午前中に和菓子用、煤竹の楊枝が届いた。10センチ近い、少々薄いがまさに竹釘、そのまま使用できそうだが、縮尺的には長すぎ、釘というより杭に近い。続いて人形用黒髪届く。三島の残バラ髪。いかにも苦し気にしてみたが。後は雪を降らせるだけだが、それも蠟燭、行灯、人魂同様筆で墨で描き反転する。 撮影後に首を引き抜き、割腹中の胴体に戻し、三島としては最後のカットとなる愛の処刑にかかる。タイトルからして冴えないが、わざわざ原稿を写させ変名で同性愛誌に発表している。長らく三島作といわれながら新潮の全集に入っている。家族の了承は得ぬままと聞いた。会場にはキャプション、を掲げる予定だが、愛の処刑は作中からは取らず、こうするつもりである。『愛の処刑』さようなら、アンティノウスよ。われらの姿は精神に蝕まれ、すでに年老いて、君の絶美の姿に似るべくもないが、ねがわくはアンティノウスよ、わが作品の形態をして、些かでも君の無上の詩に近づかしめんことを。ー1952年5月7日羅馬にてー アポロの盃より
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