダンのダルフール問題でも協議を重ねる方針。


 <地球温暖化問題での成果は何か>


 両国は地球温暖化・環境・エネルギー問題での協力強化で覚書に調印した。
クリントン長官は、地球温暖化ガス排出削減策をめぐり詳細に議論したと述べたが、新たな排出削減目標などでは合意していない。


 <米国は人権問題を取り上げたか>


 人権問題は、米中協議冒頭の開会演説でオバマ米大統領が取り上げ、クリントン長官もわずかだが言及した。しかしオバマ政権は、他の分野での進展に影響が及ぶ可能性を懸念し、人権問題での衝突は避けたかったようだ


 



F22配備「日本に恩恵」 在日米軍司令官


7月29日9時30分配信 琉球新報


 【東京】在日米軍のエドワード・ライス司令官(中将)が28日、東京都内の日本記者クラブで記者会見し、米空軍嘉手納基地に最新鋭戦闘機F22を一時配備していることについて「トップグレード(最新鋭)の航空機を沖縄に配備し、前方展開配備ができていることは、地域全体にとって安定化要因となっている。
日本は米国がF22を配備することで抑止力の恩恵を受けることができる」と述べ、F22の沖縄配備の意義を強調した。

 嘉手納基地へのF22一時配備で騒音が激化しているとして、地元から撤退を求める声が上がっている中、ライス氏の発言は、嘉手納基地へのF22常駐化を示唆したとも受け止められ、地元は反発している。

 F22については、防衛省が航空自衛隊の次期主力戦闘機として購入の意欲を示しているが、米国は軍事技術の流出の懸念から輸出を禁止、日本への輸出にも否定的な姿勢を示している。

ライス氏は「世界の中でも(米国以外の)他国はF22は持てない。日本は日米同盟関係を通じて配備が可能になっている。これは世界の多くの国が持てないメリット(強み)だ」と述べた。

 衆院選挙で民主党が米軍普天間飛行場の県外移設を目指す姿勢を示していることについては「(在日米軍再編合意が)パッケージ全体として強いものであるため、個々の要素を変えると全体が弱まってしまいかねない。個別の要素については変更しないというのが日米両政府の一貫した立場だ」と、従来通り名護市辺野古沖への移設が最善との見方を示し、民主党が掲げる県外移設をけん制した。

 日米地位協定の見直しについては運用の改善で対応すべきだとの考えを示した。

<在日米軍司令官会見一問一答>
 ライス在日米軍司令官の記者会見での主な一問一答は次の通り。

 ―日本国内には在日米軍再編合意の見直しや普天間飛行場の県外、国外移設を求める声がある。
 「(パッケージ論など)複雑な合意のため、一部の人々には同意できない点もあるが、利点をもたらす多くの要素が入っている。個別の要素は変えないというのが一貫した立場だ」

 ―日米地位協定の改定や思いやり予算の見直しを求める声がある。
 「地位協定は見直す必要はない。どのように実施するかは、妥当な時に考えていく。日本は憲法の制約上米国を守れない。日本が同盟関係に貢献する一つの方法が思いやり予算だ」

 ―米国の「核の傘」について。国内では自国での核武装を検討するような議論もある。
 「核の傘を含む米国の抑止力は強力に機能している。日本が独自に核を保有する理由はない」

 ―F22の沖縄配備は地域の安定に効果があるか。
 「安定的効果を持つ。自衛隊にとっても重要な訓練の機会を提供することにつながっている。F22の沖縄配備は、日米同盟がいかに多くの利益をもたらすかということのシグナルだ」

やはり、


米国は中国市場が


米国の回復にかかせないので、


人権問題など腰を引いた外交のようだ。


それに比べて、日本に対しては強く出てきた。

米国以外の日本だけがF22の配備が可能なメリットだから


米軍基地に対する「思いやり予算」は削るな!


米軍が日本を守ってやるが、


日本は米国を守れない


日米同盟だと。


憲法9条を押し付け


日本を丸腰、平和ボケにさせ


朝鮮動乱から慌てて自衛隊を作らせて


日米同盟だ、守ってやるから、口だすな、金を出せ!


いつまで、日本はアメリカの奴隷なんだろう?


世界中は事件ばかりで「平和」は無い。


「平和」を望む気持ちは皆ある。


核武装中立の平和構想が


出ても不思議は無い。


考えてみよう。


米中接近


日本の


選択。


半導体世界戦争(上)

2009-07-30 07:57:49 | 日記

なぜ日本だけが儲からない?
半導体世界戦争(上)


したたかな大覇権争いの幕が開いた


 あらゆる端末がインターネットにつながれ、その機能が融合するなかで、半導体の世界市場では、製品カテゴリーを超えた寡占化が進行している。開発から製造まで、巨大なリソースの投下が必須であるこの産業では、「トップ3入り」が勝ち残りの絶対条件となる。


 寡占化を導くのは標準プラットフォームであり、それを規定するのはソフトウエアだ。インテルをはじめとする強豪が、新しい戦いに挑んでいる。残念ながら、そこに日本勢の姿はない。


 大手各社は過当競争を凌げずDRAMを手放し、代わりにシステムLSI(大規模集積回路)を主力製品に据えたものの、機器メーカーからの受注生産では、工場の稼働率を上げられず、新しいビジネスモデルも描けぬまま、経営統合を繰り返すのみだ。それはただの問題先送りではないか。


 なぜ、かつてシェア上位を占めたプレーヤーが“蚊帳の外”なのか。経済産業省も買収ファンドもこぞって“日の丸工場”設立によるファブレス(設計専業)への転身を、日本半導体のリバイバルプランとして描く。それは本当に正しく機能するのだろうか。








戦線から振り落とされる日本勢


インテル“アウトサイド”


 巨人同士が、手を結んだ。6月23日、半導体最大手の米インテルと携帯電話最大手のフィンランドのノキアが提携を発表、「スマートフォン、ノートPC、ネットブック(ミニノートPC)の先にある新しいモバイルプラットフォームを策定する」と宣言した


PC、サーバ向けマイクロプロセッサ(CPU)で約80%の圧倒的シェアを誇るインテルにとって、これら携帯電話とPCの境界域ともいえるモバイルインターネット機器(MID)は、目下最大の成長市場であることは間違いない。


 実際、2008年に登場した低消費電力型プロセッサ「Atom(アトム)」は急速に立ち上がり、08年の出荷台数が1000万台に達した(米ガートナー調べ)ネットブックに搭載され、大ヒットした。


 インテルによれば、08年第4四半期のAtomの売上高は、プロセッサ全体が縮小するなかで、約3億ドルと前年同期の1.5倍に拡大した。


 もっとも、Atomの“本命”はほかにあった。インテルが狙いを定めながら有効な攻め手を見出せない、携帯電話やデジタル家電といった組み込み機器である。インテルにとって今回の強力なタッグは、さしずめスマートフォンへの進出の橋頭堡と見るべきだろう。


 ガートナーによれば、08年のスマートフォン市場は、米アップルの「iPhone」の登場などによって13.9%成長し、1億3928万台に達した。なかでも、北米市場は69%も伸びた。すでに、携帯電話の出荷台数の12%を占める。


 従来の携帯電話はもちろん、スマートフォンでも43%を超える圧倒的シェアを握るのが、ノキアである。


 そのノキアを最重要顧客とするのは、ベースバンドチップやアプリケーションプロセッサといった心臓部を納める米テキサスインスツルメンツ(TI)だ。そして、TIなどに携帯電話向けプロセッサコアをほぼ独占的に提供しているのが、英ARMである。「インテルが仕掛けるのはARMとの戦争」とTI幹部は断言する。


 かつてインテルも、ARMアーキテクチャを手がけたことがあった。1998年、米デジタルイクイップメント(DEC)からプロセッサコア技術を買い取り、「XScale」をリリースした。だが、不調に終わり、06年には米マーベルセミコンダクタに事業売却してしまった。


 このとき、インテルは方針転換を図った。すでにPC上でデファクトスタンダードとなった「x86」の自社アーキテクチャを引っ提げ、この分野に再度切り込む──。


 もっとも、08年のノキアのスマートフォンは不調で、前年より5.7%ポイントシェアを落としている(ガートナー調べ)。当然、TIも引きずられた


「OSの囲い込み」に積極的なインテル


一方、カナダのリサーチインモーション(RIM)の「ブラックベリー」とベンダーの米マーベル、iPhoneとベンダーの韓サムスン電子が急伸している。米グーグルが中心となって開発したリナックスベースのOS「Android(アンドロイド)」を搭載した台湾HTCは、クアルコムを採用して伸びている。


 だが、ノキア以外にインテルは韓LG電子とも提携しており、Android陣営にも名を連ねる。複数の突破口から、ARMを攻略し続けるだろう。



組み込み機器へと戦線を拡大するインテル


プロセッサの二大巨頭が
マイコン市場に攻め込む


 インテルとARMの主戦場は、MIDだけではない。家電、白モノ等民生機器や、業務用のPOS(販売時点情報管理)レジや周辺機器などさまざまな機器に搭載されるマイクロコントローラにまで広がる。


 マイコンにおいては、メーカーがそれぞれ独自のプロセッサコアで製品ラインナップを展開している。日本勢も強く、4月末に経営統合が決まったルネサステクノロジとNECエレクトロニクス(NECEL)も世界シェア上位に位置する。


 プロセッサコアが乱立しているこの状況では、ユーザーは転用の際にソフトウエアの手直しを余儀なくされる。マイコンメーカーにとっても、コアの開発費用には莫大な投資が必要になる。両社は、この“非効率”に付け込もうとしているのだ。


 ARMは新開発したマイコン向けプロセッサコア「Cortex‐M(コーレックスM)」を、オランダのフィリップスから独立したNXP、仏伊合弁のSTマイクロエレクトロニクス、東芝などにライセンスし、各社からはすでに新製品が登場している。


 


 Atomで攻めるインテルは、OSの囲い込みに精力的だ。5月にリナックスOSの普及を目的にソフトウエア大手の米ノベルと提携、続く6月には組み込みOS大手の米ウィンドリバーシステムズを買収した。いずれも標準化をにらんだ戦線拡大である。


 PCであれ、携帯電話であれ、テレビであれ、カーナビゲーションであれ、インターネットやストレージデバイスを介して、コンテンツや情報を自由に快適にやり取りできる環境こそが求められる時代になった。


 従来の機器のカテゴライズなどもはや意味はない。必要なのは、その環境を支えるネットワークインターフェースのインフラであり、ソフトウエア環境であり、そのための設計・開発プラットフォームなのである。


 10年4月に誕生するルネサス‐NECEL連合にとって、二艘の巨大な黒船来航は最大の脅威の1つだろう。社内融和に費やす時間の猶予はない。


 だが、三菱電機と日立製作所の合弁であるルネサスは、03年4月の統合から6年が経過したものの、両社のプロセッサコアは共通化されることもなく、それぞれの開発、サポート体制がいまなお継続されている。


 今回、NECELが同様に足し算されるだけならば、統合効果は望めず、「三頭馬車」との批判はかわせないだろう。


CPUからGPUへ


 では、インテルを脅かす勢力は存在するか。


 PC・サーバという“自分の庭”には、今のところ恐れるべき敵は存在しない。同じx86アーキテクチャの米アドバンスドマイクロデバイシズ(AMD)を残すのみである。


 AMDはインテルとの一騎打ちが響き、業績を悪化させており、08年度の最終損失は30億0980万ドル(売上高は58億0800万ドル)と、3期連続の赤字に陥った。


 もっとも、インテルは5月に欧州連合(EU)の欧州委員会から10億6000万ユーロという巨額な制裁金支払い命令を受けており、独占禁止法上の観点からも、AMDを殺しはしまい。AMDは「まだ挽回の余地はある。インテルに挑み続ける」(吉沢俊介・日本AMD社長)とし、ジリジリとシェアを挽回する構えだ


覇権争いの市場に日本勢の姿はない?


なにしろ、世界半導体市場約25兆円のうち、およそ30%がPC向けだ。しかも、いまだ毎年コンスタントに3億台が増えている成長市場である。急速に立ち上がったネットブックも市場拡大に貢献した。


 サーバ市場も堅調だ。インターネットを経由した情報・アプリケーションサービスを可能にするクラウドコンピューティングの進展が、サーバ市場拡大の背中を押している。


 IDCによれば、08年に世界市場で出荷されたサーバのうち、85%にインテルのプロセッサが搭載された。PC市場と並んで、圧倒的優位にあるのだ。


 グラフィックスプロセッシングユニット(GPU)で果敢に仕掛けるのが、カナダATIテクノロジーを買収したAMDと米エヌビディアである。両社は外付けのGPUで、エヌビディアが66%、AMDが34%とシェアを二分している。


 3次元世界地図「グーグルアース」や高解像度の動画再生など、PCやMIDにおける画像処理能力は、ユーザーに対する差別化要素としてますます重要度を増している。


 それだけではない。GPUは演算性能を向上させる加速機構としても十分に有効だ。実際、エヌビディアの製品群はスーパーコンピュータやサーバに採用され、高い処理能力を発揮している。すでにネットブックにも採用されており、スマートフォン向けのラインナップも登場した。


 「エヌビディアを搭載すれば、ローエンドのCPUでも十分快適な操作ができる」と大手PCメーカーの開発者も太鼓判を押す。


 エヌビディアの戦略は、演算処理能力をできる限りCPUからGPUに移行し、インテルをいわば“骨抜き”にしてしまおうというものだ。


 AMDがATIを買収したように、業界内にはエヌビディアが近いうちにCPUを手に入れるとの憶測もある。


 業界勢力図を塗り替えるようなしたたかな大覇権争いに、日本勢の姿はない。


 Part 1では、世界市場を舞台にした競争の現実を明らかにし、続くPart 2では日本半導体が抱える構造問題に踏み込む。(取材・文/『週刊ダイヤモンド』副編集長 遠藤典子)


半導体世界戦争(下)

2009-07-30 07:36:13 | 日記

なぜ日本だけが儲からない?
半導体世界戦争(下)



かつて「日の丸半導体」の名を世界に轟かせた日本勢は、今や激しい競争に疲弊し、DRAMを諦めてシステムLSIに特化する戦略転換を図っている。だが、いつまでたっても利益を生めない。競争力喪失の元凶は工場稼働率だけではなく、設計力の劣後にありはしないか。半導体各社の攻防を俯瞰した前回のレポートに続き、今回は産業ピラミッド構造の最下層に位置する日本勢の「弱点の本質」に斬り込む。(取材・文/『週刊ダイヤモンド』副編集長 遠藤典子)


「産業ピラミッドの最下層」


 未曾有の世界不況は、半導体産業にも暗く長い影を落としている。


 2008年9月のリーマンショック以降、PC、携帯電話、AV、自動車などすべての機器において需要が世界中で蒸発し、基幹部品である半導体需要は真っ先に細り、在庫の山を積み上げた。


 さしもの米インテルも、08年第4四半期の売上高は82億ドルと前年同期比で23%の減少となり、最終利益に至っては2億3400万ドルと、同じく前年同期比で90%も下回った。


 09年第1四半期も減収減益は続き、売上高は71億ドルと前年同期比で26%減少、最終利益は6億4700万ドルで55%減少となった。


 日本の大手半導体の打撃はさらに深刻だ(右図参照)。


 08年度決算は、東芝の半導体事業が2799億円の営業赤字(売上高1兆0232億円)、ルネサステクノロジが2028億円の最終赤字(売上高7027億円)、NECエレクトロニクス(NECEL)が830億円の最終赤字(売上高5464億円)を計上する惨憺たる結果で、本体や親会社の屋台骨まで大きく揺るがした。



総崩れ状態に陥った日本メーカーの惨状


なかでも東芝は、半導体事業が足を引っ張り、2800億円の最終赤字を計上、自己資本比率はついに8%台に落ち込んでしまった。3100億円の公募増資に加え、金融機関に対して1700億~1800億円の劣後債を発行して緊急避難するものの、半導体事業の勝ち残りのために巨額の設備投資を継続するには、財務体質が脆弱過ぎる。


 債務超過に陥ったルネサスに対してそれぞれ540億円の緊急増資に応じた親会社、日立製作所も三菱電機も、NECELの親会社であるNECも、事情は同じだ。ついにルネサスとNECELは経営統合を決断、10年4月からひとり歩きを始める。


 日本の半導体産業はそもそも、コンピュータや交換機の設計部門として誕生した。日立、NEC、富士通などがシステムLSI(大規模集積回路)のカスタム品であるASICで先行したのはそうした理由からだ。


 1980年代にはDRAMという汎用品で売り上げを急拡大し、「日本のコメ」といわれるほどの基幹産業に成長する。


 だが、86年の日米半導体協定以降、韓国・台湾勢など新規参入組との競争が激化し、赤字幅が拡大するようになると、本体でリスクを抱え切れず、DRAMからの撤退、そして半導体事業の分社に踏み切った。


 2000年にはNECと日立のDRAM合弁であるエルピーダメモリが誕生、02年にはNECELが分離、独立した。03年には日立と三菱電機のシステムLSI合弁、ルネサスが生まれ、08年には富士通マイクロエレクトロニクスが独立した。


 だが、DRAMに代わって新しい柱として期待されたシステムLSI事業はジリ貧だ。ルネサスとNECELの業績推移を見れば、明らかである。世界に目を転じても、その低収益性は際立っている。



高収益、高時価総額のファブレスカンパニー


 上図は、主要システムLSIメーカーの売上高営業利益率と時価総額を示したものだ。経済が悪化した08年度でも売上高営業利益率が20%を上回る高収益企業は存在し、株式市場はそれを高く評価している。


 なぜ、日本のシステムLSIは儲からないのか。



買収ファンドが模索する「共同ファブ構想」


 




くすぶる共同ファブ構想


 日本を代表する投資銀行の幹部と、米プライベートエクイティ(PE。買収ファンド)の幹部のスーツケースには、日本の大手半導体への提案書が、長らく眠っている。


「共同ファブ(工場)」「日の丸ファウンドリー(製造受託会社)」──。ネーミングこそ違うが、どちらも半導体の製造部門をスピンアウトさせることを軸とした、再編スキームを描いたものだ。


 政府も、じつは同じ構想を持つ。かねて経済産業省は、共同ファブ設立こそ地盤沈下が進む日本半導体の起死回生策になると、繰り返し旗振り役を買って出た。だが、最終的にメーカーの思惑はすれ違い、実ることはなかった。


 簡単にいえば、再編の論理はこうである。大ヒットしたソニーのゲーム機「プレイステーション」ほどの、大口契約があった時代はまだいい。数千億円規模の設備投資を行なった新工場の最新鋭ラインを十分に稼働させるほどのシステムLSIのオーダーなど、そうそうあるわけではない──。


 しかも、各社は全国各地に点在する工場に、古いラインを抱えたままだ。ボトルネックは、この低い稼働率にある。企業横断的な共同ファブを設立し、そこに製造機能を集約しなければならない──。


 再編論者の視線の先には、世界最大のファウンドリー台湾TSMCがある。TSMCのプロセス技術にのっとった設計デザインが、世界各国のファブレス(工場を持たない設計デザイン専業)メーカーなどから続々とTSMCに集まっている。


 共同ファブ構想には、少なくとも日本メーカーの設計デザインを標準化して囲い込み、TSMCへの対抗軸としたい、という理想がある。


 確かに、ファブレスとファウンドリーに分かれた「水平分業」は帰らざる河だ。設計から生産まで1社で完結する「垂直統合」を貫いてきた総合半導体メーカー(IDM)のなかにも、生産をファウンドリーに委託する企業が現れた。


 米テキサスインスツルメンツ(TI)は07年に戦略転換し、すでに50%近い生産を外部に委託、08年度は約19億ドルの高い最終利益をたたき出した。


 インテルすら、Atom生産を事実上TSMCに外注した。日本勢では、富士通マイクロがTSMCへの委託を決断した。ちなみに、TSMCの高い売上高営業利益率は08年度も変わらず、30%を上回っている。



ASICの日本勢とASSPの海外勢


「諦めたわけではない」──経産省のある幹部は言う。確かに、一度はお蔵入りとなった件の共同ファブ構想に再燃の兆しがある。


 東芝や富士通も交え、過去に幾度となく半導体の経営統合を模索した各社にとって、最大の難題が老朽化した生産設備だった。「それぞれ4ケタ億円にも上る評価損を計上しなければならない」(大手半導体幹部)からだ。


 今となればその体力など、ルネサス─NECEL連合はもとより、どの会社にも残っていない。だからこそ外部の資本を投入し、古いラインも含め設備を集約し、売却などリストラを一気に進めるべきだ。それがPEの言い分である。


 大型の再編を伴えば、4月末に施行された改正産業活力再生法に基づき、日本政策投資銀行や新設された官民ファンド、産業革新機構から公的資金による出資を受けられる、との思惑もあるだろう。


ASICにすがる日本勢
ASSPで攻める海外勢


 「産業ピラミッドの最下層」──。ある大手半導体の幹部は自嘲気味にこう言った。半導体メーカーはあくまで機器メーカーの“御用聞き”“下請け”にすぎない、との思いが込められている。


 家電を例にとろう。ソニーなど日本の多くの有力機器メーカーは、搭載する半導体の設計仕様を自ら書き上げたうえで、半導体メーカーに発注するのが常だった。その独自志向が、むしろ日本の競争力を弱める。


 「彼らは決して世界でいちばん安いチップをくれとは言わない。世界で唯一のチップに仕上げろと言う。過剰品質に陥りがちで、チップサイズも大きくなり、海外向けには転用できない」(大手半導体幹部)。


 ASICの御用聞きに甘んじている多くの日本勢に対して、世界の有力メーカーの発想は180度異なっている。


 海外勢は機器の設計、OS、アプリケーションソフト、開発ツールまで視野に入れて、自社の製品やアーキテクチャの拡大を図る。カスタム製品のASICではなく、汎用品のASSPに注力しているのだ。


 技術フォーマット標準化のコンソーシアムに参加しても、「貢献はするが果実はなし」(大手半導体幹部)という日本勢は、こうしたビジネスプロセスに慣れていないのだろう。



半導体を“プラモデル化”したメディアテック


 




日本企業・部門の低収益が際立つ


 だが、仮にそれを身につけられたとしても、そもそも設計力で劣後してはいないか。


 デジタル化の進展とともに、ソフトウエアが機器の多くの機能を規定するようになった。それにもかかわらず、「技術者の内訳を比較すると、海外ファブレスの場合、30~40%がハードウエア、20~40%がソフトウエアの設計、10%程度がプロセス開発、残りが動作検証や品質管理に従事している。


 日本はその順に37%、6%、18%、39%。圧倒的にソフトウエアの人員が少ない」と南川明・アイサプライジャパン副社長・主席アナリストは指摘する。過剰な動作検証・品質管理は、重い本社人員に加えて、一人当たり収益を押し下げる要因になっている(上図参照)。


 前述したが、日本の半導体はコンピュータや交換機の設計部門で生まれ育った。半導体が分社され、設計部門も一緒に新会社に移された。当然、機器開発と半導体設計は分断された。設計力の弱体化の主因は、ここにもあるだろう。


 とすれば、日本のシステムLSIの構造問題の根は深い。共同ファブでは、とてもソリューションになりえないことになる。


メカからプラモデルへ


 日本のシステムLSIの停滞を尻目に、大躍進したファブレスがある。液晶テレビや携帯電話向けを主力とする台湾のメディアテックだ。


 中国の携帯市場はおよそ2億台だが、そのほかにも2億台のノーブランド品が流通しているといわれる。そのほぼ100%にメディアテックのアプリケーションプロセッサが搭載されている。


 価格はTI製のわずか2分の1程度と見られる。液晶テレビでは中国製はもちろん、韓サムスン電子など大手ブランドにも採用され始めた。


 メディアテックは新興国市場を中心にシェアを伸ばし、世界不況をものともせず、増収増益を続けている。08年度の売上高は、前年度を18%上回る904台湾ドル(約2550億円)と、日本勢のシステムLSIに迫る勢いだ。売上高営業利益率では、21.8%と圧倒的にリードしている。



ローエンドモデルを軽視した日本勢の“ツケ”




 メディアテック急成長の背景は2つある。まず、デジタル化の進展によって標準プラットフォームが構築され、あらゆる機器の部品がモジュール化したために参入障壁が下がった。プラモデルでも組み立てるように、高度な機器を生産できるようになったのである。


 次に、「PCに加え、液晶テレビや携帯電話の加工組み立てが、ホンハイなど台湾の有力ODM(相手先ブランドによる設計・生産)会社にシフトしている」(大森栄作・みずほ証券シニアアナリスト)。


 日本の選択は違った。付加価値が高いからとハイエンドモデルに特化し、成長著しいローエンドモデルには見向きもしなかった。これも、国際競争力を低下させた要因だろう。


 いよいよ半導体世界戦争の舞台は、エレクトロニクス化が進む自動車の心臓部、車載LANに移るだろう。だが、次世代の制御系車載LANのインターフェース規格「FlexRay(フレックスレイ)」の採用において、日本メーカーはオリジナル版を検討していたがまとまらず、欧州メーカーに大きく後れを取ってしまった。


 その結果、すでにFlexRayのコアアーキテクチャは、米フリースケールセミコンダクタと独ボッシュに握られてしまった。車載ソフトウエアの標準規格策定においても、同じ失敗を繰り返しかねない。


 水平分業の波は、必ず自動車にも押し寄せる。電機と同じ轍を踏むようでは、学習能力の喪失を証明してしまう。


民主党が政権を握った場合

2009-07-30 06:44:13 | 日記

民主の家計支援策、GDP0.6ポイント押し上げの試算も


一部の民間エコノミストは、民主党のマニフェストに明記された家計支援を中心とした政策によって、2010年度の成長率を0.3%─0.6%ポイント程度押し上げる効果があると試算している。


 同党が打ち出している今後4年間で16.8兆円の財政支出のうち、短期的な効果だけを試算した結果だが、当面は相当程度の消費押し上げ効果が見込めるとの見方も出ている。


 一方、民主党が掲げている公共投資の削減や企業負担の増加などもあり、公約期間4年間でみた場合、プラス効果だけでなく成長率にマイナスの影響も出てくる。また、年金など国民の将来不安が解消しない限り、財政支援が家計支出の増加につながる見込みは小さく、そうした点への取り組みが重要になるとの指摘も出ている。


 <家計援助政策による消費押し上げ効果は確実>


 民主党は目玉政策の1つとして、子ども1人あたり月額2万6000円を支給する子ども手当の実施を打ち出している。政権担当の初年度にあたる2010年度については、その半額(月1万3000円)を支給する方針だが、マネックス証券・チーフエコノミスト・村上尚己氏は、5割が消費に回ると仮定すれば、民間消費を0.5ポイント程度押し上げるとみている。通常、景気拡大期においてもGDPベースでの個人消費の伸び率は1%程度であることを踏まえると、大きな効果が見込まれる。


 BNPパリバ証券チーフエコノミスト・河野龍太郎氏によると、2010年度の追加財政支出は7.1兆円程度。マクロ経済への効果は、仮に乗数が0.2であれば、GDPを0.29ポイント押し上げる。ただ、この試算は、将来の増税や財政引き締めを国民がイメージしないことが前提だ。


 クレディスイス証券・チーフエコノミストの白川浩道氏も、家計支出の増加により、成長率が押し上げられるとみている。民主党が打ち出した経済対策のうち、歳出削減・増税を除いた純支出額を計算すると、2010年は8.1兆円、11年度が3.8兆円、12、13年度は純支出はマイナスとなる。前半の2年度については純支出額がプラスとなり、成長率押し上げ効果を持つ。このうち、子ども手当や農家の戸別所得補償、ガソリン税減税、後期高齢者医療制度廃止などが押し上げ効果を有するが、その支出合計額の5割程度が実際の支出に回ると想定すると、GDPは2010年度に0.5─0.6ポイント、11年度は0.4ポイント押し上げられる


<将来不安の解消が課題>


民主党が政権を握った場合、家計支援が主たる政権公約である以上、こうした措置が実現される可能性は高いとの見方が大勢。このためエコノミストの間では、ある程度の消費拡大効果は確実と見られている。もっとも、どの程度消費に回るかは疑問との指摘も少なくない。


 JPモルガン証券・シニアエコノミスト・足立正道氏は「家計支出拡大効果が実現するかどうかは、社会保障費がどうなるかなど将来不安の解消次第の面もある」と指摘。また、企業に厳しい内容の政策が実現すれば、人件費の削減がより強まり、家計への悪影響もありえる。


 河野氏も、民主党による政策の効果は、将来の財政規律維持や増税見通しを国民がどうみるか次第で効果も変わってくると見ている。「望ましい歳出の組み替えによって人々の不安を解消することができれば、人々が恒常的に支出を増やすため、成長率は持続的に高まるはず」としている。


(ロイター日本語ニュース 中川泉記者;編集 田巻 一彦)


マスクに装着可能な電界を利用した空気殺菌フィルター

2009-07-29 23:17:15 | 日記

宇都宮大、マスクに装着可能な電界利用の空気殺菌フィルター開発


 宇都宮大学大学院の長澤武教授らは、マスクに装着可能な電界を利用した空気殺菌フィルターを開発した。


2枚の電極に薄い絶縁体を挟んだ簡易構造で、低電圧で殺菌に必要な高い電界を作り出す
プラズマなど従来の放電式の殺菌に比べかける電圧が低く、安全で軽量なうえ装置が安価。強毒性変異への危険性が高い新型インフルエンザ対策などに有効とみる。


 開発したフィルター装置は、0・1ミリメートル間隔に置いた網目状の銅板の電極に、多数の穴が開いた薄いプリント基板などの絶縁体を挟んだ構造。ここに約300ボルトの電圧をかけると、穴の内部に高い電界がかかり、雑菌自身にも電荷が生じる。


 この菌が誘起した電圧がスパーク放電すると、菌を覆うナノメートル寸法(ナノは10億分の1)の細胞膜が破れ、内部の細胞質が飛び出して菌が自滅する仕組み。
(日刊工業新聞 2009年07月29日)