古文書に親しむ

古文書の初歩の学習

第十章 地震・津浪乃記・その九十三

2012年04月28日 06時24分09秒 | 古文書の初歩

 

 

 

地震津浪乃記第二十三頁、上の写真の五行目六行目

解読 此時節に至りてハ頼む所ハ土蔵也と思ひしも地震にかべくづれ

    屋根落浪入又ハ出火にて焼亡せし所多く有之。

読み 此の時節に至りては頼む所は土蔵也と思いしも地震に壁崩れ

    屋根落ち浪入り又は出火にて焼亡せし所多くこれ有り。

解説 「此時節に」・・・「此」は形で覚える崩し字です。「節」も解読は困難です。「時節」とは「季節」の事でなく、「こういう場合には」「こんな地震の時には」という意味です。 「頼む」・・・これも崩し過ぎで読むのは困難。 「土蔵」の次ぎのカタカナのニを寝かせた様な字は「也」。何度も出ました。 「思ひしも」・・・旧仮名遣い。「思いしも」・・・思ったが。思ったけれど。 「くづれ」・・・「つ」は変体仮名の「徒」。「れ」は変体仮名の「連」です。 「屋根落」「浪入」・・・いずれも送り仮名は有りません。「落ち」、「入り」。 「焼亡せし」・・・ひらかなの「せ」の元の漢字は「世」から来ています。 「多く有之」・・・「これ有り」は下から返って読む。

 『文意』土蔵などは頑丈に作っているので、こういう場合には頼りになる所は土蔵だと思ったが、地震により壁は崩れ、屋根は落ち、浪は入り、又は火事で焼けてしまった所が多かった。