工芸学校の同級生が地元のYouTubeに出ているというので観た。彼の人柄も感じられ判りやすい。デッサンの試験などあってないような学校であり、だから私も入れた訳だが、にもかかわらず彼は日本伝統工芸展で朝日新聞社賞を受賞、その作品は日本工芸館に入っており、現在は伝統工芸東海支部の審査員を務めている。 思い出もたくさんあるが、卒業直後に、アパートで女の子と別れを惜しんで飲んでいた。すると彼と現在、中尊寺近くで陶芸家をやっている同級生の声がする。居留守を使っていると、一升瓶をぶら下げているらしい二人の「絶対いるって、ラーメンと酒ばっかりで倒れているかもしれない。」なんて聞こえてきて、裏に回ってガタガタ雨戸を外してしまった。二十歳になったばかりの私はバツが悪く「上がれよ」といってしまうし、私より一つ二つ上の彼らも、そこまでは気を使えず上がってきてしまう。 何が言いたいかというと、こんなことで歴史は変わってしまう訳で、彼らが雨戸を開けて入って来なければ寒山拾得など作っていなかったかもしれない。しかし一方、あの時彼らが雨戸を蹴破ってくれさえしていれば、と涙ぐむよりはマシである。