ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

沖縄北部病院 産婦人科救急と婦人科を休診へ 妊婦健診のみ予約制

2009年09月15日 | 地域周産期医療

沖縄県立北部病院はベッド数293床、22診療科の総合病院で、沖縄県北部医療圏(診療対象人口約12万人)における地域中核病院に位置付けられていて、地域災害拠点病院にも指定されています。同院産婦人科は05年4月1日から医師不足を理由に診療を休止しましたが、昨年11月には医師4人の体制が整って診療を再開し、今年1月には24時間体制の産婦人科救急診療も再開させました。今年4月に1名が退職し、5月からは産婦人科救急を一部制限して医師3名の体制で診療を続けていました。さらに医師1人が10月に退職して医師2名の診療体制となりました。同院は産婦人科医を募集していますが、すぐに勤務開始できる医師の確保には至っていません。産科は紹介予約制として妊婦健診に重点を置いた診療体制に変更し、婦人科は新規患者の受け付けを休止しています。

****** 琉球新報、2009年10月20日

地元主体の行動重要 産婦人科医不足で意見交換

 【名護】県立北部病院の産婦人科について考える会合「やんばるの母と子の命を守るために、今私たちに何ができるか」が16日、名護市中央公民館で開かれた。名護市各種団体女性代表ネットワーク協議会のほか、市役所や名桜大学などから約20人が参加。同病院産婦人科の現状や今後について意見が交わされた。

 会では同病院の大城真理子医師が2005年の産婦人科休止からの経緯を説明。現在は2人の医師だけで対応していることを挙げて「リスクの高い妊婦は中部まで送っている」と厳しい状況を話した。

 また、医師の増員を目指して県などに働き掛けているといい、「都市部の病院でも産婦人科医が足りないのが現状だ。県は全体を考えるので、北部だけを特別扱いしてくれない。北部のことは北部の市町村が考えるべきだ」と地元が主体性を持って行動する重要性を訴えた。

 参加者からは「医師が長期間働けるような環境をつくるべきだ」「市民がもっと声を上げた方がよい」「市町村が病院支援の積立金を集められないか」などさまざまな意見が出された。

 今後はフォーラムなどを実施して産婦人科の在り方などを考えていくことも確認された。

(琉球新報、2009年10月20日)

****** 沖縄タイムス、2009年9月20日

産婦人科救急と婦人科を休診へ 北部病院

健診のみ予約制

 産婦人科医3人のうち1人が退職予定の県立北部病院(大城清院長)が、28日から産婦人科の救急診療と婦人科の診療を休止する。当面の間、妊婦健診に重点を置いた診療態勢に移行。婦人科外来に通院中で、経過観察を必要とする人のみ、診療を継続するとした。

 同病院は新たな医師確保に向け関係機関に協力を要請中で、診療制限に理解と協力を求めている。

 病院ホームページによると、産婦人科は妊婦健診のみの紹介予約制、婦人科は再診のみの予約制となる。

 北部病院の産婦人科は医師不足のため2005年4月に休止したが、08年11月には医師4人の体制が整って診療を再開。今年1月からは24時間救急診療も再開したが、その後医師が1人退職したことで、5月から救急を制限していた。

(沖縄タイムス、2009年9月20日)

****** 琉球新報、2009年9月19日

県立北部病院:産婦人科救急を休止、

婦人科は一般診療も

 県立北部病院(大城清院長)は産婦人科医師の退職に伴い、医師2人の診療体制となるため、28日から当面の間、産婦人科救急と婦人科診療を休止する。

 産科は紹介予約制として妊婦健診に重点を置いた診療体制に変更。婦人科は新規患者の受け付けを休止する。同院はホームページで「大変申し訳ございませんが、引き続き医師の確保と診療業務の拡大に努力するので、理解と協力をお願いしたい」としている。

 北部病院は2005年4月に医師不足を理由に産婦人科を休止。08年11月には4人体制になり、ことし1月に24時間救急診療が再開した。その後1人が退職して3人体制となり、救急を一部制限していた。

(琉球新報、2009年9月19日)

****** 琉球新報、2009年9月13日

北部病院、産科医また退職 

2人体制で影響必至

 【北部】医師不足で2005年から一時休止し、08年11月から診療を再開した県立北部病院(大城清院長)の産婦人科医師が退職届を病院に提出していることが12日、分かった。同病院はことし4月から1人減の3人体制となっているが、医師退職後は2人体制となり、診療体制に影響が出る可能性がある。

 病院側は医師の退職届を受理しており、今月か来月にも退職する予定。病院はホームページで常勤医師を募集し、県病院事業局と協力して新しい医師確保に向けた調整を進めているが、難航している。

 北部病院は05年4月に医師不足を理由に休止。08年11月には4人体制の診療を開始し、ことし1月に24時間の救急診療が再開した。その後1人が退職して3人体制となっている。

(琉球新報、2009年9月13日)

****** 沖縄タイムス、2009年9月12日

産科医が退職願提出 

県立北部病院/2人体制の可能性も

 【北部】県立北部病院(大城清院長)の産婦人科に勤務している医師が、退職願を提出していたことが11日、分かった。今月中か、10月上旬に辞める考えを示しているという。現在3人体制の産婦人科だが、医師が辞めた後は、2人体制になる可能性がある。北部病院では診療に支障をきたさないよう、新たな医師確保に向け関係機関に協力を要請している。

 北部病院の産婦人科は医師不足のため2005年4月に休止。昨年11月、4人体制が整い、ことし1月からは24時間救急体制を完全再開したが、その後1人辞めて3人になったため、5月からは救急を制限していた。

 病院側は「できるだけ早めに医師を配置できるよう努力を続けている。今ある体制で、患者にとって一番いい方法をとれるよう、来週明けにも院内の関係者で診療内容の方針を話し合いたい」としている。 【新垣晃視】

(沖縄タイムス、2009年9月12日)

****** 沖縄タイムス、2009年5月1日

産科24時間救急を休止 

県立北部病院「医師3人で限界」

 【名護】県立北部病院(大城清院長)は、1日から産婦人科の24時間救急体制を休止し、救急対応を午後11時まで、週末は休診するなど大幅に時間を短縮する。4月までに医師の入れ替わりがあり、4人から現在は3人体制となった。同病院は「現在の人員で24時間体制を続けるのは無理があり、早急に医師を確保したい」としているが、再開のめどは立っていない。

 救急対応は、月曜から木曜の午後5時から同11時までとなる。金曜は通常診療(午前8時30分~午後5時)のみで救急対応は行わず土、日、祝日は休診する。

 同病院の砂川亨医療部長は「24時間体制の維持には4人か5人の医師が必要。月に10日の宿直勤務で、医師を疲弊させることはできない。対応できない時間帯の緊急患者は、中部病院に搬送される。地域の方々には、事情を理解していただきたい」と説明している。

 名護市各種団体女性代表ネットワーク協議会の宮城里子会長は「妊婦の身体的な心配もあるが、『地元で出産することができる』という今までの安心感がなくなる。大きなショックだ」と話した。同病院は今年1月、3年8カ月ぶりに、産婦人科の24時間救急診療を再開したばかりだった。

(沖縄タイムス、2009年5月1日)

****** 琉球新報、2008年6月21日

沖縄 県立北部病院、産科が来月再開

 【北部】医師不在のため2005年4月以降、産科を休止していた県立北部病院(大久保和明院長)が、7月から産科を再開することが20日、分かった。当面は同病院の婦人科で勤務している医師2人で運営する。同病院では医師不足のため05年4月以降、産婦人科を休止。07年12月に医師2人が配置され、ことし2月から婦人科外来診療のみを再開しているが、産婦人科としての再開は3年4カ月ぶり。

 産科再開に女性団体からは安堵(あんど)の声も上がるが、産婦人科で一般分娩(ぶんべん)や救急診療までを担うには通常、医師を最低でも3、4人配置しなければ勤務体制を確保できないといわれており、分娩が再開されても課題は残されたままだ。

 再開される産科では、外来と一般分娩を扱う。一般分娩は365日体制で対応し、外来は、月曜から木曜日に受け付ける。夜間は医師が交代で当直に当たる。金曜から日曜日は1人が緊急連絡係となり、緊急時に産婦人科医2人が確保できれば2人で緊急手術などに対応。1人の場合は、外科から医師1人の支援を受ける。

 対象となるのは、ほかの病院からの紹介妊婦と、合併症妊娠や異常妊娠など、開業医では対応が難しい妊婦。

 産科再開は、北部の女性団体が20日夜、北部会館で開いた同病院医師やスタッフとの歓迎懇親会の席上、村田昌功産科部長が明らかにした。

 名護市女性団体ネットワーク協議会の宮城里子会長は「再開が決まって本当にうれしい。しかし産科医不足は女性だけでなく、男性を巻き込んだ地域全体の問題だ」と語った。

(琉球新報、2008年6月21日)

*** やんばる母と子の命を守る勉強会、2008年5月28日

緊急声明
「県立北部病院産婦人科 医師4人以上の体制を」

 県立北部病院の産婦人科を再開させるには、4人以上の産婦人科医師が必要です。
 休診に至るまでの県立北部病院産婦人科は、個人開業医ではとりあげられない、いわゆるハイリスクのお産を行う施設であり、産婦人科的な救急疾患(子宮外妊娠による大出血など)の患者を救命する救急病院でした。
 そのために3名の産婦人科医が二十四時間三百六十五日、働いていました。産婦人科医にとっては三日に一度は病院に宿泊し、一晩寝ないで働いた後もそのまま外来や手術をするという厳しい職場環境です。使命感を持って働いていた医師たちも過酷な仕事を幾年も続けたあと、働き盛りの年齢なのに退職してしまい、休診となりました。
 県立北部病院を退職した産婦人科医師の言葉を紹介します。

 「四十代半ばにして死神の足音を聞いてしまった。」
 「子供をとりあげる仕事をしながら、自分の子供たちは知らないうちに(家庭で触れ合う時間もないままに)いつの間にか大きくなってしまいました。
 三日に一度は病院に泊まり(それ以外の日もほとんど)病院にいましたので。」

 医師も人間です。人間としての命があり、個人としての生活があります。
 命の危険を感じるような、個 人としての生活がない病院には、医 師は定着しません。
 以前と同じ産婦人科医師3人体制で再開したとしても、前と同様の過酷な勤務体制が再現され、医師が退職し再び休診となるだけです。そもそも、全国的な産婦人科医不足の中、そのような病院で働きたいという医師があらわれるでしょうか。
 再開、継続のためには、産婦人科医師数の増加は絶対に必要なのです。

 県立北部病院では、産婦人科医師を4人以上にした後、ハイリスクのお産と産科救急を本格的に再開させようとしています。現在2人の産婦人科医師が着任しており、婦人科診療のみを実施していますが、その2人の産婦人科医師を中心に病院を挙げて産科再開プロジェクトを進めています。
 北部地域の母と子の命を守りつつ、以前の轍を踏まないで済むよう、県外で働いている現役の産婦人科医やこれから産婦人科専門医をめざす若手医師が「この病院、この地域でぜひ働きたい」と思えるような、母と子と医療者が共に幸せを分かち合える病院、地域を作りたいものです。
 みなさんのご理解とご協力を、どうぞお願いいたします。

     平成二十年五月二十八日
     「やんばる母と子の命を守る勉強会」

(やんばる母と子の命を守る勉強会、2008年5月28日)

****** 琉球新報、2007年10月8日

中部病院、6割北部から 

新生児集中治療室が満床

 県立北部病院の産婦人科休止以降、早産など異常分娩(ぶんべん)の危険性がある北部地域の妊婦のほとんどを受け入れている県立中部病院で、未熟児らを管理・治療する新生児集中治療室(NICU)を昨年利用した乳児は、休止前と比べ北部在住の妊婦の出産が約6倍に増えていることが分かった。この影響で病床が満杯になった中部病院では異常分娩の恐れのある中部地域の妊婦を南部地域の病院に受け入れてもらう“玉突き”が発生。南部でも病床が満杯となり、県内の産科医療は全県的に未熟児の受け入れが困難な、深刻な事態に陥っている。

 北部病院の産婦人科休止により、許容範囲を超えた妊婦受け入れが県内の周産期医療の現場を圧迫、影響が全県に波及している実態が明らかになった。

 満杯の事態を重く見た県は4日「超早産児が例年になく多い」と妊婦に定期健診を受診するなど健康管理を呼び掛けたが、中部病院は「超早産児の数は例年とあまり変わらない。満杯状態が続いているのは妊婦の健康管理などではなく、北部病院産婦人科休止が原因だ」と受け入れ側の問題と指摘した。

 北部病院の産婦人科は2005年4月に休止。中部病院が新生児集中治療室に受け入れた北部地域の乳児は05年は444人中62人、06年は409人中59人。休止前の04年は434人中、わずか10人だった。

 06年は北部からの受け入れに伴い、中部病院は異常分娩の恐れがある中部地域の妊婦13人を、県立南部医療センター・こども医療センターを介し、南部地域の同治療室を持つ病院に受け入れてもらった。

 県内で新生児集中治療室を保持しているのは5病院で合計96床。内訳は県立中部病院30床、県立南部医療センター・こども医療センター30床、那覇市立病院9床、沖縄赤十字病院15床、琉大医学部付属病院12床。このうち県立2病院が、状態がより危険な妊婦を扱う中核医療を担っている。 【新垣毅】

(琉球新報、2007年10月8日)

****** 沖縄タイムス、2007年10月5日

NICU満床 早産予防訴え/県が緊急アピール

 県は四日、県内の周産期母子医療センター(NICU)五カ所の満床状態が続き、「新たな妊産婦の受け入れが困難」との緊急アピールを初めて発表した。早産が多く発生し、早産児の長期入院が続いていることが原因とみている。県内の妊産婦に対し「早産とならない自己管理を」と呼び掛けている。

 県立南部医療センター・こども医療センターの総合周産期母子医療センターによると、今年四月から県内すべてのNICU九十六床で満床状態が続いている。

 通常は在胎週数四十週で出産するが、十月三日現在、在胎二十三週での出産が七人、同二十四週六人、同二十五週二人、同二十六週二人が入院しており、NICUに入院する新生児の二割を超早産児が占めている。

 県健康増進課は県内の妊産婦に対し、(1)少なくとも毎月一回の妊婦健診受診(2)喫煙・飲酒の禁止(3)出血や腹痛、破水があったときにはかかりつけ医に早めの受診―などの早産防止対策をアピール。加えて「妊婦が早産とならないよう、県民全体で妊婦支援を」と呼び掛けている。

 県内の早産などによる低体重児が出生する割合は10・9%で全国平均の9・5%に比べて高い(二〇〇五年)。センターの宮城雅也医師は「早産防止には妊婦の健康管理が重要。病院の受け入れ態勢維持のためにも一人一人の意識改革を」と訴えた。

 県内には、県立中部病院と県立南部医療センター・こども医療センターに総合周産期母子医療センターが二カ所、琉球大学医学部附属病院に母子周産センター一カ所、那覇市立病院と沖縄赤十字病院に地域周産期母子医療センター二カ所が整備されている。

(沖縄タイムス、2007年10月5日)

****** 琉球新報、2007年7月6日

搬送中、救急車内で出産4件 県立北部病院

 2005年4月に県立北部病院の産婦人科医が不在になって以降、ことし4月末までの間、北部地区から県立中部病院へ救急車で搬送された妊婦は169人で、このうち救急車内で出産した妊婦が4人いた。それぞれ医師は添乗せず救急救命士が子供を取り上げた。5日の県議会文教厚生委員会で狩俣信子県議(護憲ネットワーク)の質問に対し、県病院事業局が明らかにした。

 救急車内で出産した4人のうち、2人は早産のため子供が未熟児だった。未熟児の場合、低温にならないようにするなどさまざまな措置が必要。県病院事業局は「低温にならないよう気を付けている」と対応を示したものの、一方で「通常、救急車の中に保育器などは設置していない」と明らかにした。

 狩俣県議は「未熟児の場合は病院で生まれても、大変なほどの、さまざまな措置が必要だ。それなのに救急車の中に保育器などの措置する機器がないのは問題だ。人の命を軽視しすぎている」と指摘。これに対し知念清県病院事業局長は「よく現状を調べて対応したい」と対応を約束した。

 未熟児の子供2人は産後、県立中部病院に入院。現在、その子らも含め救急車で生まれた4人の子供は後遺症などなく、健康に育っているという。

(琉球新報、2007年7月6日)

****** 沖縄タイムス、2007年3月31日

医官きょう引き揚げ/県立北部病院

 県立北部病院産婦人科に派遣されていた防衛医官が五月までの期間を繰り上げ三月末で引き揚げることが三十日分かった。派遣元の防衛医科大学校(埼玉県)も深刻な産婦人科医師不足に陥ったため。北部病院の産婦人科が休診状態になってから約二年。同病院は再び産婦人科医不在の状態に陥ることになった。

 県病院事業局の知念清局長は「北部地区の住民に再度不安を与えることになり、大変申し訳ない。県は引き続き産婦人科医獲得に全力を尽くしていく」と述べた。県は同日、島袋吉和名護市長に派遣切り上げを伝えた。

 県立北部病院は二〇〇五年四月、産婦人科医の辞任で休診状態になったが、防衛医官の派遣で、週一回診療を受け付けていた。

 県は「これまでの患者は、中部病院からの派遣などで診療継続できるよう配慮する」としている。同大学校の産婦人科医師は七人。うち六人を一―二週間交代で派遣していた。

(沖縄タイムス、2007年3月31日)

****** 琉球新報、2006年4月21日

政府、北部病院に防衛医官1人派遣 産婦人科再開目指す

 【東京】産婦人科医の不足のため昨年4月から県立北部病院の産婦人科が休止している問題で、政府は防衛医官1人を同病院に派遣することを決め、20日までに島袋吉和名護市長に伝えた。小池百合子沖縄担当相も20日午後、稲嶺恵一知事と面談した際、医官派遣について「21日に正式発表する」と述べた。派遣される医官1人と県立病院など他病院の医師との連携態勢を整え、5月中の産婦人科再開を目指す。

 北部市町村会の会長として防衛医官派遣を政府に要請した宮城茂東村長は「医官派遣は大変良かった」と述べるとともに、産婦人科再開に向け「週明けにも名護市長とともに関係医療機関に協力を求めたい」と語った。

 県立北部病院の産婦人科の休止後、合併症など高度医療が必要な妊婦は県立中部病院(うるま市)へ搬送されており、北部地区の妊婦の大きな負担となっていた。小池沖縄相は昨年10月、全国から産婦人科医を募集。今年1月、市長選に出馬した島袋氏の応援のため名護市入りし、「防衛医官を4月に派遣する」と明言していた。

 北部広域市町村圏事務組合理事長を務める島袋名護市長ら北部の三首長は3月6日、4月中の産婦人科再開に向け、額賀福志郎防衛庁長官に防衛医官の派遣を正式に要請。それに対し、額賀長官は自衛隊でも産婦人科医が不足しているとして「4月中の医官派遣は厳しい」と答えていた。

 島袋市長らは産婦人科の24時間態勢を確立するため、医師3人の派遣を求めていたが、防衛庁は「複数の医官派遣は困難」としている。産婦人科再開に向けて医師の確保を進めてきた内閣府も「医官派遣は1人が限界」と説明する。

 県内の他病院から常時、産婦人科を派遣するのも困難な状況にあり、高度医療が必要な患者が出た際には、北部病院に勤務する医官と県立中部病院など他病院の医師が連携して、治療に当たる態勢が敷かれるものとみられる。

(琉球新報、2006年4月21日)

****** 琉球新報、2006年4月21日

産科外来は行わず 県立北部病院、防衛医官派遣

 【東京】小池百合子沖縄担当相は21日午前の閣議後記者会見で、1年以上休診していた北部病院の産婦人科について、4月中に防衛医官1人を派遣し、5月から業務を開始すると発表した。防衛医科大学校の産婦人科講師、助手の計4人を1年の間に交代で派遣する。1人体制のため出産対応ではなく、産科の外来は行わない。同病院内のほかの診療科で産科が絡む際の支援と緊急時対応などに当たる。外来診療の再開については依然、めどが立っていない。

 防衛医官は当面1年の派遣になる。小池沖縄相は「厳しい中で防衛庁に人材を派遣してもらった。今後は沖縄県、県立北部病院の協力の下で徐々に業務を拡大していくことが現実的だ」と述べ、業務継続には県の協力が不可欠との認識を示した。

 防衛医官の派遣について、防衛庁側は「もともと3人の定数なので1人でできることは限界があるが、厳しい状況の中で率先して確保した。分べんはできないので、今回の派遣がほかの病院の医師の呼び水となり、将来的に人数が増えることを期待する」と話した。

 派遣決定を受け、稲嶺恵一知事は21日午前の定例記者懇談会で派遣に感謝の意を示した。今後の診療体制について知念清病院事業局長は「地域の産婦人科、県立中部病院とも協力体制を組んでサポートしたい」と述べた。

(琉球新報、2006年4月21日)

****** 読売新聞、2006年4月9日

医師不足で産婦人科が休診中、

名護に防衛医官を派遣へ

 政府は8日、産婦人科医がいないため2005年4月から休診している沖縄県名護市の県立北部病院産婦人科に防衛医官1人を派遣することを決めた。

 同市の要請を受けたもので、防衛医科大学校の教官を中心に人選し、4月中の派遣を目指す。

 米海兵隊普天間飛行場(宜野湾市)の移設問題で、国と名護市が基本合意に達したことを受け、移設への地元住民の理解を得る助けとしたい考えだ。

 沖縄本島の名護市から北の6市町村には、産婦人科は北部病院と名護市内の2診療所しかない。

 帝王切開や異常出産などに対応できる救急施設は北部病院だけだ。しかし、同病院で辞職などが続き、産婦人科医がいなくなってからは、救急患者は車で30分以上離れた県立中部病院などに搬送されている。

 こうしたケースは昨年4月から今年2月末までに79件あったが、搬送時間がかかるため、病院到着前に救急車内で出産した例もあった。

 沖縄県は全国の大学などに産婦人科医の派遣を求めていたが、応じる医師がいなかった。このため、名護市の島袋吉和市長が3月6日に額賀防衛長官と会談し、防衛医官の派遣を要請していた。

 派遣される防衛医官は自衛隊員であるため、那覇市の自衛隊那覇病院所属とし、勤務先を北部病院とすることで調整している。

 ただ、今回は1人しか派遣できないことから、交代勤務の医師が3~4人必要となる、救急対応が可能な24時間診療は難しく、時間を限った診療となる見通しだ。

(読売新聞、2006年4月9日)

****** 琉球新報、2006年1月8日

「4月に医師派遣」 小池担当相、

北部病院産婦人科の再開へ意欲

 【名護】小池百合子沖縄担当相は7日来県し、昨年4月から休止している県立北部病院の産婦人科について「4月には医師を派遣したい」と再開に意欲をみせた。

 小池氏は「新生児の死亡率が北部地区で2・8%、南部で0・7%。北部は南部の4倍も高い」と指摘。「北部の産婦人科・小児科の再開・充実が必要」との認識を示した上で、「防衛医官の派遣をお願いし快諾を得た」と述べ、4月に北部病院の産婦人科を再開させたい意思を示した。

 同日夜、名護市民会館で開かれた名護市長選挙に立候補予定者の女性部総決起大会で語った。

 同会合に先立ち小池氏は、名護市の出雲殿内で北部市町村長、市町村議会議長と懇談した。この中で県立北部病院の産婦人科が休止となっている問題について「4月に再開できるよう詰めている」と述べた。

(琉球新報、2006年1月8日)

****** 琉球新報、2005年10月25日

沖縄へ医師求む 小池沖縄相が全国呼び掛け

 【東京】「醫師 急募 沖繩へ!」―。内閣府は、県立北部病院で産婦人科が休診となっている問題を受け、沖縄の県立、公立病院で働く医師を全国に呼び掛けている。

 小池百合子沖縄担当相は25日午前、閣議後の記者会見で「沖縄では、残念ながら産婦人科医が不足している。元気な沖縄で生を受ける時に、お医者さんがいないのは心細いこと。沖縄で働くお医者さんを募集します」と呼び掛けた。

 「求ム ドクタア 美ら島プロヂェクト」として「醫師 産婦人科 脳神経外科 急募 沖繩へ!」と、プロジェクト名と募集コピーもレトロ調。

 北部病院だけでなく那覇病院、八重山病院、公立久米島病院の産婦人科医、宮古病院、八重山病院の脳神経外科医も併せて募集している。

(琉球新報、2005年10月25日)

****** 琉球新報、2005年10月19日

救急搬送5ヵ月半で42件 県立北部病院の産婦人科休止

 今年4月1日から県立北部病院産婦人科が休止になっている問題で、9月19日までの間、妊婦が県立中部病院や琉球大学付属病院に救急で搬送された事例は42件あり、そのうち救急車の中で出産した事例が1件あったことが分かった。県は現在、同病院の医師(3人)確保に向け、県外の医師などと面談を重ねているが、確保には至らず、再開のめどは立っていない。

 18日行われた県議会決算特別委員会(池間淳委員長)では、北部病院の産婦人科医問題をはじめとして県立八重山病院や宮古病院など離島医療を含む医師不足問題に質疑が集中した。

 搬送先に間に合わず、救急車の中で出産した事例は7月に発生。救急隊員が処置し、その後は中部病院で対応した。このほか、自宅で出産後に搬送された事例も1件あったという。

 現在、県はホームページ(HP)などを通して医師を募集。これまでホームページにアクセスのあった3人の医師と面談を行っているが、「いつ再開と見通しを示すのは困難」(知念建次県立病院監)な状況だ。こうした中、県立病院に勤務する医師のうち、何らかの理由で退職することが決まっているのは本年度だけで17人おり、退職の意思を示している医師も2人いることが報告された。

(琉球新報、2005年10月19日)

****** 琉球新報、2005年9月7日

医療の低下防止へ 

県立北部病院産婦人科休止

 【名護】名護市の県立北部病院産婦人科休止問題の解決に向けて、北部の医療関係者らが情報の整理・発信をしようと8月30日、「やんばる母と子の命を守る勉強会」を発足させた。関係者らは同科が休止した今年4月から毎月、元妊産婦や搬送する消防関係者などを招いて勉強会を開き、休止の影響について情報交換をしてきた。今後も勉強会や調査などの活動を続け、同科の医師確保や北部周産期医療の低下防止を目指す。

 参加しているのは北部病院の小児科医のほか民間の産婦人科医や小児科医、保健師など約20人で、今後対外的な発言や働きかけにも力を入れる方針だ。役員などは次回の会合で検討する。

 これまでの勉強会では、同科休止後、元妊婦が中部病院までの遠距離通院のため仕事を休まなければならなかったり、負担から家族が体調を崩したりした経験を説明。中部病院や名護市内にある個人の産婦人科医院からは「綱渡り的」に事なきを得た急患事例や、外来患者が急増して労働過多になっていることなどが報告された。

 メンバーの一人、仲村小児科・内科・皮フ科医院=名護市=の仲村佳久院長は「急患搬送などの代替策で以前と同じ医療が確保されたと思っている人もいるが、事実は後退している。正しい情報、判断を共有するところから出発したい」と会の意義を語る。

(琉球新報、2005年9月7日)

****** 琉球新報、2005年4月9日

北部病院、婦人科も「休止」 

継続表明も外来診察せず

 【名護】1日から産科を休止した県立北部病院で、県が存続を明言していた婦人科が外来を受け付けず、事実上「休止」していたことが8日までに分かった。県病院管理局は県立中部病院から産婦人科医師を派遣し、婦人科外来は継続するとしていたが、北部病院の山城正登院長は「短時間しか勤務しない一医師では意味ある外来はできない。(中部の医師の業務は)もともと院内のみのつもりだ」との認識を示している。名護市の宮城幸夫福祉部長は「婦人科は継続する前提で、急患搬送も妊産婦のみを対象に検討してきた。これで約束違反だ」と非難している。 3月7日に北部市町村会会長の宮城茂東村長らが産婦人科存続を要請した際、県は「産科は当面休止するが、婦人科は医師を配置して存続させる」と説明したという。その後の取材に対し、県は婦人科外来は県立中部病院の応援を受けて継続するとしていた。

 しかし、実際には、中部病院の産婦人科医が週に1―2度、午前中に北部病院に派遣され、産婦人科の症状がある他科の入院患者らの治療に当たっている。

 外来・救急は受け入れておらず、実質的には休止状態で、院内の掲示も「産科・婦人科の休止」となっている。産科休止に伴い、産婦人科の入院患者は転退院している。市消防は「婦人科は存続と聞き、婦人科の急患は北部病院に運ぶつもりだった」と話している。

 県福祉保健部・県立病院管理課の松堂勇課長は「北部病院側から、婦人科を休止するという正式な報告は受けていない」とした上で「来週、北部病院と中部病院、消防の各関係者を集めた会議が開催される予定。産科を含めた急患搬送の問題点などを整理し、今後の対応を検討したい」と話した。

(琉球新報、2005年4月9日)


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