関節リウマチにかんする院内外の一般向けの勉強会として昨年から定期的に市民公開講座を開催しています。
今年もそろそろ準備をということで、鎮痛治療についてまとめてみることにしました。一般的に、ロキソニンやボルタレンなどが使用されていることが多いようですが高齢者でかつ長期使用となりますといろいろ注意点があるかと思います。(リウマチに限らず)鎮痛治療に関してよくまとまったガイダンス文献がありましたので紹介します。
まとめ
・薬理学的管理の一般原則
薬物療法による副作用の発生率は、高齢者にて高い。原則として、経口剤がその利便性でより好ましい。一度に1つの薬のみ低用量使用にて開始されるべき。併用療法は、単剤のより高い用量よりも少ない副作用でより大きな鎮痛を提供するための相乗効果を有し得る。
・諸文献検索からは、パラセタモール(アセトアミノフェン)は、その実証有効性と優れた安全性のために、急性および持続性疼痛の両方、特に筋骨格由来のもの、の管理のための第一選択治療として考慮されるべき
・パラセタモール処方のいくつかの絶対禁忌と相対的注意がある。 最大一日用量( 4 g/24h )を超えないことが重要。
・この薬の副作用はまれであり、重大な胃腸の副作用、腎臓および中枢神経系や心血管系の毒性への悪影響と関連していない。
・肝酵素アミノトランスアラニンの一過性の増加が報告されているが、最大1日量が回避されていればこれは肝不全に結びつかない。
・栄養不良患者で急性肝不全(体重<50キロ)報告の報告あり、 もしこれらの患者においてパラセタモールが定期的に使用されるなら減量(最大2 g/24 H)をお勧めする。
・非選択的非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)は、高齢者において注意して使用すべき。 他のより安全な治療法で十分な疼痛緩和を提供しない後で。
・NSAIDはパラセタモールより持続性の炎症性疼痛のためのより効果的である。
・処方時は、個々のNSAIDまたはCOX- 2選択的阻害剤の安全性プロファイルに基づき、個々の患者のリスク•プロファイル(たとえば、GIおよび心血管系)をする必要がある。
・高齢者において、 NSAIDまたはシクロオキシゲナーゼ-2( COX-2)選択的阻害剤のためには、プロトンポンプ阻害剤(PPI )が同時処方されるべき。
・NSAIDを服用する高年齢者は、ルーチンで胃腸、腎臓および心血管系の副作用、および薬物と薬物相互作用のためモニターすべき。
・NSAIDは、高齢者における薬物有害反応のための入院の23.5%までに関与している。
・オピオイド治療は痛みが機能障害を起こしているか、生活の質を低下させる場合は特に、中程度または重度の痛みを持つ患者のために考慮できる。 しかし悪心および嘔吐を含むオピオイドの副作用が予想され注意深く監視すべき。 また処方を受けているすべての高齢者のため適切な下剤治療をすべき。
・連続的な痛みを有する患者は、比較的一定の血漿濃度を提供することを目的とした放出調節経口剤または経皮オピオイド製剤で治療すべき
・変形性膝関節症における関節内コルチコステロイド注射や関節内のヒアルロン酸投与は考慮される。関節内ヒアルロン酸投与は関節内ステロイドよりも作用のより遅い開始のように見えるが、効果が長持ちするように見える。
・鍼治療、経皮的電気神経刺激( TENS ) 、マッサージなどの補完療法のいくつかは、高齢者のうちのいくつかで効力を有する
参考文献
Age Ageing. 2013 Mar;42 Suppl 1:i1-57.
今年もそろそろ準備をということで、鎮痛治療についてまとめてみることにしました。一般的に、ロキソニンやボルタレンなどが使用されていることが多いようですが高齢者でかつ長期使用となりますといろいろ注意点があるかと思います。(リウマチに限らず)鎮痛治療に関してよくまとまったガイダンス文献がありましたので紹介します。
まとめ
・薬理学的管理の一般原則
薬物療法による副作用の発生率は、高齢者にて高い。原則として、経口剤がその利便性でより好ましい。一度に1つの薬のみ低用量使用にて開始されるべき。併用療法は、単剤のより高い用量よりも少ない副作用でより大きな鎮痛を提供するための相乗効果を有し得る。
・諸文献検索からは、パラセタモール(アセトアミノフェン)は、その実証有効性と優れた安全性のために、急性および持続性疼痛の両方、特に筋骨格由来のもの、の管理のための第一選択治療として考慮されるべき
・パラセタモール処方のいくつかの絶対禁忌と相対的注意がある。 最大一日用量( 4 g/24h )を超えないことが重要。
・この薬の副作用はまれであり、重大な胃腸の副作用、腎臓および中枢神経系や心血管系の毒性への悪影響と関連していない。
・肝酵素アミノトランスアラニンの一過性の増加が報告されているが、最大1日量が回避されていればこれは肝不全に結びつかない。
・栄養不良患者で急性肝不全(体重<50キロ)報告の報告あり、 もしこれらの患者においてパラセタモールが定期的に使用されるなら減量(最大2 g/24 H)をお勧めする。
・非選択的非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)は、高齢者において注意して使用すべき。 他のより安全な治療法で十分な疼痛緩和を提供しない後で。
・NSAIDはパラセタモールより持続性の炎症性疼痛のためのより効果的である。
・処方時は、個々のNSAIDまたはCOX- 2選択的阻害剤の安全性プロファイルに基づき、個々の患者のリスク•プロファイル(たとえば、GIおよび心血管系)をする必要がある。
・高齢者において、 NSAIDまたはシクロオキシゲナーゼ-2( COX-2)選択的阻害剤のためには、プロトンポンプ阻害剤(PPI )が同時処方されるべき。
・NSAIDを服用する高年齢者は、ルーチンで胃腸、腎臓および心血管系の副作用、および薬物と薬物相互作用のためモニターすべき。
・NSAIDは、高齢者における薬物有害反応のための入院の23.5%までに関与している。
・オピオイド治療は痛みが機能障害を起こしているか、生活の質を低下させる場合は特に、中程度または重度の痛みを持つ患者のために考慮できる。 しかし悪心および嘔吐を含むオピオイドの副作用が予想され注意深く監視すべき。 また処方を受けているすべての高齢者のため適切な下剤治療をすべき。
・連続的な痛みを有する患者は、比較的一定の血漿濃度を提供することを目的とした放出調節経口剤または経皮オピオイド製剤で治療すべき
・変形性膝関節症における関節内コルチコステロイド注射や関節内のヒアルロン酸投与は考慮される。関節内ヒアルロン酸投与は関節内ステロイドよりも作用のより遅い開始のように見えるが、効果が長持ちするように見える。
・鍼治療、経皮的電気神経刺激( TENS ) 、マッサージなどの補完療法のいくつかは、高齢者のうちのいくつかで効力を有する
参考文献
Age Ageing. 2013 Mar;42 Suppl 1:i1-57.