【国試過去問】 分娩時、破水後に突然原因不明の呼吸困難、チアノーゼ、痙攣(cramp)発作を起こし、数時間で死亡した。もっとも疑われるものはどれか。
a. 低フィブリノーゲン血症
b. 子癇(eclampsia)
c. 羊水塞栓症
d. 常位胎盤早期剥離
e. 子宮破裂
解答:c
【正誤問題】
(1)羊水塞栓症では母体死亡はまれである。
(2)羊水塞栓症では下腹部が板状硬となる。
(3)羊水塞栓症では妊娠高血圧症候群を合併することが多い。
(4)羊水塞栓症では突然の呼吸困難、チアノーゼ、ショックが特徴的である。
(5)羊水塞栓症では中心静脈圧が低下を示す。
(6)羊水塞栓症の確定診断は死後剖検での肺病理検査によって行う。
(7)羊水塞栓症の臨床的診断は母体血中のZn-CPとSTNの証明による。
(8)羊水塞栓症ではDICをともなうことが多い。
(9)羊水塞栓症では、まず抗ショック療法、抗DIC療法を行う。
(10)羊水塞栓症では低分子ヘパリンの投与が有効である。
解答 ――――――
(1)X 羊水塞栓症の母体死亡率は60~80%と非常に高い。約50%は発症後1時間以内に死亡すると言われている。
(2)X
(3)X
(4)O
(5)X 羊水塞栓症は、羊水および胎児成分が母体血中へ流入することによって引き起こされる「肺毛細血管の閉塞を原因とする肺高血圧症と,それによる呼吸循環障害」を病態とする疾患である。中心静脈圧は上昇を示す。
(6)O
(7)O 体血中に胎便由来の亜鉛コプロポルフィリン(Zn-CP)とシリアルTN抗原(STN)が確認されれば、母体血内への羊水流入が証明できる。
(8)O
(9)X 心肺停止時はまず心肺蘇生法を行う。
(10)O DIC の進展を防止するため速効性のあるヘパリンを静注する。出血増加の副作用が少ない点から低分子ヘパリン(フラグミン)の使用が勧められている。