肝臓内科よりご相談あり。 急性肝障害の回復期ながらアクセスのため当院紹介になった方。発熱、頸部リンパ節腫脹、脾腫あり。EBV VCA IgM/FA 20倍（基準10未満） 、CMV IgM/EIA 1.60単位（0.8未満）、単純ヘルペスV IgM/EIA 1.93%(0.80未満) との結果でした。特に基礎疾患はない若い方で伝染性単核球症の思わせるのですが。
EB、CMV、HSV1はいずれもヘルペスウイルス科に属しその抗原性は類似し、抗体の交差反応が予想されます。文献ではどうでしょうか。
・伝染性単核球症（IM）はEBウイルス一次感染よって引き起こされるが、CMV、HHV-6、HAV、HIV関連でも類似の症候群を示す。
・免疫蛍光法（IF）による抗体検出は、"ゴールドスタンダード"と考えられているが、酵素免疫測定法（EIA）は良好な感度ならびに特異性を示している。今日検査室のほとんどがEBV感染の診断のためのEIAを使用している。
・VCAに対するIgMの反応が早く表示され、感染の4-6週間以内に消える。
・単純ヘルペスウイルス1型および2型、エプスタイン - バーウイルス、およびサイトメガロウイルスのうちの抗原交差反応の検討した文献。 CMVはHSV-2gC、gD、gEと交差反応するタンパク質を、CMVおよびEBVはHSV-2gGと交差反応するタンパク質をコード、HSV-2のP45ヌクレオ蛋白への抗原対はHSV-1およびCMVに存在、HSV-1の主要なDNA結合性タンパク質およびリボヌクレオチドレダクターゼのcounterpartsがすべてのウイルスに存在、EBVウイルス粒子糖タンパク質gp85はHSV-1、HSV-2、CMVへの抗血清により免疫沈降、CMVおよびEBVに対する抗血清は高濃度ではHSV-1とHSV-2の両方の感染性を中和、などがみられた。 1)
・各ヒトヘルペスウイルスは、 DNA構造、宿主範囲、および成長のin vitroでの迅速性,特性が互いに異なり、サブファミリーの分類の基礎となる。しかし、ウイルスはまた、宿主細胞（宿主膜とウイルスエンベロープとの融合）に入るモード、ウイルスDNA複製の核の位置、ウイルスアセンブリ、内核膜からエンベロープ獲得などの生物学的機能を持っている。彼らはおそらく一般的な機能を担当するいくつかの共通の構造と非構造調節タンパク質を持っていることを意味する。
・以前の研究では、HSV-1およびHSV-2およびその他の動物ヘルペスウイルスの抗原関連性を記録し、主要なHSV-1のDNA結合タンパク質（ICP8）およびHSV-2（ICP 11/12）が 交差反応決定基を担持するタンパク質の一つであることを示している。
・34歳日本人男性ケース。EBV VCA IgM、VCA IgGが上昇、CMV IgGは陰性だったがCMV IgMが一時期陽性（20th） 2)
・EBNA-1タンパク質におけるグリシン-アラニンリッチエレメントと、pUL44とpUL55の非構造CMVタンパク質内のグリシンリッチモチーフは、広く診断抗原として使用されている。EBNA-1のグリシン-アラニンリピート内のエピトープを認識するIgM抗体は、 EBVとCMVの両方で急性感染時に誘導される。pUL44とpUL55のグリシンリッチモチーフは、EBNA-1のグリシン-アラニンリピートよりはるかに短く、また主にグリシンから成るものの、彼らは グリシン-アラニンリピートによって誘発され潜在的にIgMの抗体と反応する可能性がある。
・急性EBV感染の診断マーカーであるEBV VCA IgM抗体の偽陽性の発生も、急性E型肝炎例（真のEBV感染の非存在下）でも報告されている 3)
・17歳男性、HBV, HCV関連検査、HAV IgM,HEV IgMは陰性だが、EBV IgM、CMV IgM、VZV IgMが陽性。血液サンプルはまた、EBV DNAが陽性（124コピー/ ml）だった。 4)
・EBV感染の確認のために血液または組織のいずれかでEBV DNAの検出のための分子診断技術が必要とされる。
参考文献
1) J Virol. 1987 Apr;61(4):1125-35.
2) J Infect Chemother. 2011 Oct;17(5):686-8.
3) Eur J Gastroenterol Hepatol. 2009 Dec;21(12):1433-5.
4) J Med Virol. 2013 Mar;85(3):519-23.
EB、CMV、HSV1はいずれもヘルペスウイルス科に属しその抗原性は類似し、抗体の交差反応が予想されます。文献ではどうでしょうか。
・伝染性単核球症（IM）はEBウイルス一次感染よって引き起こされるが、CMV、HHV-6、HAV、HIV関連でも類似の症候群を示す。
・免疫蛍光法（IF）による抗体検出は、"ゴールドスタンダード"と考えられているが、酵素免疫測定法（EIA）は良好な感度ならびに特異性を示している。今日検査室のほとんどがEBV感染の診断のためのEIAを使用している。
・VCAに対するIgMの反応が早く表示され、感染の4-6週間以内に消える。
・単純ヘルペスウイルス1型および2型、エプスタイン - バーウイルス、およびサイトメガロウイルスのうちの抗原交差反応の検討した文献。 CMVはHSV-2gC、gD、gEと交差反応するタンパク質を、CMVおよびEBVはHSV-2gGと交差反応するタンパク質をコード、HSV-2のP45ヌクレオ蛋白への抗原対はHSV-1およびCMVに存在、HSV-1の主要なDNA結合性タンパク質およびリボヌクレオチドレダクターゼのcounterpartsがすべてのウイルスに存在、EBVウイルス粒子糖タンパク質gp85はHSV-1、HSV-2、CMVへの抗血清により免疫沈降、CMVおよびEBVに対する抗血清は高濃度ではHSV-1とHSV-2の両方の感染性を中和、などがみられた。 1)
・各ヒトヘルペスウイルスは、 DNA構造、宿主範囲、および成長のin vitroでの迅速性,特性が互いに異なり、サブファミリーの分類の基礎となる。しかし、ウイルスはまた、宿主細胞（宿主膜とウイルスエンベロープとの融合）に入るモード、ウイルスDNA複製の核の位置、ウイルスアセンブリ、内核膜からエンベロープ獲得などの生物学的機能を持っている。彼らはおそらく一般的な機能を担当するいくつかの共通の構造と非構造調節タンパク質を持っていることを意味する。
・以前の研究では、HSV-1およびHSV-2およびその他の動物ヘルペスウイルスの抗原関連性を記録し、主要なHSV-1のDNA結合タンパク質（ICP8）およびHSV-2（ICP 11/12）が 交差反応決定基を担持するタンパク質の一つであることを示している。
・34歳日本人男性ケース。EBV VCA IgM、VCA IgGが上昇、CMV IgGは陰性だったがCMV IgMが一時期陽性（20th） 2)
・EBNA-1タンパク質におけるグリシン-アラニンリッチエレメントと、pUL44とpUL55の非構造CMVタンパク質内のグリシンリッチモチーフは、広く診断抗原として使用されている。EBNA-1のグリシン-アラニンリピート内のエピトープを認識するIgM抗体は、 EBVとCMVの両方で急性感染時に誘導される。pUL44とpUL55のグリシンリッチモチーフは、EBNA-1のグリシン-アラニンリピートよりはるかに短く、また主にグリシンから成るものの、彼らは グリシン-アラニンリピートによって誘発され潜在的にIgMの抗体と反応する可能性がある。
・急性EBV感染の診断マーカーであるEBV VCA IgM抗体の偽陽性の発生も、急性E型肝炎例（真のEBV感染の非存在下）でも報告されている 3)
・17歳男性、HBV, HCV関連検査、HAV IgM,HEV IgMは陰性だが、EBV IgM、CMV IgM、VZV IgMが陽性。血液サンプルはまた、EBV DNAが陽性（124コピー/ ml）だった。 4)
・EBV感染の確認のために血液または組織のいずれかでEBV DNAの検出のための分子診断技術が必要とされる。
参考文献
1) J Virol. 1987 Apr;61(4):1125-35.
2) J Infect Chemother. 2011 Oct;17(5):686-8.
3) Eur J Gastroenterol Hepatol. 2009 Dec;21(12):1433-5.
4) J Med Virol. 2013 Mar;85(3):519-23.
