ある記憶

遥か遠くにいってしまった記憶たち

じんなら魚 犀星

2010-05-05 08:37:29 | 

犀星の碑を見つけました。

犀星も伊豆を愛した文人の一人でした。
ここの魚や蜜柑をこよなく好んだようです。

〝じんなら魚〟とは温泉街を流れる川に棲む魚です。


じんなら魚

伊豆伊東の温泉(いでゆ)に
じんならと云へる魚棲みけり

けむり立つ湯のなかに
己れ冷たき身を泳がし
あさ日さす水面に出でて遊びけり

人ありて問わばじんならは悲しと告げむ
己れ冷たく温泉(ゆ)はあつく
されど泳がねばならず
けぶり立つ温泉(いでゆ)のなかに棲みけり





犀星と言えば〝ふるさとは遠くにありて思うもの…〟が有名ですね。
この詩だけは早くから暗誦し親しんできました。
いまも最後まですらすら言える数少ない詩のひとつです。


この碑の目の前に川が流れています。
海が近いためこの辺は中流になるのでしょうか、小川というにはやや広めです。
また流れが速いのは海からそり立つような山々から急なこう配で水が下るからでしょう。

じんならがいるかと目を凝らしましたがとても確認できませんでした。
ただ、岸辺の浅瀬に白地に赤い斑点のある鯉が1匹日向ぼっこをしていました。
どこかの旅館で飼われていたのが何かの拍子に川に流れ出たのかもしれません。
ひとりで淋しそうでもありました。

天気が良くて清々しい朝に見つけたこの碑は心にうれしかった。






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