一休が酔って寝転がる『一休和尚酔臥図』は布にくるまっているが何しろ京都の正月である。それに室内ではなく屋外感を出すためにもムシロもまとわせたい。ミニチュアの畳を鍋で煮ていたら、かなりバラけてしまった。そういえば永井荷風独居図の時の畳は縁が付いていたのでいくら煮込んでも崩れなかった。すんでの所で。 それにしても小学四年で読んで感銘を受けた一休を今頃作ることになるとは。最近のモチーフを手掛けるようになり、何だか一周回って元に戻ったような妙な感じがしている。 私は制作に関して、感心されるくらいなら呆れられたい、というところがあり、そう思うと作家シリーズでは三島由紀夫以上に呆れてもらえるモチーフはなかっただろう、と骸骨を枕にしている一休和尚にレンズを向けながら。
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