ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

長野県立こども病院の一般診療化 県医師会会長が反対

2006年04月16日 | 地域周産期医療

最近は県内各医療圏の周産期1次医療が崩壊しつつあり、2次病院(地域中核病院)が1次医療も2次医療も掛け持ちで実施せざるを得なくなってきている。従って、2次病院では従来よりも患者数が増えているので、濃厚な治療を要する重症の患者さんの治療は3次病院(県立こども病院、信大病院)に頼らざるを得ない。

県立こども病院は県全体の大切な財産であり、我々が対応できない重症の患者さんをいつでも受け入れてくれる『最後のとりで』である。万一、病院の周辺に住む地域住民の一般診療だけで県立こども病院の先生方が手一杯になってしまっては、県民全体が非常に不利益をこうむることになってしまう。

県内で重症患者が発生した時には、いつでも受け入れ可能で、ただちに高度な医療を開始することが可能な、現在の県立こども病院の体制を、今後も堅持していただきたいと願っている。

****** 信濃毎日新聞、2006年4月16日

こども病院専門医療「維持できぬ」県方針に医師会反論

 県医師会の大西雄太郎会長らは15日、長野市内で会見し、県が、県立こども病院(安曇野市)で、小児科と産科の一般診療を開始するとの方針を示したことに反対する考えを表明した。大西会長は「一般診療を始めれば、こども病院の高度専門医療の水準は維持できず、県民や国民のためにならない」と述べた。

 田中知事は7日の会見で、同病院について「いつでも、誰をも拒まない小児の開かれた医療機関にしていく。救急診療中心の診療から始める」と発言。救急搬送でなくても、子どもが重症だと家族が感じた場合は同病院で受け入れ、軽症の場合はその後、患者のかかりつけ医師らに診療を委ねる考えを示した。

 知事の方針に対し、大西会長は「こども病院は設備、医療とも全国トップクラスで、県外からも難病の子どもたちがたくさん来る。一般診療を始めれば、医師の負担は増える」とした。

(以下略)

(信濃毎日新聞、2006年4月16日)


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2 コメント

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>田中知事は7日の会見で、同病院について「いつ... (Unknown)
2006-04-16 23:34:35
何の為の1次~3次の救急病院の分類なのか、
事の本質が解っていない田中県知事の
浅はかな見識には、開いた口が塞がりません。


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小児科ではないのですが・・・。 (まごころ)
2006-04-17 02:14:38
私は、今個人の産婦人科から紹介状を書かれて仕方なく待ち時間の長い県病院へかかっています。
県病院では、普通の何も問題のない分娩も受け付けていますので、妊婦検診も予約をしていてもけっこう待たされてしまいます。私は、お腹の赤ちゃんのこと(卵巣膿腫疑い)が心配なので、もっと詳しく先生とお話したいのに、看護婦さんは早くして欲しいといった感じです。先生も疲れている感じですし。
普通の病院でダメだから転送されているのに。患者としては、県病院は最後のとりでとなってほしいので、私のような人を丁寧にみていただけるようになってほしいです。
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