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☆=☆☆☆☆☆
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夜ごとの夢 イタリア幻想譚

2007年08月25日 16時07分43秒 | 洋画1991年

 ◇夜ごとの夢 イタリア幻想譚(1991年 イタリア、フランス、ベルギー 89分)

 原題/La domenica specialmente

 

 ◇プロローグ・断章・エピローグ

 原作・脚本/トニーノ・グエッラ 監督/ジュゼッペ・ベルトルッチ

 撮影/ファビオ・チャンケッティ 美術/ネッロ・ジョルジェッティ

 衣装デザイン/マリオリーナ・ボーノ 音楽/エンニオ・モリコーネ

 出演/ジャン=ユーグ・アングラード アルベルト・オッタヴィアーニ

 

 ◇イタリア北部のマレッキア渓谷、記念碑

 受取側の印象として、映像詩だから物語を想起するのは難しいんだけど、死者の魂への純粋な憧れと、死それ自体の内蔵している不気味さを現代的に表現するために必要なものを考えた時、バイクと子供と男と石墓と鳥というのは妙に嵌まってる。

 

 ◎第一夜 青い犬

 原題/Il Cane Blu

 監督/ジュゼッペ・トルナトーレ 原作・脚本/トニーノ・グエッラ

 撮影/トニーノ・デリ・コリ 美術/フランチェスコ・ブロンヅィ

 衣装デザイン/ベアトリス・ボルドネ 音楽/エンニオ・モリコーネ

 出演/フィリップ・ノワレ ヴィント ニコラ・ディ・ピント ルイ・ヴェルヴォール

 

 ◎犬嫌いの靴の修理人兼床屋と青い犬

 青い染みがペンキに見えるのはさておき、物事という物は不思議なもので、心霊的なものであるという先入観をもって眺めれば、それは心霊現象になってしまう。銃弾で撃ち抜かれることが死であるのか、接するものが死を感じた時はじめて死となるのかが、主題なんじゃないかと。

 

 ◇第二夜 特別な日曜日

 原題/La Domenica Specialmente

 監督/ジュゼッペ・ベルトルッチ 原作・脚本/トニーノ・グエッラ

 撮影/ファビオ・チャンケッティ 美術/ネッロ・ジョルジェッティ

 衣装デザイン/マリオリーナ・ボーノ 音楽/エンニオ・モリコーネ

 出演/ブルーノ・ガンツ オルネラ・ムーティ アンドレア・プロダン ニコレッタ・ブラスキ

 

 ◇なにかが邪魔をする

 オルネラ・ムーティの下品そうで下品にならない色気というのは、神経症の男と恋人にならない看護婦という関係に妙に嵌まってる。手の届く所にいる筈の異性に触れたいに触れないのは、ガンツが焦るとおり何かが邪魔をしてるわけで、そういうのをおそらくこの世では運命とかっていうんだろうね。でも、運命ってのは、おもいもよらないところで待ってるもんだ。バス停でのニコレッタ・ブラスキの登場が、それを物語ってる。

 

 ◇第三夜 炎の中の雪

 原題/Il Neve Sul Fuoco

 監督/マルコ・トゥリオ・ジョルダーナ 原作・脚本/トニーノ・グエッラ

 撮影/フランコ・レッカ 美術/ジャンニ・シルベストリ

 衣装デザイン/メトカ・コサック 音楽/エンニオ・モリコーネ

 出演/マリア・マッダレーナ・フェリーニ キアラ・カゼッリ イヴァーノ・マレスコッティ

 

 ◇雪に閉ざされた教会での懺悔

 懺悔は自己満足と見栄の延長にすぎない、とかっていったら叱られるんだろうね、たぶん。息子と嫁の痴態を覗いて嫉妬しつつも、覗く誘惑に負けてしまうのを戒める姑と、覗かれる事で興奮を覚えながらも、姑に生気を取り戻してもらいたいために覗かれていたと懺悔する嫁の話なんだけど、ふたりの本心について、ぼくたちは想像しないといけないんだろうっておもうんだよね。

 

 ◇エピローグ

 原題、staffともに序章と同じで、批評しようもない事ながら、断章で描かれた飛び立つ鳥は、もちろん新たな死者の魂で群れ集う仲間の鳥と、それを出迎える死者達の魂なんだろうけど、バイクに花束を抱いた青年も同じく死者の魂と考えれば、断片的な光景は葬儀と復活の象徴的儀式な訳なんだろな~。

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