WBOウェルター級タイトルマッチ
6階級制覇の超人マニー・パッキャオ選手(Manny Pacquiao)が全勝のスーパーライト級王者ティモシー・ブラッドリー選手(Timothy Bradley)の挑戦を受けるウェルター級戦は米国ネバダ州ラスベガスで行われ、僅差の12回スプリットの判定を制したブラッドリー選手が勝利する大番狂わせとなっています。(体格比較)
ダブル・トリプルの左ジャブ、右ストレートで様子を探るブラッドリー選手の立ち上がり。パッキャオ選手も左ストレートを上下に散らして対抗していくなか、パッキャオ選手が力強い攻撃で徐々にペースを引き寄せていきます。
ブラッドリー選手もパッキャオ選手の左ストレートの入りに左フックを、打ち終わりに右フックを合わせて懸命に戦うのですが、パンチの威力とクオリティの差が徐々にブラッドリー選手を追い詰めていきます。4回にはブラッドリー選手が攻め出た場面で、パッキャオ選手が引きつけて叩きつけたフック気味の左ストレートでトラブルに陥りかけます。一気に攻撃を集めたパッキャオ選手の攻めを足元を怪しくさせながらなんとか凌いだブラッドリー選手でしたが、続く5回にも王者の左ストレートでピンチに陥り、6回にはパッキャオ選手の左ストレート、右フック、左右アッパーなどの正確で強い攻撃にコーナーに釘付けにされて非常に苦しい展開を強いられます。
パッキャオ選手がやや疲れてしまったことと、狙いに入ったことも手伝って徐々にブラッドリー選手が中盤戦でのピンチからの立ち直りを見せますが、それでも要所要所で叩きつけられるパッキャオ選手の強い左右がペースをキープ。
試合最終盤ははっきりと疲労の色を感じさせたパッキャオ選手に対し、相対的なものもあるのかスピードとパワーが蘇って見えたブラッドリー選手でしたが、勝敗という意味では何の問題もない王者の防衛だと、私には見えた12ラウンズでした。
しかし公式のスコアは3氏ともに115-113で、2人がブラッドリー、1人がパッキャオの2-1で新王者誕生を支持する意外なものでした。シロート採点118-110パッキャオ。(公式スコアシート画像)
CompuBox Stats: Pacquiao Dominates The Numbers
Powerpunches
トータルヒットで94、パワーパンチでも82ヒットパッキャオがリードし、12ラウンド中10ラウンドでヒット数で上回っていた。
意外にブラッドリーを推す声が多く感じられた試合前でしたが、試合内容自体を見ればパッキャオ勝利で間違いないと私には思えた試合内容でした。代名詞でもある左ストレートの威力と精度はやはり彼ならではと感じさせる見事なものでしたし、接近戦の攻防でも振り回すブラッドリー選手の攻撃を外しながら正確に強い右フックや左右アッパー、左ストレートを決めていて、スキルの差も見せつけていて、両者の力の差を大きく見せつけた内容だったように私には見えました。
終盤の失速、ってのが今までのパッキャオからは考えられない姿で、戦前から囁かれていた実力の翳りを感じさせたのもまた確かではありましたが、それと試合全体の勝敗は別問題。
採点結果が告げられたときは何かの間違いじゃないのかと疑ってしまったほどの不可解な判定結果でした。
リマッチということになっていくんでしょうか? パッキャオにとっては納得の行かない判定結果でもありましたが、これが彼にとってのラストファイトになっても良いとも感じたのは、パッキャオの衰えみたいなものを感じたからなのかもしれません。
ブラッドリー選手は29勝(12KO)。パッキャオ選手は54勝(38KO)4敗2分。
パッキャオが判定負けでWBOウェルター級王座から陥落(AFPBB)
パッキャオが判定負けで王座陥落 ブラッドリーが30戦無敗で2階級王者に(スポーツナビ)
パッキャオ まさかの判定負け…7年ぶり黒星で王座陥落(スポーツニッポン)
Timothy Bradley Shocks Manny Pacquiao, Wins WBO Belt(Rick Reeno/Boxing Scene)
Bradley, Pacquiao Quick Quotes(Fightnews)
パッキャオ「ジャッジを尊重するけれど、100%勝ったと思った。ファンは誰が勝ったかわかっているはずだ。ブラッドリーのジャブを何発かもらったのは確かだけど、強いパンチを貰った記憶はない。そして結果には驚かされたよ」
ブラッドリー「3人のジャッジがいて、そして下された結果だ。俺にどうしろと?コーナーでは皆勝っていたと思っていたよ。俺が試合をコントロールしていた。3人のジャッジのうち2人が俺の勝ちだと見たということ以外に言いようがないよ。」
アラム「酷い判定だ。誰もが本当の勝者を知っているはずだ。状況をはっきりさせようじゃないか。幸いにも11月にその機会は訪れるはずだけど…。ボクシングが復活することを願っている。これは接戦ですらないんだ。これは不条理でありえない結果で、ボクシング関係者すべてが恥ずべきことなんだ。」
Juan Manuel Marquez: Now Pacquiao Knows How I Felt!(Boxing Scene)
JMマルケス「接戦だったとは思わなかった。パッキャオが少なくとも5ポイントは勝っていたと思うよ。彼がこんな形で敗れた事は残念だ。ただパックは昨年11月に俺がどんな気持ちになったかを分かったんじゃないかね」
Mayweather Sr: Manny Pacquiao Beat Timothy Bradley(Boxing Scene)
メイウェザーシニア「パッキャオが勝っていた試合だったと思うよ。マルケス戦は負けていたけどね。この2戦のジャッジが同一なのかどうか俺は知らないけど、彼らは新しい仕事を探すべきだね」
Bradley's Manager: Tim's left foot fractured, ankle twisted(Boxing Scene)
ブラッドリーは試合中に足首を骨折していた、らしい。試合終了後の会見に車椅子で現れたブラッドリーは、2ラウンド終了後にコーナーに戻った際に「足首を折ったっぽい」とコーナーに告げ、トレーナーのフリオ・ディアスは続行するか否かをブラッドリーに委ねた、との事
写真
Photo gallery: Pacquiao vs. Bradley(ringtv)
Pacquiao Bradley Fight Action(HBO)
Photos: Bradley's Controversial Win Over Manny Pacquiao(Boxing Scene)
Report/gallery: Pacquiao vs. Bradley(Andreas Hale & Anthony Springer Jr. Photos by Chris Cozzone/Fightnews)
Timothy Bradley stuns Manny Pacquiao by split decision(Kevin Baxter/Los Angeles Times)~117-111パッキャオ
Bradley given undeserved decision - ends Pacquiao run(Phil D. Jay/World Boxing News)~117-111パッキャオ
Live Fight Blog: Pacquiao-Bradley(Chris Mannix/Sports Illustrated)~115-113パッキャオ
Timothy Bradley defeats Manny Pacquiao for the WBO title but was the decision another stinker?(Denzil Stone/On The Beak)~118-111パッキャオ
Timothy Bradley Upsets Manny Pacquiao, Takes Dubious Split Decision Victory(Luke Thomas/MMAFighting)~117-111パッキャオ
Timothy Bradley scores decision win over Manny Pacquiao in controversial decision(AP)~117-111パッキャオ
Pacquiao shocked in split decision(Dan Rafael/ESPN)~119-109パッキャオ
Timothy Bradley vs. Manny Pacquiao: Round-by-round recap(Larry Bohannan/The Desert Sun)~119-109パッキャオ
BRADLEY SHOCKS THE WORLD WITH CONTROVERSIAL SPLIT DECISION VICTORY OVER MANNY PACQUIAO(Ben Thompson/Fight Hype)~116-112パッキャオ
Pacquiao vs Bradley Results: Timothy Bradley Wins Extremely Controversial Split Decision, Shocks(Scott Christ/Bad Left Hook)~117-111パッキャオ
Pacquiao Dominates Bradley, But Bradley Wins Decision(Michael Woods/The Sweet Science)119-109パッキャオ
Pacquiao vs. Bradley Results: Winner, Twitter Reaction, Recap and Analysis(Ryan Phillips/Bleacher Report)~117-111パッキャオ
Pacquiao versus Bradley: What the hell just happened?(Geoffrey Ciani/Eastsideboxing)~118-110パッキャオ
MaxBoxingのSteve Kimは117-111パッキャオ
Yahoo! SportsのKevin Ioleは117-111パッキャオ
HBOのハロルド・レダーマンは119-109パッキャオ
Timothy Bradley shocks Manny Pacquiao in a split decision(Lance Pugmire/Los Angeles Times)~プロモーターのボブ・アラムは118-110パッキャオ、ブラッドリーのマネージャー・キャメロン・ダンキンは116-112と見たとアラムが言っていたんですが、
Bradley's Manger Furious Over Bob Arum Scoring Claim(Boxing Scene)
キャメロン・ダンキン自身がアラムの発言を怒りとともに否定。115-113でブラッドリーが勝ったと見た、ってのが本当のところのようです。
Round by Round パッキャオ対ブラッドリー
展望 パッキャオ対ブラッドリー
Round by Round パッキャオ対マルケス3
マニー・パッキャオ対ファン・マヌエル・マルケス(2011/11/12)
マニー・パッキャオ対シェーン・モズリー(2011/05/07)
マニー・パッキャオ対アントニオ・マルガリート(2010/11/13)
マニー・パッキャオ対ジョシュア・クロッティ(2010/03/13)
パッキャオ対コット続報
ミゲル・コット対マニー・パッキャオ(2009/11/14)
パッキャオハットン続報
リッキー・ハットン対マニー・パッキャオ(2009/05/02)
パッキャオ対デラホーヤ 夢のあと
オスカー・デラホーヤ対マニー・パッキャオ(2008/12/06)
デビッド・ディアス対マニー・パッキャオ(2008/06/28)
Round by Round マルケス対パック2
ファン・マヌエル・マルケス対マニー・パッキャオ(2008/03/15)
マニー・パッキャオ対マルコ・アントニオ・バレラ(2007/10/06)
マニー・パッキャオ対ホルヘ・ソリス(2007/04/14)
マニー・パッキャオ対エリック・モラレス(2006/11/18)
ファン・マヌエル・マルケス対マニー・パッキャオ(2004/05/08)
レーロホロノ・レドワバ対マニー・パッキャオ(2001/06/23)
チャッチャイ・サーサークン対マニー・パッキャオ(1998/12/04)
ティモシー・ブラッドリー対ホエル・カサマヨール(2011/11/12)
ティモシー・ブラッドリー対デボン・アレキサンダー(2010/01/29)
ティモシー・ブラッドリー対カルロス・アブレグ(2010/07/17)
ティモシー・ブラッドリー対ラモン・ピーターソン(2009/12/12)
ティモシー・ブラッドリー対ネート・キャンベル(2009/08/01)
ティモシー・ブラッドリー対ケンドール・ホルト(2009/04/04)
ティモシー・ブラッドリー対エドナー・チェリー(2008/09/13)
ジュニア・ウィッター対ティモシー・ブラッドリー(2008/05/10)
ティモシー・ブラッドレー対ドナルド・カマレナ(2007/06/01)
ティモシー・ブラッドレー対マヌエル・ガルニカ(2007/02/02)
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ブラッドリーのマネージャーですらパックの勝ちと主張してました。
前回のマルケス戦の疑惑の判定と違い、今回はブラッドリーに勝たせる事でボクシング界がなんのメリットを得るのかも少々理解しがたいです。
リマッチもう一稼ぎとかですかね?
試合内容についてはパッキャオが失速した事には私も驚きました。
ただ、一番の原因は衰え云々よりまず空振りが多かった事と、もしかしたらウォーミングアップ不足かもしれません。(NBAのヒート対セルティックスを見ていて満足に準備していなかったという話も現地から出ているようです、噂程度の話ですが)
大ファンのセルティックスが負けて集中出来なかったのかも?(笑)
両者の火力差は序盤から明らかでしたが、ブラッドリーがスピード、回転力、ボディワークをフルに使いながら、全身全霊をもってパッキャオに挑み、中盤にはもう相当消耗しながらも、10R以降は逆にペースを奪い返すなど、期待以上の好試合だったと思います。研究の跡も随所に見られました。
ただこの結果は……どうなんでしょうかね。
パワーレスでラフなスタイルからか、今まで過小評価されていた感のあるブラッドリーが再評価されるに足る試合内容だったと思うだけに、物議を醸す結末が残念です。
ジャブはブラのほうが多かったですが、パワーパンチの数とヒット数ともにパックが上でした。
ほぼ防がれていたジャブをジャッジは優勢と見たっていうことでしょうかね。
すごく寂しくなりましたね。
ジャッジって普段格闘技を見ない素人がやってるんですか?
それくらい酷い判定だと思います。
パッキャオに衰えのようなものが感じられた(特に追い足)のも事実ですが、これでブラッドリーの勝ちですか・・・。
自分はブラッドリーには2ポイントしか振れませんでした。
間違いないと試合終了後すぐ仕事を再開。
今し方ヤフーニュースでも見ようかと思って
PC立ち上げた途端、パッキャオ負けの文字。
は??この記事の間違いは無いわ〜、と思い
つつ記事をクリックして見ると・・・
あ・・うそやん・・・
好きな人に告白してOK貰い。ハイテンション
で家に帰ると「やっぱ無理」って電話。
もう味わうことの無いと思ってた、遥か昔の
学生時代の失恋と同じダメージ。
もう忘れてたこの感情・・・
ありがとうパっキャオ。
前のマルケス戦と異なり、今回は(パック自体の出来の善し悪しはともかく)明らかな差のあった試合だと感じましたが…。
私も本当に不可解な判定であると思います。
ただ、管理人さん同様、パックの衰えを感じないわけではなかったです。
個人的には前回のメイの出来にも少々クエスチョンマークを感じたので、いよいよ一つの時代が終わろうとしているのかなぁ、と勝手ながら思った次第でした。
その予想が良い意味で裏切られる事を願いたいですが。
終盤の失速は衰えも感じましたが、パンチの精度と威力の差は歴然でしたよね…
ジャッジはブラッドリーの手数だけ見て採点していたのでしょうか?何度かトラブルに陥ったブラッドリーに対し、パッキャオはパンチをほとんどもらってないはずです。
個人的には、ドネア対バスケスでバスケス勝利に付けたジャッジくらい不可解な判定だと思いました。
とは言え、パッキャオはもう引退でも良いかもしれません。何となく潮時を感じました。
メイかマルケス以外の相手に負けるところは見たくなかった…