
整形外科から、右手母指指尖部の化膿治療への抗菌薬相談あり。3ヶ月ほど前から疼痛、その後化膿、近医整形で処置うけるも改善せず。当院紹介、爪床下や爪周囲に炎症波及、骨棘切除術、切開排膿し培養から、Aeromonas hydrophillaが検出された。同時ブドウ球菌カバーと考えCTXとVCM投与されている、どうアドバイスするか? 以下の要約には入れませんでしたが医療用蛭との関連も議論されていました。
まとめ
・Aeromonas は1954年に初めてヒト病原体として認識。
・Bergey’s Manual第9版は、主に2グループにAeromonas を分類
爬虫類と魚に感染する好冷性、非運動性Aeromonas でA. salmonicidaを指し、22-25℃の最適成長温度。
ヒトに感染する常温性の運動性Aeromonas で大きなグループを形成。
・Aeromonadaceae科は現在15年以上に渡り認識され、それ以前はVibrionaceae科に含まれていた。
・A. hydrophila がヒトの感染症で最も重要な種
・Aeromonas は全体で1-3.5μmを測定する丸みを帯びた端部を有するグラム陰性のストレートな桿菌である
・カタラーゼとインドール、シトクロムオキシダーゼ陽性である通性嫌気性菌。マルトース、D-ガラクトース、トレハロース発酵ができる。
・Aeromonadsはまた多くの病原因子を生成する。aerolysin, proteases, adhesins, invasins, enterotoxins, phospholipase and lipaseなどのhaemolysins。 最近、患者から志賀毒素遺伝子(stx1 and stx2)を同定。
感染症
胃腸炎
・胃腸炎は、最も一般的にaeromonadsに関連した疾患である。いくつかの症例で感染が進展し腹膜炎、大腸炎や胆管炎を引き起こす。
・最も一般的な種は、A. hydrophila, A. caviae とA. veronii biovar sobriaで、Aeromonas 胃腸感染症の85%を引き起こす。 A. veronii biovar sobria とA. caviae は、最も一般的に旅行者下痢症に関連付けられている。
・A. hydrophila と A. jandaei によって引き起こされる腸炎は軟便をもたらす傾向にあり、A. veronii bv sobria と A. caviae 感染ではしばしば水様性下痢を引き起こす。
・腸管外感染症に発展した腸Aeromonas感染(胃腸炎、大腸炎、腹膜炎や胆管炎を含む)が、まれに免疫低下者にて髄膜炎につながる。
・水系でエロモナス数の増加と相関して夏季にエロモナス関連性胃腸炎ケースの数が増加する。
創傷感染
・Aeromonasに関連する感染症の二番目に一般的なタイプは、創傷感染症である
・この創傷感染は、健康人においても 菌が高率に存在する水生環境中または土壌で発生した貫通や挫滅損傷後に生じる。 創傷感染症は、より一般的に、海水ではなく新鮮な水が得られた損傷患者で見られる。
・創傷感染症として、蜂巣炎、筋壊死、壊疽性膿瘡、転移性筋炎、骨髄炎、壊疽、膿疱、潰瘍や膿瘍がある。
・一般的ではないが、熱傷感染症を引き起こすことが示されている。
・症例によっては、水で応急処置された場合、手術創、複合骨折、挫滅外傷、動物咬傷、でも感染原因となる
・免疫不全や免疫正常の患者両方で、創傷感染から敗血症や菌血症に至ることができる。
・フランスでのプロスペクティブ多施設全国調査で78例のAeromonas感染症あり。手術や抗菌薬治療は、創傷感染の68%と皮膚軟部組織感染症SSTIの85%を必要とした、症例の62%は不適切な初期抗菌薬治療であった。
・自然災害後の感染症事例。2004年12月にタイを襲った津波後、皮膚や軟部組織感染症を発症した305名の生存者を調べた。Aeromonas種が識別されたすべての菌の20%以上を占め、最も一般的な細菌種であった。
敗血症
・Aeromonasによって引き起こされる敗血症は、主に肝胆機能障害と悪性腫瘍などのような素因となる疾患を持った免疫不全患者に、関連付けられている。
・重症創傷感染を患っている患者に発症する敗血症は、90%以上の死亡率を持つ。
・肝硬変患者における創傷感染に起因する敗血症性ショックが報告されている。
呼吸器感染症
・Aeromonas種は、通常、呼吸器病原体であるとは見なされない。
・呼吸器感染症は、多くの場合、溺水体験や水泳中の水の吸入によって引き起こされる。 そんな場合でもこの肺炎は稀で、肺膿瘍は心臓血管系疾患やアルコールの乱用など通常は基礎疾患の結果である。
他の感染症
・Aeromonas肝膿瘍は、常に、肝疾患、癌、アルコール依存症、または閉塞胆管などの免疫低下者での基礎疾患の結果である。 これは化膿性胆管炎と膿瘍に進展することがある。
・溶血性尿毒症症候群は、A. hydrophila関連感染のまれな合併症。
・一つの観測で、肝硬変患者は、疾患のない人よりAeromonasに関連した尿路感染症にかかる可能性が高いことが示された。
・Aeromonasによって引き起こされる角膜潰瘍や眼内炎などの重篤な眼感染症が観察されている。
抗菌薬治療
・抗菌薬に対するAeromonas種の感受性に焦点を当てた研究は大変少ない。
・シプロフロキサシンなどのフルオロキノロンは、A.hydrophila、A.caviae、A.veronii bv sobriaの臨床分離株に対して活性があることが示されている。
・in vitro試験およびマウスモデルの両方で、フルオロキノロンのMIC(シプロフロキサシン、ガチフロキサシン、レボフロキサシン、モキシフロキサシン)は、テストした臨床分離株の90%で1μg/ ml以下だった。
・セフォタキシム感受性株では、A.hydrophila感染症に対する セフォタキシム-minocylineの効果と同様に、シプロフロキサシンは効果的であった
・ナリジクス酸及びトリメトプリムのAeromonas種の感受性も報告された。
・Vilaらの2003年の調査で、旅行者下痢症863名の患者から分離されたAeromonas種は、クロラムフェニコール、テトラサイクリン、コトリモキサゾールに様々な耐性を示したことが示された。
・さらに最近、A.hydrophila, A. caviae,およびA. veronii BV sobria種の16のキノロン耐性株が非入院患者から分離された。
・多くのAeromonas種は、染色体媒介誘導β-ラクタマーゼを介して、アンピシリンに対する完全耐性を示す。
・つい最近、イミペネム以外のすべてのβ-ラクタム剤に対する耐性を持つA.caviae 菌が分離。
・カルバペネム系に対して活性であるメタロ-β-ラクタマーゼの発現が確認された。
参考:
J Infect. 2011 Feb;62(2):109-18.
まとめ
・Aeromonas は1954年に初めてヒト病原体として認識。
・Bergey’s Manual第9版は、主に2グループにAeromonas を分類
爬虫類と魚に感染する好冷性、非運動性Aeromonas でA. salmonicidaを指し、22-25℃の最適成長温度。
ヒトに感染する常温性の運動性Aeromonas で大きなグループを形成。
・Aeromonadaceae科は現在15年以上に渡り認識され、それ以前はVibrionaceae科に含まれていた。
・A. hydrophila がヒトの感染症で最も重要な種
・Aeromonas は全体で1-3.5μmを測定する丸みを帯びた端部を有するグラム陰性のストレートな桿菌である
・カタラーゼとインドール、シトクロムオキシダーゼ陽性である通性嫌気性菌。マルトース、D-ガラクトース、トレハロース発酵ができる。
・Aeromonadsはまた多くの病原因子を生成する。aerolysin, proteases, adhesins, invasins, enterotoxins, phospholipase and lipaseなどのhaemolysins。 最近、患者から志賀毒素遺伝子(stx1 and stx2)を同定。
感染症
胃腸炎
・胃腸炎は、最も一般的にaeromonadsに関連した疾患である。いくつかの症例で感染が進展し腹膜炎、大腸炎や胆管炎を引き起こす。
・最も一般的な種は、A. hydrophila, A. caviae とA. veronii biovar sobriaで、Aeromonas 胃腸感染症の85%を引き起こす。 A. veronii biovar sobria とA. caviae は、最も一般的に旅行者下痢症に関連付けられている。
・A. hydrophila と A. jandaei によって引き起こされる腸炎は軟便をもたらす傾向にあり、A. veronii bv sobria と A. caviae 感染ではしばしば水様性下痢を引き起こす。
・腸管外感染症に発展した腸Aeromonas感染(胃腸炎、大腸炎、腹膜炎や胆管炎を含む)が、まれに免疫低下者にて髄膜炎につながる。
・水系でエロモナス数の増加と相関して夏季にエロモナス関連性胃腸炎ケースの数が増加する。
創傷感染
・Aeromonasに関連する感染症の二番目に一般的なタイプは、創傷感染症である
・この創傷感染は、健康人においても 菌が高率に存在する水生環境中または土壌で発生した貫通や挫滅損傷後に生じる。 創傷感染症は、より一般的に、海水ではなく新鮮な水が得られた損傷患者で見られる。
・創傷感染症として、蜂巣炎、筋壊死、壊疽性膿瘡、転移性筋炎、骨髄炎、壊疽、膿疱、潰瘍や膿瘍がある。
・一般的ではないが、熱傷感染症を引き起こすことが示されている。
・症例によっては、水で応急処置された場合、手術創、複合骨折、挫滅外傷、動物咬傷、でも感染原因となる
・免疫不全や免疫正常の患者両方で、創傷感染から敗血症や菌血症に至ることができる。
・フランスでのプロスペクティブ多施設全国調査で78例のAeromonas感染症あり。手術や抗菌薬治療は、創傷感染の68%と皮膚軟部組織感染症SSTIの85%を必要とした、症例の62%は不適切な初期抗菌薬治療であった。
・自然災害後の感染症事例。2004年12月にタイを襲った津波後、皮膚や軟部組織感染症を発症した305名の生存者を調べた。Aeromonas種が識別されたすべての菌の20%以上を占め、最も一般的な細菌種であった。
敗血症
・Aeromonasによって引き起こされる敗血症は、主に肝胆機能障害と悪性腫瘍などのような素因となる疾患を持った免疫不全患者に、関連付けられている。
・重症創傷感染を患っている患者に発症する敗血症は、90%以上の死亡率を持つ。
・肝硬変患者における創傷感染に起因する敗血症性ショックが報告されている。
呼吸器感染症
・Aeromonas種は、通常、呼吸器病原体であるとは見なされない。
・呼吸器感染症は、多くの場合、溺水体験や水泳中の水の吸入によって引き起こされる。 そんな場合でもこの肺炎は稀で、肺膿瘍は心臓血管系疾患やアルコールの乱用など通常は基礎疾患の結果である。
他の感染症
・Aeromonas肝膿瘍は、常に、肝疾患、癌、アルコール依存症、または閉塞胆管などの免疫低下者での基礎疾患の結果である。 これは化膿性胆管炎と膿瘍に進展することがある。
・溶血性尿毒症症候群は、A. hydrophila関連感染のまれな合併症。
・一つの観測で、肝硬変患者は、疾患のない人よりAeromonasに関連した尿路感染症にかかる可能性が高いことが示された。
・Aeromonasによって引き起こされる角膜潰瘍や眼内炎などの重篤な眼感染症が観察されている。
抗菌薬治療
・抗菌薬に対するAeromonas種の感受性に焦点を当てた研究は大変少ない。
・シプロフロキサシンなどのフルオロキノロンは、A.hydrophila、A.caviae、A.veronii bv sobriaの臨床分離株に対して活性があることが示されている。
・in vitro試験およびマウスモデルの両方で、フルオロキノロンのMIC(シプロフロキサシン、ガチフロキサシン、レボフロキサシン、モキシフロキサシン)は、テストした臨床分離株の90%で1μg/ ml以下だった。
・セフォタキシム感受性株では、A.hydrophila感染症に対する セフォタキシム-minocylineの効果と同様に、シプロフロキサシンは効果的であった
・ナリジクス酸及びトリメトプリムのAeromonas種の感受性も報告された。
・Vilaらの2003年の調査で、旅行者下痢症863名の患者から分離されたAeromonas種は、クロラムフェニコール、テトラサイクリン、コトリモキサゾールに様々な耐性を示したことが示された。
・さらに最近、A.hydrophila, A. caviae,およびA. veronii BV sobria種の16のキノロン耐性株が非入院患者から分離された。
・多くのAeromonas種は、染色体媒介誘導β-ラクタマーゼを介して、アンピシリンに対する完全耐性を示す。
・つい最近、イミペネム以外のすべてのβ-ラクタム剤に対する耐性を持つA.caviae 菌が分離。
・カルバペネム系に対して活性であるメタロ-β-ラクタマーゼの発現が確認された。
参考:
J Infect. 2011 Feb;62(2):109-18.