明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



Tの使用したカメラが完成。コンセプトは日本の伝統工芸の粋を集めすぎてしまったカメラである。Tの使用したカメラにフォーカルプレーン・シャッター付きのドイツ製カメラがある。それに近いイメージで作ってみた。実際のTがこんな華美なものを好んだ訳ではないが、Tの使用したカメラは『FOTOCHATON』の井上氏曰く、“喪に服しているかのようなスタンダードの線を踏んでいる”というのは全くその通りであり、表紙でTの横に置かれるにはどうにも華がない。 そういえば昔、秋篠宮が写真を撮っている姿を見たら、三脚を立てて使っていたのがマミヤプレスであった。私のイメージでは警察が事件現場を記録するカメラであり、あまりに実利的で感心してしまった。秋篠宮や美智子妃など自然のままで、白髪を染めようなどと考えもしないようだが、そんなことを考えたり、金メッキのライカなど欲しがるのは庶民ばかりなのであろう。それはともかく。これほど絢爛にして豪華、お馬鹿なカメラは見た事がない。せっかくなので井上氏に鑑定依頼をしてみた。なにしろ全国の一流職人を動員し、材用も最高の物を使用しているし、三脚がまた特別だったり、と相当な鑑定額が予想される。などといって面白がっているが、そんな調子で人形に合わせたミニチュアなど作れるわけもなく、すべて画像である。今からバラしてしまっては面白くないかもしれないが、私の作る人物が実物大だと思っている人はいくらでもいるし、試しにリアルに作ってみた古今亭志ん生は、画像で見る限り作者の私にも人間に見える。シャレにならなくなっても困る。そのかわり井上氏には、思う存分高額の鑑定額を叩き出してもらえるであろう。

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