最後に滝を制作し『虎渓三笑図』2カット完成。用いたのは予定外の奇手ばかりであったが、方法はどうあれ、イメージ通りの物が出来ればそれで良い。そして次回からはその奇手が奇手でなくなり、私のレギュラーの手法となり、そんなことがきっかけで、行先に微妙な変化を生み、気が付いたら予定と違う所に立っている。ずっとその繰り返しである。 子供の頃、世界の紀行文、探検譚を読んで頭の中にイメージしたあんな世界が、実際ある訳がない。出かけて行ったところでガッカリするに決まっている。寺山修司もいう〝どんな鳥も想像力より高くは飛べないだろう” という訳で、残るは鯉に乗る『琴高仙人』一カットとなった。 考えてみると『蝦蟇仙人』のガマ蛙『四睡図』の虎など生き物に苦労させられた。最後が鯉で、自分で釣った海の魚と違ってどうも抵抗がある。さらには行きがかり上腹中に納め成仏させなければならない。YouTubeで見ると、胆嚢だろうか苦玉という物を潰したら、食えるものではなくなるらしい。四十周年記念展、最後の難関である。〝考えるな感じろ”も場合によることを私も多少覚えなければならない。
Don't Think, Feel! 寒山拾得展
人形作家・写真家 石塚公昭 作家活動40周年記念
10月13日(木)〜11月6日(日)
ふげん社イベントページ