ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

新型インフルエンザ、WHO フェーズ6に引き上げを宣言

2009年06月12日 | 新型インフルエンザ

世界保健機関(WHO)は、新型インフルエンザの警戒度を、世界的大流行(パンデミック)を示す「フェーズ6」へ引き上げることを決めました。世界が20世紀以降に経験するパンデミックは今回で4度目で、過去には世界中で死者が100万~4000万人という大きな犠牲者が出ました。今回のパンデミックは、約100万人が死亡した1968年の「香港風邪」以来、41年ぶりとなります。

WHOはパンデミックの場合、流行の第2波までに世界人口の3分の1が感染すると予測しています。この割合を当てはめると、国内では約4000万人が感染する計算となります。

ワクチンは既に主要国保健当局と世界の主要メーカーが開発の準備に入っており、7月にも生産が始まり今秋には本格的に流通する見通しです。それまでは感染者の早期発見と、重症者に対する抗ウイルス剤投与が対策の中心となります。

****** NHKニュース、2009年6月12日

WHO フェーズ6に引き上げ

新型インフルエンザをめぐってWHO=世界保健機関のチャン事務局長は11日、緊急の記者会見を行い、南半球を含めた世界的な感染の広がりを受けて、警戒レベルを今の「フェーズ5」から世界的な大流行=パンデミックの宣言を意味する最も高い「フェーズ6」に引き上げると宣言しました。

日本時間の午前1時すぎから始まった緊急の記者会見の冒頭、WHOのチャン事務局長は「世界では今、新型インフルエンザのパンデミックが始まろうとしている」と述べ、警戒レベルを最も高い「フェーズ6」に引き上げると宣言しました。その理由として、チャン事務局長は、アメリカや日本などの北半球に続いて、冬を迎えた南半球でもオーストラリアなどで急速に感染が広がっていること。症状が軽いことから検査を受けない感染者もいて、実際には把握されている以上に世界的な感染が広がっているおそれがあることなどをあげています。その一方、チャン事務局長は過剰な反応が起きることに懸念を示し、国境を閉鎖したり国際的な人や物の往来を制限したりしないよう、各国に適切な対応を呼びかけました。さらにチャン事務局長は、医療体制が整っていない発展途上国で、感染が深刻になることが懸念されるとして、こうした国々への支援が必要だと強調しました。最後に、チャン事務局長は「わたしたちすべてがこの事態に向き合わなければならない。いっしょになって乗り越えていこう」と述べて、国際社会が一丸となって新型インフルエンザの危機に対応していくことを求めました。

(NHKニュース、2009年6月12日)

****** 東京新聞、2009年6月12日

新型インフル世界的大流行を宣言 

警戒水準「6」に引き上げ

 【ジュネーブ11日共同】世界保健機関(WHO)のチャン事務局長は11日、記者会見し、新型インフルエンザの警戒水準(フェーズ)を広域流行を意味する現行の「5」から最高の「6」に引き上げ、世界的大流行(パンデミック)を宣言した。インフルエンザの世界的大流行は、約100万人が死亡した1968年の「香港風邪」以来、41年ぶり。

 事務局長は、今回はウイルスの病原性が低く、「重度」より軽く「軽微」より重い「中」程度だとの認識を示した。今後も感染が拡大するとの見通しを示す一方で「重症者や死者が突然急増することは予想しない」と表明。各国に国境閉鎖や旅行制限など過剰な反応をしないよう呼び掛けた。

 新型インフルエンザは当初のメキシコ、米国から欧州や日本、さらにオーストラリアなど冬季にさしかかった南半球を含む多数の国に拡大。オーストラリアは10日の主要感染国による会議で、同国ビクトリア州で北米などへの渡航者と無関係な人の間で感染が続く「地域社会レベルの持続感染」の発生を認め、大流行宣言を出す条件は出そろった。

 WHO当局者によると、宣言に伴い、新型インフルエンザがもたらす感染者の健康被害について3段階の新たな評価基準を設定。チャン事務局長は新型インフルエンザに有効なワクチンについて「メーカーができるだけ早く製造できるよう支援していく」と言明した。

 記者会見に先立ち、専門家による緊急委員会の電話会合が開かれ、チャン事務局長に対し引き上げを勧告。事務局長は各国外交団に警戒水準引き上げを通知した。

 ワクチンは既に主要国保健当局と世界の主要メーカーが開発の準備に入っており、7月にも生産が始まり今秋には本格的に流通する見通し。それまでは感染者の早期発見と、重症者に対する抗ウイルス剤投与が対策の中心となる。

(東京新聞、2009年6月12日)

****** 東京新聞、2009年6月12日

世界的大流行「3年続く」 

WHO医務官が見通し

 【ジュネーブ12日共同】世界保健機関(WHO)が11日に宣言した新型インフルエンザの世界的大流行(パンデミック)について、WHOの進藤奈邦子医務官は同日、記者会見し「今後3年間はパンデミック状態が続く」と述べ、警戒水準(フェーズ)が最高位の「6」に長期間据え置かれるとの見通しを明らかにした。

 医務官は「今後は(冬を迎える)南半球の動向を注視する必要がある」とした上で「感染者は米国など北半球でも増加し、新型ウイルスが衰える気配はない」と安易な終息ムードを戒めた。

 フェーズ6の期間中、世界の多くの人が新型ウイルスに感染して免疫を獲得したり、ワクチンで感染被害を抑え込むことなどにより、患者数は徐々に減少。新型ウイルスはその後、通常の季節性インフルエンザウイルスと同じ扱いになるという。

 また、進藤医務官はこれから季節性インフルエンザの流行期に入る南半球について「季節性と新型の双方が同時に流行する可能性がある」と指摘。さらに、双方のウイルスが交雑し、抗ウイルス剤、タミフルに対する耐性を持った新型ウイルスが発生する危険性があるとの懸念も示した。

(東京新聞、2009年6月12日)  

****** 朝日新聞、2009年6月12日

WHO、パンデミック宣言 

新型インフル「フェーズ6」

 世界保健機関(WHO)は11日、新型の豚インフルエンザの警戒レベルを現行のフェーズ5から、世界的大流行(パンデミック)を意味する最高度のフェーズ6に上げることを宣言した。インフルエンザシーズンを迎えつつある南半球に感染が及んだことが決め手となった。大流行は「香港風邪」以来、41年ぶりとなる。

 WHOのマーガレット・チャン事務局長は11日午後6時(日本時間12日午前1時)過ぎに記者会見し、大流行を正式に宣言。「感染の拡大を止めることはできない」と述べた。今回の新型を「2009インフルエンザ」と名付けたことも明らかにした。

 厚生労働省の担当者は11日、この決定に先立ち、大流行が宣言された場合の対応について、「これまでの(政府の)方針に沿って、感染拡大防止に努める」とし、現状では国内対策の警戒レベル引き上げは考えていないことを明らかにした。

 ただ、WHOが宣言したことで、国によっては移動や集会の制限などを検討する可能性があり、市民生活や世界経済などに影響が出かねない。

 このためWHOは過剰反応を戒めており、「渡航・貿易制限や国境閉鎖はすべきではない」と改めて求めている。

 WHOの基準では、感染が広がっている米州地域以外の1カ国で「地域社会レベルの人から人への持続的感染」が確認されれば、フェーズ6の要件が満たされる。

 冬を迎えた南半球では6月に入り、感染の拡大が著しい。11日現在で豪州は1307人、10日現在で南米チリは1694人の感染者が確認されている。特に、感染者が1千人を超えた豪州ビクトリア州で、人から人への持続的感染が確認されたことが、今回の大きな決定要因となった。

 WHOが確認した世界の感染者は10日朝現在で75カ国・地域の2万7737人。大半は軽症で済んでいるが、死者は141人になっている。

 WHOは、今回の新型インフルの「重症度」は「中等度」であると評価した。「軽度」としなかったのは、「今回、死亡、重症化した人の大半は、30~50代だったことなどを考慮に入れた」(チャン事務局長)という。

 各国政府に対し、状況に応じて、感染拡大防止から、医薬品以外の対処法を含めた感染症状の緩和策にシフトさせていくべきだと求めている。

 WHOは、医療態勢や医薬品が十分でないアフリカなどの途上国で今後、感染の影響がどのように出るか懸念、これまでに抗ウイルス薬やワクチンメーカーと途上国への提供について議論してきた。

 「季節性インフルエンザワクチンの製造は間もなく終了し、今後数カ月の間に新型インフルワクチンを可能な限り多く供給ができるような製造態勢を取ることができるようになるだろう」としている。

 人類は20世紀にインフルエンザの世界的大流行を3度経験した。今回は21世紀初の大流行となる。【大岩ゆり、編集委員・浅井文和、ジュネーブ=飯竹恒一】

(朝日新聞、2009年6月12日)

****** 読売新聞、2009年6月12日

新型インフル、「フェーズ6」引き上げを宣言

…WHO

 【ジュネーブ=平本秀樹】世界保健機関(WHO)のマーガレット・チャン事務局長は11日夕(日本時間12日未明)、記者会見を開き、新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)の警戒水準を世界的大流行(パンデミック)を意味する最高の「フェーズ6」へ引き上げると宣言した。

 同日開催の専門家による緊急委員会が、南半球での急速な感染拡大を踏まえ、「世界的大流行の要件が満たされた」と結論づけたことを受け、決断した。

 新型インフルエンザの世界的大流行は死者100万人に及んだとされる1968年の「香港風邪」以来41年ぶりとなる。

 チャン事務局長は、感染者の大半の症状が軽いことを指摘し、「国境閉鎖や国際的な人・モノの移動制限措置を取るべきでない」と述べ、各国に冷静な対応を求めた。また、世界各地にウイルスが広がってしまっているため、患者隔離など「封じ込め策」より、早期治療を軸とする感染拡大の「軽減策」に重点を移すよう訴えた。

 メキシコ、米国を起点に4月以後、急速に広がったウイルスは、WHOによると11日までに74か国・地域に拡散し、感染者は2万8000人以上に達する。感染者の増大は、冬に入った南半球で顕著で、豪州では毎日100人のペースで増え、1200人を超した。

 WHOの警戒水準は地理的な広がりを尺度に定められており、フェーズ6は、世界の2地域で人から人への持続的感染が起きていることが条件。北米に加え豪州でも人から人への持続的感染が確認されたため、フェーズ6への引き上げが避けられなくなった。

 警戒水準は各国の対策を左右するだけに、引き上げに際しては、ウイルスの地理的な広がりだけでなく、病原性の強弱を表す新たな尺度の必要性が認識された。WHOは「重症」「中度」「軽症」の3段階の尺度を検討しており、今回は「中度」としている。

 チャン事務局長は、また、ワクチンメーカーに対し、季節性インフルエンザ用ワクチン製造が完了した後、新型用ワクチンをフル稼働で生産するよう求めた。

 WHOは新型インフルエンザの警戒水準を4月29日にフェーズ5に引き上げた。5月初め、英国やスペインでも感染者が増大し、フェーズ6への引き上げが本格的に検討されたが、世界的大流行を宣言することによる経済的、社会的影響への懸念から、欧州諸国のほか日本や中国が反対したため、引き上げは見送られていた。

(読売新聞、2009年6月12日)

****** 毎日新聞、2009年6月12日

新型インフル:警戒度6「世界的大流行」宣言

…WHO

 【ジュネーブ澤田克己】世界保健機関(WHO)のマーガレット・チャン事務局長は11日夕(日本時間12日未明)、新型インフルエンザの警戒度を現行の「フェーズ5」から、世界的大流行(パンデミック)を意味する「6」へ引き上げると発表した。インフルエンザのパンデミック発生は、世界中で約100万人が死亡した1968年の香港風邪以来41年ぶり。

41年ぶり「大流行」

 チャン事務局長は会見で「感染の状況はフェーズ6の条件を満たしている」と話し「今後の感染の拡大は避けられない」とした。同日開いた専門家による緊急委員会や、前日までの各国との協議を総合的に判断してフェーズ6を宣言した模様だ。

 ただ、現段階ではウイルスは大きな変異を起こしておらず、特に治療の必要がない程度の軽症患者が多い。事務局長は「(新型インフルエンザは)重症度からみると世界的に中等度となっていると言える」とし「国境封鎖や旅行・貿易の制限はしないよう」呼び掛けた。

 現行規定に基づくフェーズ6引き上げの条件は、世界の複数地域で「地域社会レベルの持続的感染が起きている」ことだ。メキシコと米国に加え、日本や英国などで感染が拡大したうえ、これから冬に向かう南半球のオーストラリアで感染が1200人以上と急拡大していることを重視したとみられる。

 WHOは5月の総会時、パンデミック宣言がもたらす社会的混乱を恐れる日本や英国などからの反発を受けて、基準見直しを表明していたが、その後、軌道修正を図っていた。

 WHOは4月24日、メキシコで豚インフルエンザ感染を疑われる死者が多数出ていると発表。「フェーズ3」だった警戒度は、同月27日に新型インフルエンザ発生を意味する「4」、29日にパンデミックが目前に迫っていると警告する「5」へと引き上げられていた。WHOによると感染者は世界で2万7737人、死者は141人にのぼっている。

(毎日新聞、2009年6月12日)

****** 毎日新聞、2009年6月12日

新型インフル:解説 警戒度「6」に

…「第2波」に備えを

 世界保健機関(WHO)は、新型インフルエンザの警戒度を、世界的大流行(パンデミック)を示す「フェーズ6」へ引き上げることを決めた。国内での対策に大きな変更はないが、秋以降に懸念される流行の「第2波」に備え、患者の早期治療や重症化を防ぐ準備が必要だ。

 世界が20世紀以降に経験するパンデミックは今回で4度目。過去には世界中で死者が100万~4000万人という大きな犠牲者が出た。だが、WHOのチャン事務局長は今回の新型発生後、「我々はかつてない準備ができている」と述べた。世界はこの病気に関する知識と、一定の医療態勢を整えている。これらをいかに生かせるかが問われている。

 WHOはパンデミックの場合、流行の第2波までに世界人口の3分の1が感染すると予測している。この割合を当てはめると、国内では約4000万人という計算だ。

 新型は、感染したことに気が付かないケースもあるなど、多くの人で症状が軽い特徴がある。その一方で、高齢者が死亡する季節性と異なり、糖尿病などの基礎疾患がある人や妊婦のほか、健康な成人でも重症化し、死亡する例が出ている。国内でも感染者数が増えれば、一定数の重症者、死者が出ることも避けられない。政府は被害軽減のため、バランスの取れた対策をとらねばならない。医療関係者の協力を得ながら、早期発見、治療の態勢を整え、年内に2500万人分の製造が見込まれるワクチンについて有効な接種方針を明確に示すことが求められている。【関東晋慈】

(毎日新聞、2009年6月12日)

****** 毎日新聞、2009年6月12日

渡航歴に関係なく遺伝子検査実施を…厚労省

 厚生労働省は10日付で、都道府県などに新型インフルエンザの監視強化を求める通知を出した。全国約500カ所の「病原体定点医療機関」を受診したインフルエンザ患者▽学校、家族、集会参加者などから集団で発生したインフルエンザ患者--などは、渡航歴などに関係なく遺伝子検査を原則実施するよう求めている。

 これまでは、感染が広がっている地域に行ったり、感染者と接触した可能性があるとして保健所に届け出があった「疑い例」に限られていた。【清水健二】

(毎日新聞、2009年6月12日)


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