「玄鳥さりて」 葉室麟 新潮社 2018.1.20
葉室さんの遺作、かな……。
玄鳥とは燕のこと。
富商の娘を娶り、藩内で出世を遂げる三浦圭吾。
その陰には彼を慈しみ、遠島を引き受けてまで守ろうとした剣の達人・樋口六郎兵衛の献身があった。
十年を経て罪を許された六郎兵衛は静かな暮らしを望むが、親政を目論む藩主の企てにより圭吾に敵対するよう仕立てられていくーー。
武士の刀は、わが命より大切なひとを守るもの。
互いを思いやりながらも、藩政に翻弄される男たちの葛藤と覚悟。
と、帯にあった。
どこにでもある人間関係、派閥、次第に膨らむ権勢欲……
次第に否応なしに絡めとられてしまう。
それでもきっと、どこかに道はあると、
葉室さんは伝えたかったのだろうか……