◇麒麟の翼(2011年 日本 129分)
staff 原作/東野圭吾『麒麟の翼』
監督/土井裕泰 脚本/櫻井武晴 撮影/山本英夫
美術/金勝浩一 音楽/菅野祐悟 主題歌/JUJU
cast 阿部寛 新垣結衣 溝端淳平 松坂桃李 松重豊 田中麗奈 三浦貴大 中井貴一
◇ここから羽ばたく
テレビシリーズは小さな世界で展開していた。
そうした小ぢんまりとパッケージされた空間に、とても好感が持ててた。
ところが、今回はそうした世界がすこしばかり広がってる。
ま、それはそれでいいんだけど、
せっかく映画なんだし、折りヅルの翼もからめて、
日本橋の麒麟像が鍵になってるわけだから、
橋の上にある高速道路をCGで消してしまえばよかったのに。
と、ぼくなんかは無責任におもったりする。
映画というのは、監督の世界をそのまま反映すればいいんで、
まあ、監督が高速道路はあってもいいよっていうんなら別だけど、
なんか、この映画にかぎっては高速道路は邪魔なように見えちゃうんだよね。
それと、
話の内容がなんだか前半と後半でまるで分けられてるように感じのは、
僕だけなのかしら?
あと、ひとつ。
テレビの世界をひっぱるのは贔屓にしていたぼくとしてはかまわないんだけど、
この映画を観て、はじめて『新参者』に触れた観客にとって、
テレビの準レギュラーを特別出演のかたちで引っ張るのは、
ちょっとだけ、違和感があるんじゃないかしら?
てのは、まあ、余計なお世話なんだろうね。
けどさ、
千羽鶴、中井貴一の車の中から発見されるんだよね?
いまの警察の捜査でいえば、もうすこし早い段階で発見されない?
とかいう疑問が出てくるのは、いいっこなしかな。
ただ、あれだよね、
このシリーズは「人が嘘をつくというのはどういうことか?」が大事なわけで、
そこには「愛があるから」という主題に収束してゆくわけだけど、
そういうことからいうと、過不足なく纏められてた気はする。
でも、3時間スペシャルドラマ的な感じだったのは、
テレビを観ていたせいなのかな?
ドラマの映画化ってのは、ほんと、余分な感想も生んじゃうんだね。