今年は三遊亭円朝と鏑木清方の一年といえなくもないが、清方の円朝像へのオマージュを制作したことをきっかけに、新たな変化が起きた。しかし自分でも正体が判らぬまま手探り状態だったので、出品した作品を作り替えて二日目に差し替える、という往生際の悪いこともしてしまったが、寺山修司は“書き換えの効かない過去などない”といっていたのではなかったか。 円朝を明治時代の寄席前に立たせる、というのを次に考えたが、陰影の扱いに対する対応がまで出来ておらず、現実とイメージの狭間で中途半端な結果となった。さらに、円朝の背後を牡丹灯籠のお露とお米の後ろ姿を、というのが当初のアイデアであったが、後ろ姿では灯籠が見えず、ただ二人の女性となってしまうことを後になり気付いた。結局円朝をどかしてお露とお米を前面に配した。 保存しておいた背景の寄席風景だけをみていて、新版画に影響を受けた風景画として充分成り立つな、と思ったが、やはり寂しい。小さくお露とお米を再び配した。、これをもって寄席前風景の完成2作目としたい。“ラブレターを投函するのは一晩寝た翌日にせよ”どころか随分経ってしまったが。
※『タウン誌深川』“明日できること今日はせず”連載4回「哀しい背中」
※深川江戸資料館にて九代目市川團十郎像を展示中。11月12日まで。
HP
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