くろにゃんこの読書日記

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イブの7人の娘たち ブライアン・サイクス

2005年01月03日 | 科学&ノンフィクション
イブの息子たちじゃあないよ。(このギャグがわかる人がいるのか?)
という、冗談はさておき、この本はとっても真面目な
ミトコンドリアDNAに関するノンフィクション。
学術的な記述も多いが、難しいところは日本語翻訳時点で割愛されているということで、わかりやすく読みやすい。
何より、著者の人柄が、お茶目でかわいらしい。

ミトコンドリアDNAといえば、ミトコンドリア・イブですが、まあ、そう急がずに。
まず、細胞核組織にあるDNAとミトコンドリアDNAの違いがわかりますか?
私はよく分かんなかったんだよね。
でも、本書を読んで解決。よかった、よかった。

ミトコンドリアとは細胞核ではなく、その外側の細胞質のなかに含まれ、
細胞が酸素を使ってエネルギーを作り出す際の手助けをする。
そのミトコンドリア内にあり、ミトコンドリアの仕事の命令を出すのがミトコンドリアDNAだ。
細胞核DNAの塩基数が30億に対してミトコンドリアDNAは1万6千5百塩基。
突然変異が1万年に1つの割合で起こるということ。
そして、もっとも重要な点は、母親からしか受け継がないということだ。

その特徴から、人類の足跡を辿ろうというのが、この本の内容だ。
まず、ポリネシアの人たちのミトコンドリアDNAを解析することから、航海の軌跡をたどる。
そして、現在のヨーロッパ人はネアンデルタール人が祖先なのか、クロマニョン人が祖先なのかに決着をつけ、さらに、そこからヨーロッパ人の7つの系列を見つける。
その、7系列は、それぞれ一人の女性から始まっている。
それが7人のイブの娘たちだ。
この本では、その女性たちが生きていた時代を生き生きと描いて見せている。
もちろん推測だが。
全世界的には、本書発行当時35系列見つかっており、その系列がすべてつながる共通祖先はアフリカにいたという。
それが、ミトコンドリア・イブだ。
現在の人類は、一人の女性の子孫なのだ。

なんと壮大な母系図だろう。
あなたと私も何世代か何十世代かさかのぼれば、共通の母が見つかるかもしれないのだ。
本書では、日本についての記述も少し触れている。
日本人には、9系列の母が見つかっているという。
ヨーロッパ7系列に対して、小さい日本なのに9系列とは、日本に渡ってくるまでの歴史に思いを馳せずにはいられない。

イヴの七人の娘たち

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