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海外ドラマや映画の感想いろいろ書いてます。

なんちゃって映画レビュー その3

2017-08-26 10:47:04 | 閑話
白鯨との闘い


In the Heart of the Sea
Directed by Ron Howard
Screenplay by Charles Leavitt
Based on In the Heart of the Sea by Nathaniel Philbrick
USA 2015

★★★★☆


オーウェン・チェイス:クリス・ヘムズワース(エセックス号の一等航海士)
ジョージ・ポラード:ベンジャミン・ウォーカー(エセックス号の船長)
マシュー・ジョイ:キリアン・マーフィー(エセックス号の二等航海士)
トーマス・ニッカーソン:トム・ホランド(エセックス号のキャビン・ボーイ)
ハーマン・メルヴィル:ベン・ウィショー
老年期のトーマス・ニッカーソン:ブレンダン・グリーソン
ニッカーソン夫人:ミシェル・フェアリー

1850年、アメリカの新進作家ハーマン・メルヴィルは、トーマスという男を訪ねた。
トーマスはかつてエセックス号(英語版)という捕鯨船に乗り組み、
巨大な白いマッコウクジラと戦った人々の最後の生き残りだった。
渋るトーマスから当時の壮絶な実話を聞き出すメルヴィル。

1819年、エセックス号は捕鯨基地ナンタケットを出港した。
船長は家柄だけで選ばれた未経験者のポラードで、ベテランの一等航海士チェイスはそれが不満だった。
船には14歳の孤児トーマスもキャビン・ボーイとして乗り組んでいた。

1年以上の航海でもなかなか鯨油を集められないエセックス号は、
噂を頼りに南米大陸から2000マイル(3700キロメートル)以上離れた未知の海域に乗り出した。
マッコウクジラの大群を見つけて色めき立つ船員たち。だが、群れを率いていたのは巨大で凶暴な白鯨だった。
ウィキペディアより)

ハーマン・メルヴィルの著作「白鯨」(Moby-Dick; or, The Whale)は有名ですが
この映画の原作は捕鯨よりもエセックス号に焦点をあてたストーリーで、
要するに「白鯨」の元となったお話です。
原題は「In the Heart of the Sea」
日本語にするのが難しそうなタイトルです。
海のど真ん中?(センスが・・・)
周りを見渡しても水平線しか見えないような大海原、なのかしら。

ブレンダン・グリーソン演じるトーマス・ニッカーソン、エセックス号の生存者が
ベン・ウィショー演じるハーマン・メルヴィルに当時の出来事を聞かせながら進んでいきます。


ストーリーはというと、
「闘い」なんてかっこいいものでは決してありません。
白鯨とカッコよく闘うクリヘムはどこにもいません。
もっと過酷で、哀しくて、でも壮大な映画でした。
とにかく映像の迫力がすごいです。


特に白鯨が大きな尾を見せる時の構図がすごいです。
お前たちなんて私の敵ですらないわーと言いながら悠々と泳ぐ姿は神々しくもありました。
チェイスが白鯨への攻撃をやめ畏怖の心を持った時、彼らの漂流が終わったように思いました。


クジラは現存する生物では一番巨大なんですよね。(除キングコング)
海には魔物が棲んでいるといいます。
それはクジラやサメだったりもしますが、人間の人智の及ばない領域でもあるように思います。
人間は海では生活できません。何しろ真水が存在しないのですから。

食べ物は魚を獲れば何とかなるかもしれませんが水だけはどうしようもありません。
今は水も作れますが、当時の技術ではそうもいきません。
まだ鯨油の時代で、ラストにやっと油田の話が出てくるくらいです。

だからきっと航海中も飲料水はかなり制限されていたのではないでしょうか。
そうでもなければあの長く過酷な漂流に耐えられるわけないですもん。

話が逸れてしまいました。漂流対策してどうする、私。
つまり、人間もクジラも陸の生物も海の生物も生かされている存在なのですから、
お互い敬意を表し命の糧をいただかないといけません。
と、そんな事を考えました。

深海には美しい生物、グロテスクな生物、不思議な生物がたくさん棲んでいますが
今でも解明されてない点が多いんですよね。
ダイオウイカなんてSFの世界だと思いましたが超深海にも生物がいるんですよね。
そういえばJAMSTECの深海展に姪が行ってきましたが面白かったそうです。
10月まで開催中で上野ですがお近くの方はぜひ。



ロン・ハワード監督はクリヘムとは2度目になるのかしらね。
とにかくクリヘムがかっこいいです。
やっぱり背が高いなーと思いましたが船長役のベンジャミン・ウォーカーも負けていませんでした。


そんな背の高い人たちに囲まれたトム・ホランドの子ども感が増していました。


この映画も豪華キャストですよね。
ベン・ウィショーからキリアン・マーフィー、ミシェル・フェアリーまで。

決して楽しい映画ではありませんし、かなりショッキングな場面もありました。
「白鯨」は恥ずかしながら一度もきちんと読んだことはありません。
絵本だったか、児童書だったか、は読みましたが・・・・
本当は「白鯨」をちゃんと読んでからこの映画を観るともっと面白いような気がします。



リリーのすべて

The Danish Girl
Directed by Tom Hooper
Screenplay by Lucinda Coxon
Based on The Danish Girl by David Ebershoff
UK USA 2015

★★★★★

アイナー・ヴェイナー / リリー・エルベ:エディ・レッドメイン
ゲルダ・ヴェイナー:アリシア・ヴィキャンデル
ハンス・アクスギル:マティアス・スーナールツ
ヘンリク・サンダール:ベン・ウィショー
ウラ:アンバー・ハード

1926年のデンマークの首都コペンハーゲン。
肖像画家のゲルダ・ヴェイナーは、風景画家の夫・アイナーと暮らしていた。
ゲルダの画家としての名声はアイナーに及ばなかった。
ある日、ゲルダが制作中の絵(女性ダンサー)のモデルが来られなくなり、
アイナーに脚部のモデルを頼む。それを見たゲルダは、冗談でアイナーを女装させ、
「リリー」という名の女性として知人のパーティーに連れて行ったが、
リリーが男性と親しげにする姿に当惑する。

しかしその後もアイナーはリリーとして男性と密会を続けていた。
ゲルダはリリーをモデルとした絵を描き、画商から評価を受ける。
アイナーに対して、ゲルダは自分の前では男でいることを望むが、
アイナーは「努力してみる」としか答えず、パーティーの出来事が女装のきっかけではないと打ち明ける。
やがて、アイナーはリリーとして過ごす時間が増え、絵を描くこともやめてしまう。
ゲルダはアイナーを医者に診せるが、そこでは精神疾患という扱いしか受けなかった。
ウィキペディアより)


エディ・レッドメインの女装が話題になりました。
この映画を観に行った友人に感想を聞いたところ、
エディが普通にきれいだった、と言うのでちょっと意外でした。
いや、失礼、悪口ではなくかなり高い審美眼を持つ友人だったので。

その言葉で観る決意をしました。

一言で言うと、エディきれーい、かわいー、でした。
役者って恐ろしいですけど、エディ・レッドメインも例外ではありませんでした。
いえ、それ以上かも。


レ・ミゼラブルで初めてエディを見ましたが、
印象には残っていたものの、特に興味もなく過ぎ去っていきました。
ベネディクトを知るまでは・・・

ベネディクトファンにとってエディ・レッドメインはスルーできる存在ではありません。
2014年にはイミテーションゲームvs博士と彼女のセオリーの構図ができましたし
特にホーキング博士は過去にベネディクトが演じた人物でもありました。

博士と彼女のセオリー(この邦題)も観ました。
もちろんベネディクトが演じた「ホーキング」とはスケールが違うので比べようもありませんが、
エディはどこから見てもスティーヴン・ホーキングでしたし、
フェリシティ・ジョーンズのジェーンも素晴らしかったです。

そして、この映画。
正直に言いますとエディ・レッドメインはベネディクト同様、
お顔の造形はそれほどでもないと思うんです。


細身なので女装してもギャグにはならないとは思いましたが、どうなの?と思いつつ見ましたが、
いやー、ホントにきれい。不思議な事にキレイに見えるんですよ。
理由のひとつは所作だと思います。
身のこなしがどこからみても女性らしく、私の10倍は優雅でした。
ホント、役者って怖い。


アイナーは性同一性障害と言っていいのかしら。
ウィキによるとインターセックスの疑いがあったんですね。
見た目もかなり女性に近かったようです。

ご本人は前例のない性転換手術を繰り返し女性の身体を手に入れたものの、
それが原因で間もなく亡くなってしまったようですが、
映画ではかなりソフトな表現になっているように思いました。


とにかくアイナーの執念がすごいです。
卵巣と子宮の移植手術を失敗するごとに繰り返していたそうですが、
さすがにそこまでの手術は現代でもなかなか厳しそうなのに
よく手術を完遂した医者がいたなあと。それに耐えた患者も凄いですけど。
でも予後はそうとう悪かったのでしょうね。
映画の中でも触れていましたが、それでも彼は決心を変える事はありませんでした。


心と身体のアンバランスに苦しんだアイナーですが、
そのアイナーをずっと支えたゲルダの強さも素晴らしかったです。
自分の夫の心が実は女性だったらやはりショックだろうし一時は拒絶もしていますが
でも最期までずっと寄り添っていました。

そしてここでもベン・ウィショー。
この方は本当に芸達者ですね。


ゲルダ役のアリシア・ヴィキャンデルはコードネーム U.N.C.L.E.のギャビーを演じていましたが
とても魅力のある女優さんです。


コードネーム U.N.C.L.E.はずい分あとになって観ましたが、あれはみんなが騒ぐのも無理ないですね。
ヘンリー・カヴィルもアーミー・ハマーもかっこいいもん。

余談ですが私には女装が趣味の友人がいます。男です。
でもゲイではなく、普通に所帯持ちです。

奥様にはずっと内緒にしてましたが結婚を控えたある日、
彼の部屋にロングの毛が数本落ちているのが奥様に見つかってしまうと言う、
それなんて昼メロ?な展開になりました。

浮気と偽るか、自分の趣味を打ち明けるか。
彼が選んだのは後者でした。
その場が修羅と化したのは言うまでもありません。
奥様としては浮気の方が何倍も良かったそうです。

彼はその場で全てのウイッグやメイク用品、服も全て破棄し、
もう2度とやらないつもりでいましたが日にちを追うごとにストレスが溜まり、
結局また復活していまったそうです。
ちなみに今のところ奥様にはバレてないようですが、今度ばれたら離婚じゃないのか?

もはや、何が言いたかったのかわからなくなってしまいましたが・・・
私もその事を知ったときはすごく驚きましたけど、
今ではお互い情報をシェアしたり愚痴を言いあったり、
私にとって彼はどちらかといえば女友達なんだと思います。

でもこれが恋人や夫だったら・・・・
実際にその立場に立ってみないとわかりませんが、
基本的には相手の趣味は尊重する方なので私に実害がなければ干渉はしないと思います。
ただそれが心も女性で好きになる相手は男性だったとしたらどうなんでしょうね。
多分、結婚している意味がないので別れるかもですね。

だから、やっぱりゲルダはすごいと思います。
アイナーはゲルダをちゃんと愛していたとは思いますが、
やはり彼が望んでいたのはアイナーとしてではなくリリーとして生きる事でした。
ゲルダは葛藤しただろうし苦しんでいたけれど、最終的にはアイナーの幸せを選んだように思います。


余談が長くなってすみません。

この映画は本当に美しく、切ないストーリーでした。
そして、アイナーの不安定な心やリリーの強さや儚さを演じきったエディくんが本当に素晴らしかったです。

4 コメント

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Re.Unknown (dico)
2017-08-29 21:06:31
モグモグさん、
実は私、失礼ながら女装したエディがきれいだったと聞いた時かなりびっくりしちゃったくらい、
モグモグさんとは逆の考えでした(笑)
だからそのギャップもあったんだと思います。
究極の愛、確かにそうですよね。
奥さまも画家だったので自立した女性だったこともあるんでしょうね。
ウィショーさん、ホントよく出てますよね。
テレビドラマですか?ヒュー・グラントと?おおー、マジですか!
そしてまたゲイの話なんですね。
そう、私たちの大きな壁、それは日本で放送するのかどうか・・・・
世の中こんなにグローバルなのにテレビだけは全然グローバルじゃないし(涙)
なんとかしてほしいですね。
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Unknown (モグモグ)
2017-08-28 23:25:30
「リリーのすべて」、少し前に観ました。わたしは、エディは男性のままの方が綺麗だなと、思ったんですよ。華奢だし、女装したらさぞ綺麗だろうなと思ってたので、意外でした。やはり男らしいんでしょうね。映画は、ちょっとヘビーでした。本当に愛する人ができた事で、手術に踏みきったんでしょうが、奥さんがよく支えたものだと驚きでした。実話なんですよね。見返りを望まない究極の愛ですねぇ。彼女もとても綺麗でした。ウィショーさんはこう言う、ちょっとした役で、よく出てますね。今度は、ヒュー-グラントとTVドラマで共演のニュースが、入りましたから凄く楽しみ。又、ゲイの話らしいですが、面白そう。楽しみが増えましたね。とは言え、日本で放送されるかしら(泣)。
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Re.ベン・ウィショーって色々出てるんですね (dico)
2017-08-28 22:25:01
Mistyさん
こんばんは。
そういえば、パディントンはまだ観てないんですよ。
これも見たい映画です。
ホント、才能豊かなんですね。

気力がないときは避けた方がよい映画だと思います。
バッドエンドではありませんが、テンションが上がることはないと思うので。

私はホーキングのあとにこの映画を観たので結構ギャップがありました(笑)
ゲルダは強いですよね。
あの時代に男性が女性になるのも勇気がいると思いますが、
それを支える女性は仰るとおり生半可な覚悟ではないでしょうね。

私も女装はOKですよ。
基本的に趣味は尊重したいと思っているので実害がなければ全然OKです。
(単に私が自分の趣味を尊重してほしいだけかも笑)
Mistyさんと私は感覚が似ているのかもですね。(え?迷惑?)
浮気も多少は仕方ないと思っていますが、同性愛はちょっと無理かも。
男性しか愛せないのなら一緒にいる意味ないですし。
リリーのすべて、機会があったらぜひ見てみてください。
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ベン・ウィショーって色々出てるんですね (Misty)
2017-08-28 21:01:42
こんばんは。
ベン・ウィショーくんって、色々出てるんですね。007のQも可愛いしホロウクラウンもすごく印象的だったけど、メルヴィルやら「リリーのすべて」にも…あ、そう言えば「パディントン」の声もイメージピッタリで可愛かったですよ。本当に芸達者ですね。

「白鯨との戦い」は過酷なんですね。今ちょっと過酷なものを見る気力体力はないかも。「リリーのすべて」は興味あったけど公開時に行き損ねたままで…でもやっぱり見てみようかなと思いました。dicoさん評価は星5つなんですね!エディ・レッドメインもいい役者さんだなぁと思います。ホーキングは本当にすごかったです。オスカーも納得。

貼ってもらった画像だけ見ても、本当にきれいで優雅な感じですね。ホント役者って恐ろしい…それにしても、女性になりたいと思う夫を支えられる奥さんというのは、すごいなぁと思います。葛藤の末なんでしょうけど。今でさえ理解のある人は限られているかもしれなのに、当時は想像を絶するほど覚悟のいることだっただろうなと思います。dicoさんのお友達の件を読んで、私だったら女装癖より浮気の方が嫌だけど…と思ってしまいましたが、私の感覚ってゆるすぎるのかも。世間的にはこういう考え方はマイノリティに入るのかもなと改めて思いました。とりあえず、「リリーのすべて」は、そのうち見てみようかと思います。
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