度々記事に登場する我が娘ですが、今春から女子高生になりました。
彼女の通う高校は、なんと農業高校なのです。
敷地も広く、一年生は入学すると科を問わず全員が一区画ずつ圃場(畑のこと)を分け当たえられ、スイカを育てます。
土がいいので1個6キロぐらいの立派なスイカが夏には収穫でき、
3個まで家に持ち帰れるそうです。
スイカ片手に電車に乗り込む高校生の姿を想像してみましょう、、、ぷぷっ。
彼女は動物科学科に在籍していますので、牛の世話をする曜日が決まっていて、当番を休んでしまったら、次の日には必ずやらなければならないそうで、
その理由は「牛は生きているから」。
ここの動物科でまことしやかささやかれているうわさは、牛を死なせたら退学、病気にしたら停学、地震などの災害時の最優先事項は動物の救出。
両手に小動物を抱えて避難するのは当たり前、人間よりも動物優先。
後に判明したところでは、すべて本当のことらしいです。
普通高校とはまったく違い、勉強に追われる高校生活とは一線を画し、のんびりゆったりしているのがおわかりになるでしょうか。
スイカの苗に名前をつけ、毎朝話しかけに行く娘。
とても楽しそうです。
さて、本書の主人公エムズワース卿も通常の人々とは一線を画す人物。
第九代エムズワース伯爵は、綿菓子のような頭脳の持ち主で、気立てのよい老紳士。
執事からは「殿」とかしづかれている。
田舎のブランデングズ城を愛し、花を愛で、着古した服を好み、南瓜の生育に心を配り、豚の食欲に一喜一憂する、そんな価値観の持ち主。
心静かに田舎生活を過ごすことを最優先に考え、行動するのがロード・エムズワースなのだ。
だから、常識的な伯爵の妹たちや、モダンな考え方をする姪や息子とは相容れない。
というか、かみ合わない。
そこがこのシリーズの笑いのポイントですね。
「ブランディングズ城とエムズワース伯爵シリーズ」の短編は、本書のもが全作品なんだとか。
長編はといえば11作品で、膨大なウッドハウス作品からみれば、大変少ないですね。
私としては、ブランディングズシリーズ、特に伯爵は、大変好みなので、できれば長編すべても翻訳、刊行されることを願ってやみませんが、もし、実現したとするならば、本書は資料的な価値がぐっと上がるのではないかと思います。
「天翔るフレッド叔父さん」もさることながら、巻末付録にも力が入っています。
さらに、巻末付録から続くかたちの参考文献に、なんとA・B・コックス「文体の問題、あるいはホームズとモダンガール」が載せられているのです!
バークリーファンである私にとっては、ウッドハウスからのプレゼントをもらったようなものです。
と、喜んでばかりはいられません。
巻末付録「探偵小説とウッドハウス」では真田啓介氏から、イタイ指摘を受けるバークリー。
指摘されていることがいちいちもっともなだけに、ムカツク。
そんなわけで、「文体の問題、あるいはホームズとモダンガール」について書いてみましょう。
これは、もしウッドハウスがホームズのパロディを書いたら、、、というコンセプトのもと、バークリー(コックス)が執筆したものです。
ウッドハウスらしさはそこそこあるような気がしますが、はっきり言いまして、
まったくバークリーです。
50歩も100歩も譲っても、バークリーです。
小さい手にいたく感銘をうけるのは、バークリーでしかありえません。
つまり、文体を真似しようとしても、結局は自分の文章になってしまうっていう、いい例ですね。
まあ、バークリーファンにとっては、嬉しいオマケです。
載せてくれてありがとうございます。
エムズワース卿の受難録―P.G.ウッドハウス選集〈2〉
彼女の通う高校は、なんと農業高校なのです。
敷地も広く、一年生は入学すると科を問わず全員が一区画ずつ圃場(畑のこと)を分け当たえられ、スイカを育てます。
土がいいので1個6キロぐらいの立派なスイカが夏には収穫でき、
3個まで家に持ち帰れるそうです。
スイカ片手に電車に乗り込む高校生の姿を想像してみましょう、、、ぷぷっ。
彼女は動物科学科に在籍していますので、牛の世話をする曜日が決まっていて、当番を休んでしまったら、次の日には必ずやらなければならないそうで、
その理由は「牛は生きているから」。
ここの動物科でまことしやかささやかれているうわさは、牛を死なせたら退学、病気にしたら停学、地震などの災害時の最優先事項は動物の救出。
両手に小動物を抱えて避難するのは当たり前、人間よりも動物優先。
後に判明したところでは、すべて本当のことらしいです。
普通高校とはまったく違い、勉強に追われる高校生活とは一線を画し、のんびりゆったりしているのがおわかりになるでしょうか。
スイカの苗に名前をつけ、毎朝話しかけに行く娘。
とても楽しそうです。
さて、本書の主人公エムズワース卿も通常の人々とは一線を画す人物。
第九代エムズワース伯爵は、綿菓子のような頭脳の持ち主で、気立てのよい老紳士。
執事からは「殿」とかしづかれている。
田舎のブランデングズ城を愛し、花を愛で、着古した服を好み、南瓜の生育に心を配り、豚の食欲に一喜一憂する、そんな価値観の持ち主。
心静かに田舎生活を過ごすことを最優先に考え、行動するのがロード・エムズワースなのだ。
だから、常識的な伯爵の妹たちや、モダンな考え方をする姪や息子とは相容れない。
というか、かみ合わない。
そこがこのシリーズの笑いのポイントですね。
「ブランディングズ城とエムズワース伯爵シリーズ」の短編は、本書のもが全作品なんだとか。
長編はといえば11作品で、膨大なウッドハウス作品からみれば、大変少ないですね。
私としては、ブランディングズシリーズ、特に伯爵は、大変好みなので、できれば長編すべても翻訳、刊行されることを願ってやみませんが、もし、実現したとするならば、本書は資料的な価値がぐっと上がるのではないかと思います。
「天翔るフレッド叔父さん」もさることながら、巻末付録にも力が入っています。
さらに、巻末付録から続くかたちの参考文献に、なんとA・B・コックス「文体の問題、あるいはホームズとモダンガール」が載せられているのです!
バークリーファンである私にとっては、ウッドハウスからのプレゼントをもらったようなものです。
と、喜んでばかりはいられません。
巻末付録「探偵小説とウッドハウス」では真田啓介氏から、イタイ指摘を受けるバークリー。
指摘されていることがいちいちもっともなだけに、ムカツク。
そんなわけで、「文体の問題、あるいはホームズとモダンガール」について書いてみましょう。
これは、もしウッドハウスがホームズのパロディを書いたら、、、というコンセプトのもと、バークリー(コックス)が執筆したものです。
ウッドハウスらしさはそこそこあるような気がしますが、はっきり言いまして、
まったくバークリーです。
50歩も100歩も譲っても、バークリーです。
小さい手にいたく感銘をうけるのは、バークリーでしかありえません。
つまり、文体を真似しようとしても、結局は自分の文章になってしまうっていう、いい例ですね。
まあ、バークリーファンにとっては、嬉しいオマケです。
載せてくれてありがとうございます。
エムズワース卿の受難録―P.G.ウッドハウス選集〈2〉
スイカ片手に電車に乗る女子高生の父親がバークリーファン……
自分自身はン10年にかなり読んでいたはずなのですが,「50歩も100歩も譲っても、バークリーです。」というところまではいたらず,ファンとはいえないようです(笑)
ついでに、母親でございます(笑)
donmaboさまも、バークリーファン?
嬉しいなぁ、仲間、仲間♪
バークリーは、まだ読んでいない本があるんです。
「ピカデリー」と「試行錯誤」。
なんとか手に入れなければ。
うちの長女は今年の春就職しましたが、通っていたのが薬科大学なもので、食事をしながら楽しそうに解剖の話などしてました。
そういうズレが、じつはブランディングズシリーズのポイントなんですよ。
ところで、わが娘も動物科学科でありますから解剖はあるんです。
娘は少々ビビリ気味です。
卒業生からリサーチしたところによると、食肉解剖の際に牛のヒレを持ち出した学生がいるとか。
友人と焼いて食べたそうです。
卒業式の日に「怒らないから言ってごらん」という先生に、その話をしたところこっぴどく叱られたそうで。
S大農学部でも似たようなことはしょっちゅうあるという噂も聞きました。
いやいや、専科というのは面白いことの宝庫ですね。
くろにゃんこさんの意見に、ほほぅと唸ってしまいました。
もし本家ウッドハウスが、さらにこのパロディ作品をパロディで書いたら(必殺パロディ返し?)、どうなるんでしょうねー?
僭越ながら想像しますと、ウッドハウスだったら描写の焦点を「小さな手」に置くより、そのちょっと手前、
「女はほほえみをこっちに向けた」
こっちに当てて膨らませたのではないかなぁ、と。
“唇の端は、魅惑的な古代ギリシャの黄金比の位置で上25度の角度に上げられていた”とか、その瞬間に“僕のからだはポプラの枝のようにブルブル震えた”とか。
どうでしょうねー?
あと、娘さんの話題のほうが面白かった、に一票です(笑)。
に一票(笑)
バークリーには「微笑み光線」という必殺技がありますよね。
(「プリーストリー氏の問題」を参照のこと)
お二方には交流があったということですから、お互いのクセとか好みとかもよくご存知だったんでしょうね。
その上でのパロディですから、真似をしているようで実はしていないというところに面白みがあるのではないかと思います。
ところで、娘の学校の話題ですが、なかなか評判のようですね。
豚はいないんですって。
なぜなら食用だから。
「ブランディングズの女帝」も食用なんでしょうけど、天寿を全うしそうですよね。
カバーの下は…すごいピンクに、さらにピンクの重ね使いで、表紙に「女帝」のアップ、裏表紙に後姿のアップでした。ベタはベタなんですが、なんだかほのぼの…。
きっと可愛いんだろうな~。
ピンクって、ロード・エムズワースに良く似合っている気がしません?
愛らしいというか、なんというか。
ウッドハウス全集はあったけどロード・エムズワースの本はなぜかなくて・・・でも調べるとあるはず・・・借りられてはないので閲覧中だったようです。
でも、本当におもしろそうですね。
手に入ったときが楽しみです
高い本をタダで借りられるし、古くて市場には出回らない本も書庫に保存されていたりして、ああ、なんてステキなところなのかしら。
現在、コレクションの「ウースター家の掟」を借りているんですけど、あと数日で返却日がきてしまう。
やべっ。
読めるかな~。
むぎこさまが、ロード・エムズワースにお会いできる日は近い!
読んだら感想聞かせてくださいね。
待ってま~す。