△サクラサク(2014年 日本 107分)
監督 田中光敏
出演 藤竜也、緒方直人、南果歩、津田寛治、嶋田久作、大杉漣、佐々木すみ江
△騙し舟は精霊舟に掛けてる?
さだまさしの才能には脱帽する。
けれど、ちょっとばかし予定調和すぎるのとおしつけがましいっていう言い方はよくないかもしれないけどいかにも感動させようっていう製作者側の魂胆が透けて見えるのがなんだかな~と。東映はその昔、千秋実の『花いちもんめ』を制作してるけど、この作品もそれとおなじように痴呆を扱ってはいるものの、う~ん、綺麗に収めすぎてるって気がするな。
好い人しかいない世界ってのはこういう社会問題を扱うときに良好な場合もあるし、おもわぬ欠点を露呈しちゃう場合もある。感動の押し売りみたいな感じをちょっと受けちゃうのはこの物語は後者だったっていうことかもしれないね。
ただ、痴呆の父親をかかえて心が一見ばらばらになってしまった家族が父親の幼い頃のたったひとつの家族の思い出の情景と場所を求めて旅をしてゆくことで絆が再生されていくっていう構図は好い。
もちろん、突っ込むところがないわけじゃない。
ことに佳境、藤竜也が乗ってっちゃったバスを緒方直人が追いかけるんだけど、田舎の対向車もないところでバスって止まってくれないものなんだろうかという疑問がなかば反射的に浮かぶ。それにも増して、もともと車を眼の前に停めてあるんだからそれに乗って追いかけれればいいじゃんっておもうし、さらにいえばバスに乗ってっちゃった藤竜也がバスを降りたらなんとびっくり緒方直人も南果歩も追いついてきただけでなく、どこにいたのか息子と娘までもがいきなり登場してくる始末だ。これはちょっとな~。
もうちょっといおうか。
ラスト、藤竜也が子供のときに見上げていたとおぼしき桜が伐られてしまっていたのではないかという場面で、南果歩が「桜の寿命は短いから伐っちゃったのかも」というんだけど、ちょっと待ってくれ。ソメイヨシノならいざ知らず、そのほかの桜の寿命は短くないぞ。それに、題名は『サクラサク』じゃないか。先代の桜がもしも伐られちゃったんならその遺伝子を受け継ぐ桜が芽生えてないとあかんじゃんか。
まじ、大丈夫か?