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変態島

2013年08月22日 12時44分34秒 | 洋画2008年

 ◇変態島(2008年 フランス、ベルギー、イギリス、オーストラリア 96分)

 原題 Vinyan

 staff 監督/ファブリス・ドゥ・ヴェルツ

     原案・脚本/ファブリス・ドゥ・ヴェルツ デヴィッド・グレイグ オリヴァー・ブラックバーン

     撮影/ブノワ・デビエ 編集/コリン・モニー

     音楽/フランソワ=ウード・シャンフロー

 cast エマニュエル・ベアール ルーファス・シーウェル ジュリー・ドレフュス ヨセ・デパウ

 

 ◇Vinyanは、タイ語

 意味は「魂、成仏できない霊、幽霊」だそうな。

 エマニュエル・ベアールとルーファス・シーウェルの6歳の息子が津波に呑まれ、

 その生存が絶望視されて6か月経っても尚、

 ふたりはタイを離れることができず、プーケットに居続けている。

 そんなふたりがとある映像を観たことから、

 息子の生存、つまり、人身売買の村に連れ去られたことをつよく信じるようになり、

 いろいろな村々を巡り歩きながら

 ビルマの沖合にある島まで訪ねてゆくというシリアスな話だ。

 けど、島にいたるまで、いろいろな障壁があり、

 これに精神的に弱くなっているべアールがさらに痛めつけられ、

 やがて夫の惨殺とともに自我が崩壊してゆくありさまを、

 南洋特有のじめじめとした気象の中で描いているんだけど、

 後半、ていうか、ほぼ佳境になってから、

 ようやく到達した島で、彼女はVinyanに遭うことになる。

 このVinyanは少年たちで、

 息子がすでに他界しているという事実をべアールは認められずにきたんだけど、

 白い泥に包まれたVinyanたちに丸裸にされ、

 体中を撫でまわされている内に、

 Vinyanたちの求めているものが母親の肌であり、乳房であると確信したとき、

 彼女にようやく、心からの笑みが戻る。

 べアールが息子の死を認め、Vinyanとなりながら母親を待っていたのかどうか、

 これは、わからない。

 けれど、この島でVinyanらと遭遇して、肌を合わせたとき、

 すでにべアールは息子だけの母親ではなく、

 島という非常に暗示的な空間に取り残されているVinyanたちすべての母親になった、

 と考えるのが、いちばんストレートな見方なんじゃないかっておもうんだよね。

 なんとも不思議な世界だったわ。


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