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アミア・カーン対マルコス・マイダナ(2010/12/11)

2010-12-13 00:32:20 | ボクシング
WBAスーパーライト級タイトルマッチ

WBA王者で英国の新星アミア・カーン選手(Amir Khan)と暫定王者でアルゼンチンのKOセンセーション、マルコス・マイダナ選手(Marcos Rene Maidana)とが激突する注目の大一番は米ネバダ州ラスベガスで行われ、熱戦の末にカーン選手が12回僅差の3-0判定を制してWBA王座を統一した一戦でした。(体格比較)

スピードとスキルのカーン選手と、パワーのマイダナ選手とが激突した一戦は両者の持ち味を出し合った期待に違わぬ熱戦となりました。

スタートからペースを掌握したのはカーン選手でした。マイダナ選手のプレスに対してややばたつき気味というか、速いコンビネーションを打とうとする意思に体がついていかない感じでバランスが悪く手足がバラバラに見えたシーンもあったものの、鋭い左ジャブ、左フックのリードと右ストレート、そしてフットワークのスピード差は明白。
初回終了間際には強烈な左フックのボディブローでマイダナ選手を大の字に転がし、2回に入ってもダメージの残るマイダナ選手をスピード差を生かした攻めでペースを一方的に支配して見せたカーン選手の立ち上がりは見事なものでした。


しかし腹のダメージが一段落したマイダナ選手が3回から持ち味のプレスを強めていくと、マイダナ選手の強い攻撃がヒットする場面が徐々に増えていきます。
豪快にスイング気味に合わせる右や距離を詰めた場面でカーン選手のブロックの間を突き上げる左右アッパーなどのマイダナ選手のパワフルな攻撃がカーン選手をじわじわと追い詰めていきました。

カーン選手のスピード抜群のコンビネーションや素晴らしい右アッパーなどの攻撃をクリーンに、そして強く食う場面も再三あったマイダナ選手ですが、まったく怯む様子を見せずに前進し強打をねじ込んでくるタフさとパワーでアルゼンチン人がペースをキープしていたように見えた中盤以降の流れ。
8回9回と疲労からか急激にマイダナ選手の動きが落ち、ここで鋭い左ジャブ、右ストレート、右アッパーでのボクシングが息を吹き返したカーン選手だったものの、10回にマイダナ選手の強烈な右フックを食ってグロッキーに陥り、以降11回12回もマイダナ選手のパワーショットに追い立てられる中、なんとか最終ラウンド終了のゴングまで逃げ込んだカーン選手にとっては苦しい試合最終盤でした。




初回のノックダウンに加えて5回にマイダナ選手に故意の肘打ち(カーン選手には当たらずレフェリーのジョー・コルテス氏にヒット)での減点1があったものの、マイダナ選手優位に見えた試合終了時だったのですが、公式のスコアは114-111が2人、113-112が1人の3-0カーンというものでした。
シロート採点114-111マイダナ。ペース争いが続いていた3回から7回までの見方で結果が変わってしまう接戦であったことは確かでしたが、この結果はマイダナ選手にとって気の毒なものだと私には思えたものでした。
ただこの日のパフォーマンスで再びチャンスを与えられることは確実でしょう。再戦の話が浮上しても不思議ではないですし、マイダナ選手の評価・価値は上昇した試合だったと私は見ました。

CompuBox Punch Stats: Amir Khan vs. Marcos Maidana

Powerpunches


カーン選手は24勝(17KO)1敗。マイダナ選手は29勝(27KO)2敗。


Khan survives Maidana(Andreas Hale and Anthony Springer Jr.,Photo: Chris Cozzone/Fightnews)
Amir Khan Badly Hurt, Holds On To Beat Maidana(Mark Vester/Boxing Scene)
Amir Khan Wins Unanimous Decision Over Marcos Rene Maidana(Lem Satterfield/Boxing FanHouse)
Amir Khan Weathers The Storm To Avoid Disaster in Vegas(Jake Donovan/Boxing Scene)
写真
Photos: Amir Khan Beats Marcos Maidana Mega Gallery(Boxing Scene)


Khan v Maidana: As it happened(Graeme Bradley/stv.tv)~113-113
Amir Khan scores unanimous decision over Marcos Maidana(Marcus Henry/Newsday)~116-109カーン
Khan Barely Outlasts Maidana To Win Unanimous Decision(Ben Thompson/FIGHTHYPE)~113-112カーン
KHAN v MAIDANA ROUND-BY-ROUND(Graham Shaw/Sporting Life)~116-112カーン
HBOのHarold Lederman116-112カーン



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18 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (シェーン)
2010-12-13 00:50:18
面白い試合でした。

僕は113-113でドローと見ましたが、正直マイダナのひじうちよりはカーンの再三のホールディングのほうが減点すべきだと思いました。
管理人さんと同じでマイダナは全く評価を下げていないと思いますし、個人的にはブラッドリーvsアレキサンダーの勝者と!というよりはこの試合の再戦がとても見たいです。

それにしても、ハンドスピードからして軽いパンチには到底見えないカーンのパンチを上下にアレだけ浴びて全くパンチ力が衰えないマイダナ・・・。
凄かったです。
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Unknown ()
2010-12-13 13:40:38
私の素人採点は113-112でマイダナでした。ドローかスプリットだと直感したので、公式の3-0採点は少し意外に感じました。
管理人さんがおっしゃる通り、マイダナの株はむしろ上がった内容だったと思います。
逆に、スターとしてのカーンの先行きに不安を感じた内容だったかもしれません。個人的には、カーンのパンチの精度が不満でした。
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お三方に同意 (愛読者A)
2010-12-13 18:13:19
いつも楽しくブログを拝見させていただいております。2度目のコメント書き込みです。
自分は生で見ていましたが素人採点→113-113のドローでした。

おそらくカーンもゴールデンボーイプロモーション所属の1人ということで“マンダレイベイ=ホーム”扱いの採点になったのではと見ています。彼にはプレスコット戦の教訓があまり生きていなかったように感じました…。英国から米国進出できたのですから、チャンスをフルに生かしてスターダムに上がってほしいですね。カルザゲ引退以降、ハットンの薬物所持&使用など暗いニュースが多い英国ボクシング界、選手たちを引っ張るエースとして頑張って欲しいです。

管理人さんとコメントされているお二人と同様の見方で、マイダナ選手は負けて名をあげましたよね。タフネスと一発の破壊力が際立つ格好になりましたし、オルティス・コーリー等実力者にも勝ってきた底力を観戦者に見せつけたと思います。次の試合も楽しみですね。

11・12Rのカーンの手数の少なさ・消極性も減点対象になり得たのではと思いました。ポイントアウト狙いはわかりますが…(苦笑)

駄文失礼しました。次回の記録も楽しみにしています。
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Unknown (ノミの肝臓)
2010-12-13 23:44:20
間違いなく、今年の私的ベストマッチです!

戦前はマイダナ選手贔屓だったのですが、
カーン選手の成長に驚かされました。
スピード偏重の「タッチ・ボクシング」ではなく、
明らかにパンチの迫力が増していましたね。
心・体の両面でタフさも見せ、
真のスターへ一皮むけた印象を持ちました。

最終回は思わずマイダナ選手を応援していましたが、
終わってみれば両選手に心から拍手を送りたくなる素晴らしい試合。

再戦の話が出れば、大いに期待したいです。
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Unknown (観戦記録のファン)
2010-12-14 03:08:02
私も今年のベストマッチに推したいです。(正確には世界戦を視聴した中でかな?)
マイダナは、名のある選手なら誰が相手でも本当に面白い試合をしてくれますね。
勝ったカーンのことよりも、マイダナのほうがとても印象に残りました。
このクラス近辺の選手は本当に実力者が揃っているので、楽しみです。
もちろんカーンの次の試合も大変楽しみです。

もっと混沌としてほしい。
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Unknown (Unknown)
2010-12-14 13:46:55
スピードが速い選手が上位を占める最近のボクシング界の真逆を行くマイダナ選手最高ですね。

出来ればこのスタイルを変えずにもう一度ベルト巻いて欲しいですね。
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Unknown (Unknown)
2010-12-14 21:35:18
単体の試合としては十分面白かったけど、次世代
スター候補のカーンの、現時点での器の限界が
見えてしまったようで少々残念。
SLの王者連中の中で全然抜けてない。

パッキャオやメイを伊藤リオンとするなら、
カーンやマイダナは市川精々海老蔵レベルだと思う。
前者二人が特別な存在である事を再度実感した。
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Unknown (リゴンドー)
2010-12-15 15:43:26
期待通りの熱戦でした。
ぼくはむしろカーンが逃げ切ったことに感心しましたね。
10Rのダメージは相当深刻だったと思いますが、なりふり構わずしぶとく耐えた所に成長を感じました。
採点もカーンの僅差から中差勝ちという印象ですが、見方によってはドローもあるかなと。
的中率は悪いものの、長いリーチからテンポよく放つストレートやアッパーの印象が強かった。
ただ、ガードに閉じ篭る瞬間をマイナスにとれば、
マイダナにふれるRにもなるかなと思えたのも確か。再戦も観てみたい。
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Unknown (リゴンドー)
2010-12-15 15:51:19
それと、カーンのスタイルが連打を始め、ところどころパッキャオ的だったのが面白かったです。
特に、1Rなどはそれが成功していたように見えました。
まあ、トータルで観ると、パッキャオの異常ぶりを再認識させられる内容だったわけですが(笑。
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Unknown (管理人)
2010-12-15 20:37:18
>シェーンさん
私は逆にカーンのホールディングは特に気になりませんでした。そしてマイダナの肘は完全に故意なので2点ペナルティでも文句言えないレベルの反則だと私は思いました。コルテスに当たってて笑えましたが。

>あさん
個人的にはマリナッジ戦ですごく良くなったと感じた面がほとんど感じられなかった内容でした。

>愛読者Aさん
11,12のカーンは、あの状況ながらも要所で反撃のコンビネーションを集める場面を何度か見せてて凄いな、と私は思いました。

>ノミの肝臓さん
スピード偏重の「タッチ・ボクシング」はカーンのスタイルではもともとありません。
対コテルニク戦ではそうでしたが、私が見る限りこの1試合だけですね。

>観戦記録のファンさん
来年早々にアレキサンダーとブラッドリーの激突がありますし、その勝者とカーン、あるいは再びチャンスが与えられるであろうマイダナが絡んでいくんでしょう。
皆若いですし、絶対的な存在がいないのでどうなるか本当に楽しみです。

>Unknownさん
ボディをあれだけ効かされてから復活、ってのはあんまり記憶ないです。
この日の試合を見てもものすごくタフな印象ですが、オルティス戦ではあっけ無く簡単に転がされていて、この人は本当によくわかりません。

>Unknownさん
まだ未完成な選手同士が潰し合って完成へと近づいていくんでしょう。強烈な軸を中心にした勢力図ってのも面白いものですが、今のスーパーライトのような群雄割拠も同じく面白いものだと私は思います。

>リゴンドーさん
ツイッターに書きましたが、私もパックのシルエットを感じました。
ただ私は逆にそれがマイナスというか失敗に感じました。
パック的な連続攻撃を意識することで、マリナッジ戦で見せたパワーを失っていたように私には見えました。
>パッキャオの異常ぶりを再認識させられる内容だったわけですが
これは完全同意です。コンビの3発目4発目5発目を強くヒットできるパックのバネというかフィジカルの強さ、中盤にはもうちょっとバテてたカーン以上にハイテンポなボクシングで12ラウンズ突っ走り続けるスタミナとか、本当に変態だと思いますい。
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