私が小学四年で読んだ一休禅師に載っていた肖像は、曽我蛇足の横目でジロリとこちらを見ている一休である。斜め45度向いた古来からの肖像画は、みんな前を向いているものであり、横目でこちらを見ている、なんて珍しい。蛇足は何故そうしたか、そこには理由があるはずである。小学生の私にとって伝記の内容以上に印象深く残っている。風狂の人一休と、面識のある蛇足ならではの表情であろう。 絵画と違って、立体をいったん作って撮影するメリットは、どの角度からでも撮れる所である。なので絵画や写真に残されていない表情を撮れる。有名なボードレイトが残っているほど、違う表情を選ぶべきだと、そうして来た。しかしそう考えて来た私にも、あの横目の表情は、髑髏を竹竿の先に掲げる人物にこれ以上相応しい表情はない、と思われる。