「火花散る おいち不思議がたり」 あさのあつこ PHP研究所 2018.6.29
おいち不思議がたり、第4作目。
赤子を産み落とした女が姿を消したーー。
その女は無残な死体で発見される。
声なき声を感じ取ったおいちは、女の正体を探るが、
思わぬ事態に巻き込まれ、
岡っ引き・仙五朗と事件解決にあたる。
いつもながら、タイミングよく登場する伯母・おうたがなかなか。
おうたは口うるさいだけではないーー。
踏み込んではならないと、心得ていた。この世にはとことん問い詰めねばならないものも、知らぬふりをしなければならないものもある。おうたは、ちゃんと解している。
ちゃんと騙されてくれる。
そんな機微をわきまえたいものだ。
大店の隠居・おきくが言う。
「妬みって、粘り気があるのです。べとべとしていて、払おうとすればするほど纏わりついてくるのです。(略)でも、それを外に出すことはできなかった…。」
「甘露梅 お針子おとせ吉原春秋」 宇江佐真理 光文社 2001.11.25
亭主を亡くし、新吉原の大籬海老屋にお針として住み込んだおとせの春夏秋冬。
郭とは無縁だったおとせ目線の吉原が、
なかなかに味わい深い。