寒山拾得が不気味な笑いといって、いきなり気持ちが悪いのは狩野山雪の作だろう。中国の顔輝作を写すことなく、独自の味を出そう、というところは私もそう思ったから良く判る。この山雪、絵師の記録を残していて、おかげで、初代曽我蛇足こと墨渓、その子宗丈の記録が残った。山雪も蛇足軒という号を名乗ったというからややこしい。 今まで軽く100以上の寒山拾得を見たが、良くも悪くもそれらとは違う表情は作れたろう。周りがリアルな分、民芸品のお面のような感じを入れてみた。 今回のモチーフは、ほとんどが架空の人物で、25年ぶりくらいに個展をすることになったが、それは極初期のジャズ、ブルースシリーズ時代を知っている人しか知らないし、写真に興味がなかったから初期の作品は写真がほとんど残っていない。いずれにせよ原点に戻ったことになる。