干潟覆うアオサの有資源化 植木鉢やボールペンに
谷津干潟自然観察センター
干潟を覆うアオサの有効利用にと、谷津干潟自然観察センターの指定管理者「UMS」が、アオサを原料とした、植木鉢やボールペンなどを製品化した。動植物から生まれた再生可能な有機性資源による「バイオマスプラスチック」に、アオサを利用した例は全国初。同センターは今後、アオサの洗浄、乾燥作業体験などを行う市民を対象とした「環境学習の場」を設け、多くの人にアオサに対する理解を図りたい考えだ。現在、干潟に大量に繁茂するアオサが全国的に問題視されている。谷津干潟も例外ではなく、「腐敗すると悪臭を帯びる」などの理由から、アオサの回収作業を実施、乾燥させ焼却処分している。
同時に、アオサの有効利用ができないか検討していた同センターは、有機性資源「バイオマス」に着目。県の「木質バイオマス新用途開発プロジェクト」の開発事業に携わる?佼和テクノス(山武市)に協力を依頼、アオサを用いた「バイオマスプラスチック」の開発に成功した。現在は、アオサ50%、タケ20%、ポリプロピレン30%の割合だが、今後、アオサの割合を増やすことも可能という。
製品化された植木鉢などは来館者へ販売し収益は加工コストの回収やアオサ対策費に充てられるという。
ただ、アオサを洗浄して、泥と塩分を落とすにはかなりの手間と時間を要する。そこでこの作業を、市民参加による地域一帯となった環境学習として定着できないかと同センターでは考えている。一人30分~1時間の協働プログラムを作成、「体験型環境学習」として多くの市民の参加を呼びかけている。参加者には作業の成果物として植木鉢などアオサ原料の製品が渡される。
アオサ自体はもともと無害だが、異常繁茂することで腐敗して異臭を放ち、鳥のエサとなるゴカイ類が酸欠で死滅するなどの悪影響をもたらす。センターでは毎月20トンほどアオサを回収して焼却処分していたが、「ただ燃やすだけではもったいない」と昨秋、植物を原料として環境にもやさしい「バイオマスプラスチック」の製造技術に着目した。
処理工程を学ぶため、バイオマスプラスチックを製造する県内外の工場を訪問。プラスチック化してボールペンにする作業は工場への委託だが、原料のアオサを洗浄して乾燥させる作業は同センターの島田義夫所長自ら、2か月がかりで手がけた。島田所長は「水に漬けすぎて溶けたり、ウジがわいたりして大変だった」と振り返る。
TEL(454)8416同センター。((船橋よみうり新聞社)