無学祖元は、頂相彫刻の傑作とされる木像がある。それを参考に作ったのだから、写真作品として作るべきイメージがないなら、手を出さない。蒙古兵との一作に、もう一作作るとしたら、円覚寺、仏殿開堂落慶の折、開山無学祖元師の法話を聞こうと白鹿が集まったという逸話から山号を『瑞鹿山』という。白鹿に囲まれた無学祖元だろう。これも私は見たことはない。 蘭渓道隆に関しては、像が何体か残されているが、それぞれ顔が違う。参考にしたのは国宝の肖像画で、その迫真性から宗時代の中国で描かれ、本人が来日時に持参したと言われていることと、様々な資料から蘭渓道隆の実像をもっとも伝えている、と判断した。それを立体化したことで充分であり、一作は蘭渓道隆が自ら植えたと伝わる建長寺のビャクシンの木を背景に。もう一作は、斜め45度の肖像画を立体化したからこそ、真正面を無背景で撮影したい。誰も見たことがない。 全体のバランスを考えると、そもそもの事の発端?である『寒山拾得』にかかりたい。ここ3年の、行き当たりばったり具合を、客観的に眺めながら手掛けたい。