作家シリーズの頃、文学研究者は多いが、私ほど、作家の面相を穴の開くほど見詰める人間はいないだろうと思ったものだが、完成間近の大覚禅師こと蘭渓道隆に関し、私など足元に及ばない程見詰めたであろう人がいる。各地に数体ある蘭渓道隆像を調査し、場合によってはレントゲンを当て、内部に納められた物を調べる。そのレポートのおかげで、生前描かれた国宝の肖像画が、もっとも実像を伝えている、と判断し、その肖像画だけを参考に制作した。その研究者の方に参考になる話でも伺えたら、と思い、個人情報の扱いにうるさい昨今だが、ダメ元で国立博物館に蘭渓道隆を作っている者ですが、と少々怪しいが他に言いようがなく、問い合わせしてみた。さすがに時間がかかったものの、本日アドレスの返信が届いた。 ところで今年最初の元寇(文永の役)から七百五十年目なんだそうだが、昨日、あろうことか、私の作った蒙古兵が、鎌倉建長寺の門をくぐってしまった。だからどうだ、という話ではないけれど妙な感慨が。
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