チケットを頂き歌舞伎座昼の部へ。團菊の團は勿論私も作った九代目市川團十郎である。きっかけは海老蔵丈の目が照明に反射し、ピカッと光ったのを見たことであった。團十郎にニラらまれると一年風邪をひかないと言われる。当時インフルエンザが流行っており、歌舞伎座の改修工事も始まるというので、担当していた都営地下鉄のフリーペーパーに進言した。古書店で海老蔵丈が九代目の資料を車で来てごっそり買って行くと聞いた。海老蔵での最後の弁慶であろう『勧進帳』の緊張感のせいで、め組の喧嘩が少々長かった。菊之助目立つ。 歌舞伎座の朝倉文雄制作の九代目は、高村光太郎が「こんなに武張っていない。」といったように、巌の如し。光太郎、その他の九代目像もけなしておいて、自作は結局未完に終わったようである。制作者は舞台を観た人ばかりで、小さいのに舞台からはみ出すように見えたという芸を込めようとした結果であろう。私は目撃談のわりに残された写真が優し気で睨みも効いていないのが不思議だと思った。その件に関して十二代目に電話で聞いてくれた方がいた。完成後お礼にプリントを差し上げようと思いながら表情を捏造してしまい、躊躇していて亡くなられてしまった。遅ればせながら九代目の首を海老蔵丈に送った。十三代目の弁慶も観たい。
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『タウン深川』明日出来ること今日はせず 連載第14回〝青春の日の一撃〟
『石塚公昭 幻想写真展 生き続ける作家た18年7/25~9/2 リコーイメージングスクエア銀座ギャラリーA.W.Pyoutubeこ2016年『深川の人形作家 石塚公昭の世界』 youtube