感染症・リウマチ内科のメモ

静岡県浜松市の総合病院内科勤務医ブログ

低ガンマグロブリン血症(Common variable immunodeficiency)について

2012-09-18 | 感染症
もともと小児科通院で低ガンマグロブリン血症(Common variable immunodeficiency)の患者が当科外来紹介となり、この8月から免疫グロブリン補充療法を開始していた。この週末にこの患者さんが発熱をきたしたため入院しています。 この免疫不全症のおさらいでこの文献を読みました。体重が100kg超えていてグロブリン製剤の用量調節が難しい。


まとめ

・CVIDは最も一般的な原発性免疫不全症候性で、推定で25,000~75,000の1人
・CVIDは、最も頻繁に20~40歳の成人で診断されるが、約20%が20歳以前に診断
・CVDが臨床的に明瞭になるのは限定的なので診断されるのに6-8年遅れることも
・この疾患はまた、自己免疫疾患、慢性肺疾患、炎症性腸疾患、全身性肉芽腫症、リンパ過形成、および悪性腫瘍などの慢性合併症を持つことがある
・脾臓摘出に至るITP歴、帯状疱疹、珍しい放射線所見などからこの疾患の診断にいたった例も
・CVIDの診断は、血清IgG、IgA、IgM値の低下および特異的抗体産生の欠乏の実証に基づく。 IgGのレベルは、一般的に400未満mg / dL。
・また低ガンマグロブリン血症につながる可能性がある他の診断の除外をする。これは、他の遺伝性疾患、尿や便中の免疫グロブリンの損失、薬の使用、および悪性腫瘍を含む。
・抗体産生力の欠乏は、肺炎球菌ワクチンなどによる予防接種後の抗体価の上昇の欠如による
・血清IgG 定量レベルが200 mg / dL未満である場合、免疫グロブリン補充療法開始を検討する
・治療の標準は、免疫グロブリン補充療法の静脈内投与 400~600mg/kg、3~4週間毎、または、皮下注免疫グロブリンを一般的に1~2週間毎、いずれか
・静脈内使用のための免疫グロブリンの投与量は、投与前に得られたトラフIgG値を測定することによって評価される
・免疫グロブリン補充において、以前の目標は約600 mg / mLの血清トラフ値であると考えられていたが、最近の多くの研究は、個別的にはあるが、より高用量で有益であるかもしれないことを示唆
・しかし免疫グロブリン産生と代謝に関連して患者間で生理的な相違があり、 すべての患者のためただ一つの目標IgGトラフ値をあてがうことは不適切である
・免疫グロブリン補充は臨床経過に基づいて用量調節を検討し、個別化されるべき
・ひとたび、免疫グロブリン補充療法が確立すれば、IgGのトラフ濃度は、十分な投与量と投与することを確保するために6~12ヵ月毎に測定


参考文献:
J ALLERGY CLIN IMMUNOL 129(5) 1425-26 ,2012

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